アカウント名:
パスワード:
図は等幅フォントで見てやってください.
まず,プローブ光で何かを観察する,という状況を考える.光が対象に当たると測定できる.プローブ光として,一定波長の光を考えよう.図で書くとこんな感じだ.横軸が空間軸の進行方向,縦軸が波長(上が波長が長い)で,光が右に進んでいくイメージで捉えて欲しい.(論文では横軸が時間になってるけど,まあ原理は似たようなものだからこの説明で)
--------------------
同じ波長の光を照射してるんだから,同じ波長の光が右向きに飛んでいっている.さて,今回の実験では,これをある特殊な光学系に一度通す.すると出てくる光は,
/ / / /---- -------- / / / /
と,時間とともに波長が微妙に変化する光に変換される.今この場の説明では光が右に進んでいくとしたので,この光を観測すると,初めは一定波長だった光がだんだん波長が短くなり(図で言うと下に下がる),ギャップで波長がジャンプして長くなり,そこから徐々に波長が短くなって元に戻る.
さてこの光を,波長が長い光に対するほど屈折率が大きい(=光の伝達速度が遅い)ファイバーに通す.屈折率は通常波長依存があるので,こういう素材は普通にある.するとどうなるか?波長の長いところほど遅くなり,波長の短いほど速度が上がってどんどん進ので,(ファイバーの長さを適切に選べば)出てくる光は
| | | |---- -------- | | | |
となる.波長の長かった部分がどんどん遅れていき,波長の短かった部分がどんどん前に追いついていくわけだ.さて,こうなると,中央部分に光が存在しないギャップが生じることがわかる.すると,この短い時間の間なら,プローブ光の射線上に何が存在していたとしても観測者には見ることが出来ないわけだ.つまり,観測者からは見えない瞬間を作ることが出来る.要するにこういう事だ.
| | | |---- -------- | | | | ↑ ○「今のうちにダッシュだ!」
うん,まあ,人が通るわけじゃないけど.
さて,こうしてあるポイントをギャップが通過したら,今度は逆過程を行ってまたプローブ光を元に戻してやらないといけない.そうしないと,観測者からしてみたら「プローブ光を入射したら,一部波長が変化したあげくギャップまで開いていた」(=何らかの変化を検出した)なんてことになってしまうわけだ.
そこでまず,上の図のギャップの開いた光を,波長が短い光に対するほど屈折率が大きい素材に通す.ギャップを作るときと反対になるわけで,波長の長い光ほどどんどん先に進み,波長の短い光はどんどん遅れる.というわけで,(長さを適切に選べば)出てくる光は
へと変換される.でもってこいつを再度,一番最初に使った「単一波長の光を,波長に傾斜がある光に変換する光学系」に入れ逆向きの変化を付ける.そうすると効果が相殺され,出てくる光は
とまあ,最初のプローブ光が,まるで途中では何事もなかったかのように出てくる,というわけだ.
大変分かりやすいような説明ありがとうございます。私の頭が悪いせいで「分かりやすいような」という但し書きをつけなければいけないのが残念ですが、「分かったか」といわれると「う~ん」というのが正直なところ。イメージとして「分かった気」にはなれるのですが。(笑)
でも、素人目には、なんだか不思議で面白い現象ですね。
より多くのコメントがこの議論にあるかもしれませんが、JavaScriptが有効ではない環境を使用している場合、クラシックなコメントシステム(D1)に設定を変更する必要があります。
クラックを法規制強化で止められると思ってる奴は頭がおかしい -- あるアレゲ人
図で書いてみる (スコア:5, 参考になる)
図は等幅フォントで見てやってください.
まず,プローブ光で何かを観察する,という状況を考える.光が対象に当たると測定できる.
プローブ光として,一定波長の光を考えよう.図で書くとこんな感じだ.
横軸が空間軸の進行方向,縦軸が波長(上が波長が長い)で,光が右に進んでいくイメージで捉えて欲しい.
(論文では横軸が時間になってるけど,まあ原理は似たようなものだからこの説明で)
同じ波長の光を照射してるんだから,同じ波長の光が右向きに飛んでいっている.
さて,今回の実験では,これをある特殊な光学系に一度通す.すると出てくる光は,
と,時間とともに波長が微妙に変化する光に変換される.
今この場の説明では光が右に進んでいくとしたので,この光を観測すると,初めは一定波長だった光がだんだん波長が短くなり(図で言うと下に下がる),ギャップで波長がジャンプして長くなり,そこから徐々に波長が短くなって元に戻る.
さてこの光を,波長が長い光に対するほど屈折率が大きい(=光の伝達速度が遅い)ファイバーに通す.屈折率は通常波長依存があるので,こういう素材は普通にある.するとどうなるか?波長の長いところほど遅くなり,波長の短いほど速度が上がってどんどん進ので,(ファイバーの長さを適切に選べば)出てくる光は
となる.波長の長かった部分がどんどん遅れていき,波長の短かった部分がどんどん前に追いついていくわけだ.
さて,こうなると,中央部分に光が存在しないギャップが生じることがわかる.すると,この短い時間の間なら,プローブ光の射線上に何が存在していたとしても観測者には見ることが出来ないわけだ.つまり,観測者からは見えない瞬間を作ることが出来る.要するにこういう事だ.
うん,まあ,人が通るわけじゃないけど.
さて,こうしてあるポイントをギャップが通過したら,今度は逆過程を行ってまたプローブ光を元に戻してやらないといけない.そうしないと,観測者からしてみたら「プローブ光を入射したら,一部波長が変化したあげくギャップまで開いていた」(=何らかの変化を検出した)なんてことになってしまうわけだ.
そこでまず,上の図のギャップの開いた光を,波長が短い光に対するほど屈折率が大きい素材に通す.ギャップを作るときと反対になるわけで,波長の長い光ほどどんどん先に進み,波長の短い光はどんどん遅れる.というわけで,(長さを適切に選べば)出てくる光は
へと変換される.
でもってこいつを再度,一番最初に使った「単一波長の光を,波長に傾斜がある光に変換する光学系」に入れ逆向きの変化を付ける.そうすると効果が相殺され,出てくる光は
とまあ,最初のプローブ光が,まるで途中では何事もなかったかのように出てくる,というわけだ.
Re:図で書いてみる (スコア:1)
大変分かりやすいような説明ありがとうございます。私の頭が悪いせいで「分かりやすいような」という但し書きをつけなければいけないのが残念ですが、「分かったか」といわれると「う~ん」というのが正直なところ。イメージとして「分かった気」にはなれるのですが。(笑)
でも、素人目には、なんだか不思議で面白い現象ですね。
vyama 「バグ取れワンワン」