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特許制度そのものの問題ではなくて、運用の問題じゃないのかな、と思う自分がいます。
個人的に感じる疑問点はCNETの記事でほぼ網羅されていて、技術者としての自分は主張に大いに賛同できるのですが、自分の別の部分はいまひとつ納得しきれていません。例えば、リンク先の初っ端で「特許不要」とされている医薬品は、特許が必要な分野の一つだと思うけどなあ…。
まあ、いずれにせよいきなり特許制度をなくせというのは無理な話でしょうし、できるところから改善してもらうのは良いこと。現状はしょーもない特許が多すぎる。
エイズ治療薬を巡って、先進諸国の製薬メーカがアフリカなどの後進諸国と争ってる事例 [nifty.com]とか、供給が追いつかないタミフルの非ライセンス生産での争い [soei.com]とか見てると、特許制度をベースにして研究開発費用を回収するというビジネスモデル自体に問題が出てしまっているように思えますけど。
特許制度は、基本的に特許を出した人や法人に独占製造・販売権を与えることで研究開発のインセンティブを与えようという物ですが、そうであるが為に需要がなんぼあっても供給者の都合だけで価格が決められてしまって南北格差を拡大させる結果を常々もたらしている。同じ先進諸国の国内でも金持ちだけが特許の恩恵を受けられて貧乏人は特許の恩恵に浴せない。
もっと深刻なのは、リンクした後者=タミフルの製造販売を巡る争いの延長線上にある話なんですが、最近先進諸国で遺伝子自体に特許が適用されるようになってから鳥インフルエンザなどの疫病の発生源など、将来バイオサイエンス上有望になるような生物株を保持している国々の企業が自国の生物株を無断もしくはタダ同然で持ち去って、独占的な富を得ようとする行為に対する警戒感が強まっていて、それ自体はこの数十年間の間、これら先進国の企業が「未開の地」に踏み入って・先住民族が製法を伝承してきた農法や薬に対して特許を主張し・認められて、これら先住民族の商売の機会を奪っていたばかりか場合によっては先住民族自体も特許に違反してるとつるし上げて、その上で特許の成果である医薬品などの商品を高価な価格で独占的に販売するような悪質な収奪行為がまかり通った事に由来しているわけで…(カラハリ砂漠のサボテンの医薬効果に対して、現住民族を無視する形で英企業が特許を習得し・ファイザー社に高額で転売した事例 [purnama.gr.jp])
この、タイを震源地に起きたエイズ治療薬への強制特許実施権行使の争い [democracynow.jp]が直接的なきっかけになっているのですが、H5N1鳥インフルエンザウィルス発病者の多いインドネシアが、ウィルス株をWHOに引き渡しても遺伝子解析やワクチン開発能力で劣って資金的にも貧困である自国や同じような後進国が先進諸国の大企業の成果を高価に売りつけられるだけで自国の鳥インフルエンザ患者の治療になんら役立たないとウィルス株の引き渡しを強硬に拒否してきた事例(今は引き渡しに合意していますが)での製薬会社とインドネシアなどの東南アジア諸国の主張の食い違いを見ていても、特許が何ら人類の進歩にも福祉にも貢献しなくなってるのではないか…と思えてならないです。
まったく別の(資本的な要請=投資の回収の一環として独占特許が組み込まれていて、投資家も特許目当てに投資してしまってる現状とは別の)研究開発のインセンティブを新たに作る必要があって、そこに乗っかる企業だけ乗っかってください。的な形に枠組み改めないとどうしょうもなくなっていませんか?
いくつか「それは事実ですか」「その推論は論理的に誤りではないですか」と問いたいポイントがあるけど、とりあえずこれだけ。
まったく別の ... 枠組み改めないとどうしょうもなくなっていませんか?
