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Krugman氏がノーベル賞を受賞した国際貿易分野では、貿易が賃金に与える影響の分析について様々な研究が行われています。最近のこの研究の文脈では、労働力はskilled labour(=熟練労働)、とnon skilled labour(=非熟練労働)に区別され、貿易を行う2国間の間でそれぞれのグループの賃金がどうなるか、ということが検討されます。このとき、熟練労働というのは大学やそれ以上の専門のトレーニングを受けた人によるオフィスワーク(ホワイトカラー)を言い換えられ、非熟練労働とは農業や工場労働のような肉体労働(ブルーカラー労働)と言い換えられます。
このような分類は、工業製品の貿易について議論を行うときであれば、オフィスワーカーと生産現場(工場)に対応した分類となり、分析のくくりとしては悪くありません。代表的な日本の貿易財である自動車であれば、IT化によって素材調達や在庫管理等の情報伝達の仕事は大幅に軽減され、同じ一台の自動車を売るために要する旧来の仕事はかなり軽減され、非熟練労働に対する熟練労働の比率は低下したのではないかと思います。
ところで、たれ込みのようにskilled labour(=熟練労働)を高学歴と訳すと、単なる大卒事務職よりも医者・弁護士のような単なる大卒以上の専門技術を有した労働が念頭に浮かびますが、この文脈で議論されているのは専門的な技能を有していない大卒労働者についてになります。今の日本は大学進学率が50%程度ですから、高と低の2つに分類するのであれば大卒を「高学歴」、と称するのも間違いではないでしょう。しかし、「高学歴」とするよりは「熟練労働」「ホワイトカラー労働」などとした方が本来の意図した職業がイメージされやすくなり、議論がしやすくなるかと思います。
ついでにコメントしておくと、これらの研究の文脈で用いられる分析の枠組みは前者の産業内での熟練労働の需要の増減を問題にしており、IT化による産業構造の変化については分析の検討としていません。IT化による熟練労働による産出物への需要の増加(ハードを買わずにソフトを購入するようになる)ような効果は入っていないので、案外Krugman氏の展望は当たらないのではないか?、と考えていたりします。
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あつくて寝られない時はhackしろ! 386BSD(98)はそうやってつくられましたよ? -- あるハッカー
skilled labour=「熟練労働」≠「高学歴」 (スコア:4, 参考になる)
Krugman氏がノーベル賞を受賞した国際貿易分野では、貿易が賃金に与える影響の分析について様々な研究が行われています。
最近のこの研究の文脈では、労働力はskilled labour(=熟練労働)、とnon skilled labour(=非熟練労働)に区別され、貿易を行う2国間の間でそれぞれのグループの賃金がどうなるか、ということが検討されます。
このとき、熟練労働というのは大学やそれ以上の専門のトレーニングを受けた人によるオフィスワーク(ホワイトカラー)を言い換えられ、非熟練労働とは農業や工場労働のような肉体労働(ブルーカラー労働)と言い換えられます。
このような分類は、工業製品の貿易について議論を行うときであれば、オフィスワーカーと生産現場(工場)に対応した分類となり、分析のくくりとしては悪くありません。
代表的な日本の貿易財である自動車であれば、IT化によって素材調達や在庫管理等の情報伝達の仕事は大幅に軽減され、同じ一台の自動車を売るために要する旧来の仕事はかなり軽減され、非熟練労働に対する熟練労働の比率は低下したのではないかと思います。
ところで、たれ込みのようにskilled labour(=熟練労働)を高学歴と訳すと、単なる大卒事務職よりも医者・弁護士のような単なる大卒以上の専門技術を有した労働が念頭に浮かびますが、この文脈で議論されているのは専門的な技能を有していない大卒労働者についてになります。
今の日本は大学進学率が50%程度ですから、高と低の2つに分類するのであれば大卒を「高学歴」、と称するのも間違いではないでしょう。
しかし、「高学歴」とするよりは「熟練労働」「ホワイトカラー労働」などとした方が本来の意図した職業がイメージされやすくなり、議論がしやすくなるかと思います。
ついでにコメントしておくと、これらの研究の文脈で用いられる分析の枠組みは前者の産業内での熟練労働の需要の増減を問題にしており、IT化による産業構造の変化については分析の検討としていません。
IT化による熟練労働による産出物への需要の増加(ハードを買わずにソフトを購入するようになる)ような効果は入っていないので、案外Krugman氏の展望は当たらないのではないか?、と考えていたりします。