アカウント名:
パスワード:
単に細菌で水素が使われているだけならまあそんなもんかという感じではありますが,幅広い生物群でとなると結構面白いかもしれません.
共生する細菌がということでなく、チューブワームやエビのような動物自身がそうした能力を持つということなら、確かに面白いですね。おそらくエビの祖先にそんな能力はないでしょうから、熱水噴出口付近で長いこと世代を経るうちに獲得したのだと思われますが、エネルギーを得る代謝のような生命活動の根源ともいえる機構が、後からホイホイ獲得できるというのはにわかには信じがたいことではあります。
水素を利用する遺伝子が古細菌と共通(?)なのだとすると、「古細菌とエビに共通に感染できるレトロウィルスがいて、種族間で遺伝子が交換されているのかも! わくわく」という刺激的な想像もできる一方、つまらない解釈として「実は、試料が古細菌のDNAで汚染されていたんじゃないの?」あたりも出てきそうですが。
>試料が古細菌のDNAで汚染されていたんじゃないの?
一応,著者が引いてる元論文の方では,深海の各種生物での当該遺伝子の類似性から系統樹っぽいものを書いたりしてる(=種ごとに違いがある)んで,全部がコンタミ由来って事はなさそうです.
また,広い範囲の異なる熱水噴出口に属する様々な種からよく似た遺伝子が検出されることから,著者らは(あくまで裏付けのない仮説として)「海水中を漂ってる細菌類が元々この手のヒドロゲナーゼの酵素を持っていて,(今回調べた熱水噴出口以外でも)それらから派生した様々な海水中の生物も実は水素代謝能とか持ってんじゃないの?」とかも提案しています.何でも海中生態系における水素の循環ってよくわかっていないらしいんですが,今回の結果で少なくとも熱水噴出口の生物群は水素を利用していることが判明,また広い生物種で類似の遺伝子が存在することが判明したことから,「もしかしたら我々が気付いていなかっただけで,深海からわき上がってくる水素が,中深度-深海の生態系において広く利用されている重要な栄養源の一つなんじゃないか?」という問題提起をしています.いやはや,意外にわかっていないことは山ほどあるものです.
より多くのコメントがこの議論にあるかもしれませんが、JavaScriptが有効ではない環境を使用している場合、クラシックなコメントシステム(D1)に設定を変更する必要があります。
※ただしPHPを除く -- あるAdmin
ちょっとびっくり (スコア:2)
共生する細菌がということでなく、チューブワームやエビのような動物自身がそうした能力を持つということなら、確かに面白いですね。おそらくエビの祖先にそんな能力はないでしょうから、熱水噴出口付近で長いこと世代を経るうちに獲得したのだと思われますが、エネルギーを得る代謝のような生命活動の根源ともいえる機構が、後からホイホイ獲得できるというのはにわかには信じがたいことではあります。
水素を利用する遺伝子が古細菌と共通(?)なのだとすると、「古細菌とエビに共通に感染できるレトロウィルスがいて、種族間で遺伝子が交換されているのかも! わくわく」という刺激的な想像もできる一方、つまらない解釈として「実は、試料が古細菌のDNAで汚染されていたんじゃないの?」あたりも出てきそうですが。
Re:ちょっとびっくり (スコア:1)
>試料が古細菌のDNAで汚染されていたんじゃないの?
一応,著者が引いてる元論文の方では,深海の各種生物での当該遺伝子の類似性から系統樹っぽいものを書いたりしてる(=種ごとに違いがある)んで,全部がコンタミ由来って事はなさそうです.
また,広い範囲の異なる熱水噴出口に属する様々な種からよく似た遺伝子が検出されることから,著者らは(あくまで裏付けのない仮説として)「海水中を漂ってる細菌類が元々この手のヒドロゲナーゼの酵素を持っていて,(今回調べた熱水噴出口以外でも)それらから派生した様々な海水中の生物も実は水素代謝能とか持ってんじゃないの?」とかも提案しています.
何でも海中生態系における水素の循環ってよくわかっていないらしいんですが,今回の結果で少なくとも熱水噴出口の生物群は水素を利用していることが判明,また広い生物種で類似の遺伝子が存在することが判明したことから,「もしかしたら我々が気付いていなかっただけで,深海からわき上がってくる水素が,中深度-深海の生態系において広く利用されている重要な栄養源の一つなんじゃないか?」という問題提起をしています.
いやはや,意外にわかっていないことは山ほどあるものです.