「どうしようもなくなっているとは思いません」。現行の運用に問題があるとは思いますが、それは運用を改善するのが最も早く、かつ最小限の変化で問題解決にいたると考えます。
おっしゃる問題が「特許という制度そのものに起因する問題であり、運用の見直しでは解決できない」と主張されるのであれば、きちんとそれを書いてください。論拠が書かれていないので、私にはどれも運用で解決できそうな問題に思えます。
# 「制度そのものじゃなくて運用の問題だよね」という意見(#1623663)への反論ですよね? これ。
「特許により独占的な権益を付与する事で研究開発に対するインセンティブを与えるという特許の根本的な考え方自体が、資本主義の高度化と言うか独占資本主義・特に研究開発リソースの大資本への集中や特許という独占権益自体が莫大な金を産んでしまうような方向に資本主義が進んでしまった事によって破綻している」ということの一例としてバイオサイエンス系の研究・取り分け医薬品に於いて、特許が本来報われるべき生物素材を提供した人々やその成果を真っ先に享受せねばならぬはずの貧しい人々を排除して巨万の富を大企業や投資家にもたらすのみに齎すために専ら特許が使われてる現実を示したのですが。
# 後、モンサント社の種子ビジネスが種子を売りつけた相手の農家をとことん管理して# モンサント社の種子がないと営農できなくされる…そこに歯向かう人々や自分が食うための# 作物を別個に作付けする事をやめない人々に対しては特許権侵害を# 理由とするもの凄い高額の損害賠償を提訴する…問題とかも特許制度がもたらした同様の悪弊なのですが。
つまりは、今の特許制度のモデル自体が既に時代遅れと言うか「運用の改善」では到底、特許制度の運用がもたらしてる深刻な社会的な問題を是正することは不可能な所まで来ててしまってるということです。
特許制度の根本理念にある研究開発のインセンティブの与え方自体が知の独占だけではなく(それから派生する)もの凄い数の搾取や収奪を作りだし・そして大規模な資本を持つ人々以外にその搾取の特権階級に新しく入り込む資格を与えないで搾取・収奪される側と搾取・収奪を行う側の固定化を齎しているのはそれだけ独占資本主義が強固になったことではありますが、そうであるからこそ特許制度自体を廃止する必要があると思いますよ。小手先の制度改善でどうにかなるような弊害がそんなにないような甘い状況ではなくなっています。
だから、「特許制度でインセンティブを与えるのはやめにして、別の思想でインセンティブを与えるように根本から変えるしかなくなってるだろう」的な事を書いた訳で…
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ソースを見ろ -- ある4桁UID
制度の問題かな? (スコア:5, 興味深い)
特許制度そのものの問題ではなくて、運用の問題じゃないのかな、と思う自分がいます。
個人的に感じる疑問点はCNETの記事でほぼ網羅されていて、技術者としての自分は主張に大いに賛同できるのですが、自分の別の部分はいまひとつ納得しきれていません。
例えば、リンク先の初っ端で「特許不要」とされている医薬品は、特許が必要な分野の一つだと思うけどなあ…。
まあ、いずれにせよいきなり特許制度をなくせというのは無理な話でしょうし、できるところから改善してもらうのは良いこと。現状はしょーもない特許が多すぎる。
制度疲労を起こしていて有害になりつつある(Re:制度の問題かな? (スコア:2, 参考になる)
エイズ治療薬を巡って、先進諸国の製薬メーカがアフリカなどの後進諸国と争ってる事例 [nifty.com]とか、供給が追いつかないタミフルの非ライセンス生産での争い [soei.com]とか見てると、特許制度をベースにして研究開発費用を回収するというビジネスモデル自体に問題が出てしまっているように思えますけど。
特許制度は、基本的に特許を出した人や法人に独占製造・販売権を与えることで研究開発のインセンティブを与えようという物ですが、そうであるが為に需要がなんぼあっても供給者の都合だけで価格が決められてしまって南北格差を拡大させる結果を常々もたらしている。
同じ先進諸国の国内でも金持ちだけが特許の恩恵を受けられて貧乏人は特許の恩恵に浴せない。
もっと深刻なのは、リンクした後者=タミフルの製造販売を巡る争いの延長線上にある話なんですが、最近先進諸国で遺伝子自体に特許が適用されるようになってから鳥インフルエンザなどの疫病の発生源など、将来バイオサイエンス上有望になるような生物株を保持している国々の企業が自国の生物株を無断もしくはタダ同然で持ち去って、独占的な富を得ようとする行為に対する警戒感が強まっていて、
