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犯人は巨人ファンでA型で眼鏡をかけている -- あるハッカー
中国におけるCOTSと軍産複合体の成立 (スコア:3, 興味深い)
「市場支配」への野望(願望)がちらと伺えることを除けば、1980年代にアメリカ海軍が音響信号処理装置用に開発しようと
していた超高集積型チップ計画などとあまり変わりばえしないように見える。
しかるに「普及型」=民生用チップの場合、ものを言うのは技術力よりも製造コスト、政策よりも市場原理。
確かに人民日報の記事には、市場でトップレベルに立ちたいとは書いていないが、グローバルな市場の力の力のバックア
ップなしに、中国の国家の力だけで技術革新に追随してゆけるかどうかははなはだ疑問だと思う。
近来の西側諸国の軍用システムの開発製造においては、用途に応じた高価な専用システムをいちいち開発するのではなく、
民生品の著しい信頼性と汎用性、そして性能の向上を受けて、民生品を組み込む、あるいは民生品をそっくりそのまま使用
してコストを抑えるいわゆるCOTSがごく当り前になりつつある。
例えば、イラクが調達したPlayStation2が巡航ミサイルの地形マッピング誘導システムに転用される可能性を報じた記事は記
憶に新しいところだろう。
民生品によって汎用化されたシステムは、頻繁なアップデートに容易に対応できるという強みも持っている。 一般に、戦車や艦船
といった武器の開発には少なくとも10年の時間を要し、図面の段階では最新鋭だったはずの構成要素が、実用化された時に
はすっかり時代遅れになっていたという例は枚挙の暇もない。
しかるに、陳腐化した専用システムを改正するには、そのたびに相当規模の費用と工数を投入した改造を行わなければならな
いが、汎用化されモジュール化された民生品ならば、システムの改正は格段に容易に行える。
もちろん、人民日報の簡単な記事からあまり多くを読むのは危険であるが、彼らの言う国家安全の観点からは、つまりこういうこ
とは見えてこないだろうか。
1)かつてソ連は、西側の製品をそっくりそのまま盗用することで、年間100ないし200億ドルの軍事開発費 を節約していた。現
在の中国が同様のことをしているのも常識である。しかるに、その素晴らしく効率のよい方法論を放棄して、中国が冷戦と
中ソ対立時代に余儀なくされていたような閉鎖的な方法論に回帰するとはとても思えない。
2)中国軍は恐らくCOTSの価値について理解しているが、その実践方法については理解していない。
3)しかしたとえ世界市場でIntelやAMDに太刀打ちできないとしても、国内市場や第三世界市場においては、固有の政治的な
状況の下で、「龍芯」を組み込んだ廉価な武器や民生品が力を持つことは有り得る。それは、粗悪な中国製の装 甲車や艦船、
ミサイルがそこそこ売れている現状から類推できる。
4)つまるところ「龍芯」計画は、解放政策を通じて、今や中国にも、資本の蓄積と国家権益の追求とを結合させるところの軍産複
合体が形成されつつあることを意味しているのではないだろうか。その性質は、西側型とソ連型の中間的なもののようにも見える。