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日本の刑事訴訟法にも、「記録命令付差押え」という類似の規定があります。この条文では、対象のデータが国外にある場合の規定はありませんが、制定時の議論では、データが国外にある場合も対象になると説明されています。
第九十九条の二 裁判所は、必要があるときは、記録命令付差押え(電磁的記録を保管する者その他電磁的記録を利用する権限を有する者に命じて必要な電磁的記録を記録媒体に記録させ、又は印刷させた上、当該記録媒体を差し押さえることをいう。以下同じ。)をすることができる。第二百十八条 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発する令状により、差押え、記録命令付差押え、捜索又は検証をすることができる。この場合において、身体の検査は、身体検査令状によらなければならない。 刑事訴訟法 [e-gov.go.jp]
第九十九条の二 裁判所は、必要があるときは、記録命令付差押え(電磁的記録を保管する者その他電磁的記録を利用する権限を有する者に命じて必要な電磁的記録を記録媒体に記録させ、又は印刷させた上、当該記録媒体を差し押さえることをいう。以下同じ。)をすることができる。
第二百十八条 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発する令状により、差押え、記録命令付差押え、捜索又は検証をすることができる。この場合において、身体の検査は、身体検査令状によらなければならない。 刑事訴訟法 [e-gov.go.jp]
●第四の方ですが,対象物との関係ですが,これは,電磁的記録ですけれども記録命令差押令状に記載された場所にあるストレージに入れてある電磁的記録,これは当然含むわけですが,この「保管する者」ということで,この保管のところは,条約なんかとも関係しますけれども,令状記載の場所以外のところにある,そういう保管場所にストレージされている記録も含むということになるのでしょうか。●記録命令差押許可状の場合,場所というのは出てこないものであります。許可状のひな形にも書いておりますが,命令を受ける者が元になる記録をどこに保管しているかというのは,基本的に問わないといいますか,それは,どこかにあるものに限らなければならないとか,あるいはそれを特定しなければならないとか,そういう制度ではないと考えておりまして,したがいまして,場所という概念はその意味では出てこない,場所を問わないものと考えております。●そうすると,本邦外に保管しているものについても,要するに議論がかみ合わない以上は,保管の場所は問わない以上は,要するにこれで出せと命ずることができる,これに応じるかどうかは自由だと,こういうことになりますか。●自由かどうかということになりますと,命じられている以上応じる義務はあると。外国にあるものについても,その者が保管している,あるいは合法的にアクセスできるものである限り,オリジナルのデータとしては対象になると考えております。 法務省:法制審議会刑事法(ハイテク犯罪関係)部会第4回会議(平成15年6月2日開催) [moj.go.jp] 法制審議会刑事法(ハイテク犯罪関係)部会第4回会議 議事録(転載) [takagi-hiromitsu.jp]
●第四の方ですが,対象物との関係ですが,これは,電磁的記録ですけれども記録命令差押令状に記載された場所にあるストレージに入れてある電磁的記録,これは当然含むわけですが,この「保管する者」ということで,この保管のところは,条約なんかとも関係しますけれども,令状記載の場所以外のところにある,そういう保管場所にストレージされている記録も含むということになるのでしょうか。
●記録命令差押許可状の場合,場所というのは出てこないものであります。許可状のひな形にも書いておりますが,命令を受ける者が元になる記録をどこに保管しているかというのは,基本的に問わないといいますか,それは,どこかにあるものに限らなければならないとか,あるいはそれを特定しなければならないとか,そういう制度ではないと考えておりまして,したがいまして,場所という概念はその意味では出てこない,場所を問わないものと考えております。
●そうすると,本邦外に保管しているものについても,要するに議論がかみ合わない以上は,保管の場所は問わない以上は,要するにこれで出せと命ずることができる,これに応じるかどうかは自由だと,こういうことになりますか。