それ自体はこの数十年間の間、これら先進国の企業が「未開の地」に踏み入って・先住民族が製法を伝承してきた農法や薬に対して特許を主張し・認められて、これら先住民族の商売の機会を奪っていたばかりか場合によっては先住民族自体も特許に違反してるとつるし上げて、その上で特許の成果である医薬品などの商品を高価な価格で独占的に販売するような悪質な収奪行為がまかり通った事に由来しているわけで…(カラハリ砂漠のサボテンの医薬効果に対して、現住民族を無視する形で英企業が特許を習得し・ファイザー社に高額で転売した事例 [purnama.gr.jp])
この、タイを震源地に起きたエイズ治療薬への強制特許実施権行使の争い [democracynow.jp]が直接的なきっかけになっているのですが、H5N1鳥インフルエンザウィルス発病者の多いインドネシアが、ウィルス株をWHOに引き渡しても遺伝子解析やワクチン開発能力で劣って資金的にも貧困である自国や同じような後進国が先進諸国の大企業の成果を高価に売りつけられるだけで自国の鳥インフルエンザ患者の治療になんら役立たないとウィルス株の引き渡しを強硬に拒否してきた事例(今は引き渡しに合意していますが)での製薬会社とインドネシアなどの東南アジア諸国の主張の食い違いを見ていても、
特許が何ら人類の進歩にも福祉にも貢献しなくなってるのではないか…と思えてならないです。
まったく別の(資本的な要請=投資の回収の一環として独占特許が組み込まれていて、投資家も特許目当てに投資してしまってる現状とは別の)研究開発のインセンティブを新たに作る必要があって、そこに乗っかる企業だけ乗っかってください。的な形に枠組み改めないとどうしょうもなくなっていませんか?
Re:制度疲労を起こしていて有害になりつつある(Re:制度の問題かな? (スコア:2)
いくつか「それは事実ですか」「その推論は論理的に誤りではないですか」と問いたいポイントがあるけど、とりあえずこれだけ。
「どうしようもなくなっているとは思いません」。現行の運用に問題があるとは思いますが、それは運用を改善するのが最も早く、かつ最小限の変化で問題解決にいたると考えます。
おっしゃる問題が「特許という制度そのものに起因する問題であり、運用の見直しでは解決できない」と主張されるのであれば、きちんとそれを書いてください。論拠が書かれていないので、私にはどれも運用で解決できそうな問題に思えます。
# 「制度そのものじゃなくて運用の問題だよね」という意見(#1623663)への反論ですよね? これ。
小手先の改善でやれるほど世界の傷は浅い傷ではない(Re:制度疲労を起こしていて (スコア:1)
「特許により独占的な権益を付与する事で研究開発に対するインセンティブを与えるという特許の根本的な考え方自体が、資本主義の高度化と言うか独占資本主義・特に研究開発リソースの大資本への集中や特許という独占権益自体が莫大な金を産んでしまうような方向に資本主義が進んでしまった事によって破綻している」
ということの一例としてバイオサイエンス系の研究・取り分け医薬品に於いて、特許が本来報われるべき生物素材を提供した人々やその成果を真っ先に享受せねばならぬはずの貧しい人々を排除して巨万の富を大企業や投資家にもたらすのみに齎すために専ら特許が使われてる現実を示したのですが。
# 後、モンサント社の種子ビジネスが種子を売りつけた相手の農家をとことん管理して
# モンサント社の種子がないと営農できなくされる…そこに歯向かう人々や自分が食うための
# 作物を別個に作付けする事をやめない人々に対しては特許権侵害を
# 理由とするもの凄い高額の損害賠償を提訴する…問題とかも特許制度がもたらした同様の悪弊なのですが。
つまりは、今の特許制度のモデル自体が既に時代遅れと言うか「運用の改善」では到底、特許制度の運用がもたらしてる深刻な社会的な問題を是正することは不可能な所まで来ててしまってるということです。
特許制度の根本理念にある研究開発のインセンティブの与え方自体が知の独占だけではなく(それから派生する)もの凄い数の搾取や収奪を作りだし・そして大規模な資本を持つ人々以外にその搾取の特権階級に新しく入り込む資格を与えないで搾取・収奪される側と搾取・収奪を行う側の固定化を齎しているのはそれだけ独占資本主義が強固になったことではありますが、そうであるからこそ特許制度自体を廃止する必要があると思いますよ。小手先の制度改善でどうにかなるような弊害がそんなにないような甘い状況ではなくなっています。
だから、「特許制度でインセンティブを与えるのはやめにして、別の思想でインセンティブを与えるように根本から変えるしかなくなってるだろう」的な事を書いた訳で…