そもそも、外国市場への上場というのは、海外の市場に直接株式を上場しているわけではなく、預託証券(ADR)というスキームを使っています。例えば、三菱東京フィナンシャルグループは、東証第1部に8306.T [yahoo.co.jp]として上場しているけど、ニューヨーク証券取引所(NYSE)にもMTF [yahoo.com]として上場していて、8306.Tは三菱東京フィナンシャル株そのものだけど、NYSEに上場しているMTFは、信託会社や銀行(米国の場合は大半がBank of Newyork)に原株を預託して、その裏づけに発行される預託証券が上場する形になっています。MTFの場合だと、価格が高すぎるので、1原株=1ADRとして上場されているのではなく、便宜上1原株=1000ADRに分割されて上場されているわけです
外国部ってなくなって一部とかに通常通り上場する予定 (スコア:0)
Re:外国部ってなくなって一部とかに通常通り上場する (スコア:3, 参考になる)
IBMも東証への上場廃止 外国会社は29社に [asahi.com]によると、
外国会社上場数が減ってきているので対策として(東証が)外国部を無くして一部に移行 → でも出来高減ってるんで(IBMが)上場を廃止。
という流れだと思うんだけども。
Re:外国部ってなくなって一部とかに通常通り上場する (スコア:3, 興味深い)
東証外国部が廃止されて、旧外国部銘柄が東証一部に指定替えされたのが今年の2月なので、おそらくIBMは東証の制度変更に関わらず上場廃止を決定していたのでしょう。同時に、ヨーロッパ4市場における上場廃止を決定しているところから考えても、上場戦略の見直しの一環として考えた方がよいかと
そもそも、外国市場への上場というのは、海外の市場に直接株式を上場しているわけではなく、預託証券(ADR)というスキームを使っています。例えば、三菱東京フィナンシャルグループは、東証第1部に8306.T [yahoo.co.jp]として上場しているけど、ニューヨーク証券取引所(NYSE)にもMTF [yahoo.com]として上場していて、8306.Tは三菱東京フィナンシャル株そのものだけど、NYSEに上場しているMTFは、信託会社や銀行(米国の場合は大半がBank of Newyork)に原株を預託して、その裏づけに発行される預託証券が上場する形になっています。MTFの場合だと、価格が高すぎるので、1原株=1ADRとして上場されているのではなく、便宜上1原株=1000ADRに分割されて上場されているわけです
このように、外国市場への上場は自国の市場に上場するよりも手続が煩雑でコストもかかり、よほど外国市場に上場するメリットがない限りやりにくいもんです。資金調達を目的として上場する場合だと、自国の市場の低迷や海外市場での上場基準の緩さなどを目的に上場する例(例えば、中国のSina.comや日本のIIJはNASDAQに上場して資金調達している)が多いのですが、バブル崩壊後の市場の低迷や、元々企業の国籍によって割当ポストを区別していた東証外国部は、単に面倒なだけの市場で上場するメリットは薄いです。ポストが違うだけで取引に制限ができますし、米国のようにインデックス運用に不可欠なADR指数(BONYが公開している)がないので、年金運用などが採用するインデックスに銘柄が採用しにくいので、まとまった取引がないですから
朝日の記事のボケてるところは、そもそも旧外国部上場企業の一日の取引量なんてのは、全銘柄合わせても一部上場企業の出来高に届かないなんてことが多いのに、一社くらい上場廃止したところで「東証に大きな痛手」も糞もないですね。確かに上場廃止すれば、上場手数料などの収入は減りますが、上場廃止による地位低下以前に、取引量が少ないことそのものが問題でしょう
国内の資本市場基盤が脆弱なアジアの新興国が、日本を素通りしてニューヨークやシンガポールに上場する、というのは確かに大きな問題です。しかし、その原因は法制度の未整備や、複雑な規制などの要因が重なっているためで、単に市場の国際化に対する戦略性のなさが招いていた問題であると言えるでしょう。東証単独の責任だけを追求するのはどうかな、と>朝日新聞