「し」は子音 s 系列の母音第2段(専門的には違う言い方をするのでしょうが)なので si,「ち」は子音 t 系列の母音第2段なので ti,と考えれば,si や ti と書くのは合理性が感じられます。
音としても,たとえばフランス語の ti という綴りに対する発音は「てぃ」よりも「ち」に近いから,少なくとも ti=「ち」に関してはそれほど奇異に感じません。
ただし,日本語の子音 s にはもう1つの系列があって,「しゃ」「しゅ」「しょ」がそうですが,「し」の子音はむしろこちらに属する(「ちゃ」「ち」「ちゅ」「ちょ」も同じ)ので,母音第2段はこちらからの流入かもしれないと考えれば,shi という表記も無下に非合理と断定はできないと思えてきました。
上代特殊かなづかい (スコア:1)
私は確か大野晋先生の本で知ったはずなのですが、
パラパラと眺めてみても見当たらないです。
日本語の起源 新版 [amazon.co.jp]か日本語の文法を考える [amazon.co.jp]のはずなのですが。
万葉仮名で現在では同じ音を示すものが、示す意味からの推定で
複数種の音系に分かれて
Re:上代特殊かなづかい (スコア:1)
日本語の音韻体系について読むのはもうちょっと先になると思うので,ローマ字の表記法について少し整理しておきます。検討すべき点は3つあります。
ヘボン式は,1と2を満たしていないし,3を満たしているとしてもこれはそもそも主観的な問題だから,初等教育においては採用すべきでないと思いますが,英語を主として扱う人の視点からすると,「全世界で通用している英語の表記にのっとったものだから1は満たす」「英語の音の表し方に近いから2もほぼ満たす」「英語の音を参考にしているから3も満たす」という結論になってしまうのかなあ。
体系としての一貫性を問題にするとき,歴史的かなづかいか現代かなづかいかという議論と同じ問題が発生するけど,ローマ字だとカナよりも音を細かく分解して表す分,音に注意が向きやすくなるということはあるのかも。
Re:上代特殊かなづかい (スコア:1)
「し」を「si」と綴ると、「すぃ」になってしまいます。
これは今の日本語発音にはふさわしくないです。
対英語圏での話ですが。
仰るとおりに、多くの人は英語、米語しか考えていないので
あまり問題意識されたことがないのでしょう。
英語、米語であれば問題ないので。
いっそのこと発音記号で表記してしまうというのも
手段としてはあるかもしれないですね。
表記と発音が完全一致していないことが最大の問題ですか。
一致するような表記方法は何か別にないのでしょうかね。
ただ、私は最近ポルトガル語などのロマンス語系の言語を
勉強し始めているのですが、同じ発音記号であっても
なぜか微妙に音の感じが違います。
不思議なものです。
Re:上代特殊かなづかい (スコア:1)
「し」は子音 s 系列の母音第2段(専門的には違う言い方をするのでしょうが)なので si,「ち」は子音 t 系列の母音第2段なので ti,と考えれば,si や ti と書くのは合理性が感じられます。
音としても,たとえばフランス語の ti という綴りに対する発音は「てぃ」よりも「ち」に近いから,少なくとも ti=「ち」に関してはそれほど奇異に感じません。
ただし,日本語の子音 s にはもう1つの系列があって,「しゃ」「しゅ」「しょ」がそうですが,「し」の子音はむしろこちらに属する(「ちゃ」「ち」「ちゅ」「ちょ」も同じ)ので,母音第2段はこちらからの流入かもしれないと考えれば,shi という表記も無下に非合理と断定はできないと思えてきました。
訓令式とヘボン式の乖離が大きい音は,「し」「ち」のほかに「つ」「ふ」と拗音のいくつかがありますが,いずれも子音の捉え方の差異を反映しています。
(実際には訓令式はかなの表記法を単純にアルファベットに置き換えていっただけなのでしょうが)
西欧系の諸語でも共通のアルファベットを使っているのに子音の表記には差があるのは,「この言語ではこの音はこう捉えている」と表明しているようなものでしょうから,「日本語ではこの音をこう捉えている」という表明である訓令式の合理性はもっと広く認識されるべきだと思います。