●自由かどうかということになりますと,命じられている以上応じる義務はあると。
外国にあるものについても,その者が保管している,あるいは合法的にアクセスできるものである限り,オリジナルのデータとしては対象になると考えております。 法務省:法制審議会刑事法(ハイテク犯罪関係)部会第4回会議(平成15年6月2日開催) [moj.go.jp] 法制審議会刑事法(ハイテク犯罪関係)部会第4回会議 議事録(転載) [takagi-hiromitsu.jp]
(「第四」とは議論時の文書における記録命令差押の番号)
この条項は、サイバー犯罪条約に対応するものですが、確かに条約はデータが自国内にあることを求めてはいないようです。
それから,第四の「記録命令差押え」でございますが,これにつきましては,サイバー犯罪に関する条約18条が,締約国に対しまして,協力的な第三者が保管するような電磁的記録に係る証拠の収集に当たりまして,複雑なコンピュータ・システムの種々の専門的な操作等を捜査機関が行うことを回避するとともに,被処分者,処分を受ける者にとってもより侵害性の弱い方法によることを可能とするものとして,電磁的記録の保管者等に電磁的記録を自ら提出させる制度の創設を求めておりますが,これを踏まえたものでございます。 法務省:法制審議会刑事法(ハイテク犯罪関係)部会第1回会議(平成15年4月14日開催) [moj.go.jp] 法制審議会刑事法(ハイテク犯罪関係)部会第1回会議 議事録(転載) [takagi-hiromitsu.jp]
第十八条 提出命令1 締約国は、自国の権限のある当局に対し次のことを行う権限を与えるため、必要な立法その他の措置をとる。 a 自国の領域内に所在する者に対し、当該者が保有し又は管理している特定のコンピュータ・データであって、コンピュータ・システム又はコンピュータ・データ記憶媒体の内部に蔵置されたものを提出するよう命令すること。 b 自国の領域内でサービスを提供するサービス・プロバイダに対し、当該サービス・プロバイダが保有し又は管理している当該サービスに関連する加入者情報を提出するよう命令すること。2 この条に定める権限及び手続は、第十四条及び第十五条の規定に従うものとする。3 この条の規定の適用上、「加入者情報」とは、コンピュータ・データという形式又はその他の形式による情報のうち、サービス・プロバイダが保有するサービス加入者に関連する情報(通信記録及び通信内容に関連するものを除く。)であって、それにより次のことが立証されるものをいう。 a 利用された通信サービスの種類、当該サービスのためにとられた技術上の措置及びサービスの期間 b 加入者の身元、郵便用あて名又は住所及び電話番号その他のアクセスのための番号並びに料金の請求及び支払に関する情報であって、サービスに関する契約又は取決めに基づいて利用可能なもの c 通信設備の設置場所に関するその他の情報であってサービスに関する契約又は取決めに基づいて利用可能なもの 外務省: サイバー犯罪に関する条約 [mofa.go.jp]
他方、他の規定、例えばリモートアクセス規定では、条約(第19条第2項)で「対象となるデータが自国の領域内にある――」と明記されているため、それに対応する刑事訴訟法の規定(第99条第2項、第218条第2項)は外国のデータには及ばないと説明されています(前出第1回会議 議事録)。
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サイバー犯罪条約と日本の刑事訴訟法 (スコア:3, 参考になる)
日本の刑事訴訟法にも、「記録命令付差押え」という類似の規定があります。
この条文では、対象のデータが国外にある場合の規定はありませんが、制定時の議論では、データが国外にある場合も対象になると説明されています。
(「第四」とは議論時の文書における記録命令差押の番号)
この条項は、サイバー犯罪条約に対応するものですが、確かに条約はデータが自国内にあることを求めてはいないようです。
他方、他の規定、例えばリモートアクセス規定では、条約(第19条第2項)で「対象となるデータが自国の領域内にある――」と明記されているため、それに対応する刑事訴訟法の規定(第99条第2項、第218条第2項)は外国のデータには及ばないと説明されています(前出第1回会議 議事録)。