(01年11月)18日超深夜
そうこうしているうちに極大予想時刻の27時を迎えた。
東の空にしし座は完全に登り、南の空の地上すれすれには
カノープス(竜骨座の1等星)が輝き、おうし、オリオンはかなり
西の空に行っている。みな戦闘体制だ。
そして27時15分ごろ。
それは音もなく、風も雲もない夜空ではじまった。
3等くらいのそんなに明るくない流星が流れ始めたかと思うと
北の空に明るい流星が連続して流れ、その流星痕に見とれて
いると東に流れ、南に流れ、…来た!来た来た!これが流星雨か!
近年の大当たりといえば92年夏のペルセウス流星群があるが
それにしたって1時間あたりせいぜい100個程度であった。
ここ数年は大出現が予想されては外れて、惨敗だったのに…
27時半。しし座の輻射点(流星が流れる方向の中心)がはっきり
わかるくらい、数秒間隔で5、6個といったくらいに流れはじめた。
こうなると流れた流れたと声をあげるのも忘れてしまうくらい。
人間、こんな光景を見ると声を失うんだなぁと。
カメラを構えてる先輩たちの動きも激しくなってきた。
なんせどこを狙っても流星は必ず視野に入る。こうなると
構図勝負になってしまう。っていうか、流星の入っていない
写真を撮るほうが難しいわけで、「あー。こっちだめ!」と
不謹慎な声まで上がる次第。
先輩が計測するに1分あたり93個流れたとのこと。
一人の人間が見れる流星の数は実際に全天に流れた数の
半分か1/3くらいなので1時間に換算すれば1万個以上!
目の前の夜空で起こってることが怖くなるくらい。
音もなくひろげられている奇妙な、たぶん2度と見られない
光景にただただ見とれてるだけだった。
28時になっても流星雨の勢いは衰えない。いいかげん立ちんぼ
で首をかくんとまげて見ているのは辛くなってきた。
かといってごつごつのぼた山にシートを敷いて寝転がるのも
つらいので、何度も首をふり腰を伸ばしながら見ていた。
明るい流星が流れてもいいかげん誰も声をあげなくなったし
なんかこんな非現実的な景色に麻痺してきた。まだまだ
1分間に50個くらい流れてるというのに。
そのうち便意をもよおしてきたので、ぼた山を下り、林道を
50mほど歩いて誰もいないあたりで立小便してると、それでも
流星がびゅんびゅん流れてる。下を向いても上で火球が流れ
地上がフラッシュのように明るくなり、おちおち用も足せない。
まだ流れるのかよぉ。もういいよぉ…(-- )
28時半、29時と時間は過ぎても勢いは全く衰えない。
そろそろ薄明の時間だ。東の空がぼんやり明るくなり、
そのうちうす青い空になってきた。それでもまだ流れてる。
29時(5時)になったので車に入り暖房を付けつつテレビを
なんとか受信してみると、NHKニュースが入った。
やはり流星雨のニュースをやってるが、全国的にはそれほど
天気はよくなかったようだ。
もう一生分の流星は見たよな。これで。そのまま仮眠する
ことにした。忘れられない夜は夜明けとともに終わった。
日本発のオープンソースソフトウェアは42件 -- ある官僚