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https://www.nissin.com/jp/news/11597 [nissin.com]
プレスリリースに実験内容が書いてある
臨床実験2:男女104名を2群にランダムに振り分け、52名に乳酸菌、52名にプラセボを与えた結果:群間での有意差は認められなかった
臨床実験2の追加実験:毛乳頭細胞が少ないことが推測される18名を除いた被験者86名で再実験結果:群で有意差が認められた
前半の実験結果が全てですが、基本的に効果はなく一部の都合が悪い人を除外して無理やり結果をでっち上げたという雰囲気です。p値ハッキングと批判されるべき研究だと思います。
全体では効果が無いけど、層別したらある領域に対しては効果があった、っていうのは、自分の関わっているような製品分野では重要な知見となるのですが、医薬品分野では眉唾扱いなんですね。
QC七つ道具に「層別」を入れることがあるくらい一般的なんですが…
有意かどうかの判断は、「試験したいものとプラセボを与えたそれぞれの群で同じ結果が出る」という帰無仮説をたてて、「その仮説が成立しているなら5%ぐらいの確率でしか起こらない偏った結果が発生したから、帰無仮説を否定してよさそう」とやるわけだよね。実験後にいろいろな条件で調べちゃうと、その中に20回に1回ぐらいの偏りが発生している項目はあるので、そういうのが引っかかってくるという問題があるわけ。だから、結果を得た後に条件を追加して調べた中に偏ったものがあっても、有意な違いがあったとは言ってはいけない。もう一回同じ実験をその条件でやり直して、偏りがある結果が得られればOK。
批判している人は、「結果が得られた後に条件を追加して調べた中に偏ったものがあった」という発表だと判断して批判しているのね。#4466411 で書いたけど、それは必ずしも明らかではなくて、実験開始前に「毛乳頭細胞が少ない人には効果がないかも」と考えて、その比較もできるように実験をデザインしていたのであれば、結果が得られた後に条件を追加して調べたわけではないから、有意差ありという結論を出しても問題ない。
「層別したらある領域に対しては効果があったみたいな話は医薬品分野では考えられていないのか」という話に関してだけど、新しい薬の試験では、第1相で安全性を確認し、第2相から仮説を立てて有意な結果が得られるかどうかを調べ始めるのね。第2相では、すぐに仮説を検証するのではなくて、どういう条件で効果がありそうかを見ることに重点を置いて(探索的臨床試験)、そこで得られた結果に基づいて仮説を立てて、最後に第3相で有意性を確認するという手続きを取る。なので、そういう話は、医薬品分野でも考えられていると言っていいのではないかと思う。
去年、塩野義のコロナ経口薬のゾコーバの試験で似たような話があって、第2相では、コロナの症状全部に関しては有意な結果が得られなかったんだけど、鼻水、喉の痛み、咳、息切れという呼吸器症状だけなら十分偏った結果になっているというので、その結果で緊急承認しようとしたんだわ。だけど、それって結果を得てから追加した条件でしょ、ってことで問題になって、緊急承認は見送りになって、結局、第3相の途中結果で緊急承認した。試験開始前に呼吸器症状だけしか効果がでないかも、という予想がついてれば、第2相で緊急承認できたかもしれないけど、まあ難しいよね。
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https://www.nissin.com/jp/news/11597 [nissin.com]
プレスリリースに実験内容が書いてある
臨床実験2:男女104名を2群にランダムに振り分け、52名に乳酸菌、52名にプラセボを与えた
結果:群間での有意差は認められなかった
臨床実験2の追加実験:毛乳頭細胞が少ないことが推測される18名を除いた被験者86名で再実験
結果:群で有意差が認められた
前半の実験結果が全てですが、基本的に効果はなく
一部の都合が悪い人を除外して無理やり結果をでっち上げたという雰囲気です。p値ハッキングと批判されるべき研究だと思います。
Re: (スコア:0)
全体では効果が無いけど、層別したらある領域に対しては効果があった、
っていうのは、自分の関わっているような製品分野では重要な知見となるのですが、
医薬品分野では眉唾扱いなんですね。
QC七つ道具に「層別」を入れることがあるくらい一般的なんですが…
Re:眉唾 (スコア:1)
有意かどうかの判断は、「試験したいものとプラセボを与えたそれぞれの群で同じ結果が出る」という帰無仮説をたてて、「その仮説が成立しているなら5%ぐらいの確率でしか起こらない偏った結果が発生したから、帰無仮説を否定してよさそう」とやるわけだよね。実験後にいろいろな条件で調べちゃうと、その中に20回に1回ぐらいの偏りが発生している項目はあるので、そういうのが引っかかってくるという問題があるわけ。だから、結果を得た後に条件を追加して調べた中に偏ったものがあっても、有意な違いがあったとは言ってはいけない。もう一回同じ実験をその条件でやり直して、偏りがある結果が得られればOK。
批判している人は、「結果が得られた後に条件を追加して調べた中に偏ったものがあった」という発表だと判断して批判しているのね。#4466411 で書いたけど、それは必ずしも明らかではなくて、実験開始前に「毛乳頭細胞が少ない人には効果がないかも」と考えて、その比較もできるように実験をデザインしていたのであれば、結果が得られた後に条件を追加して調べたわけではないから、有意差ありという結論を出しても問題ない。
「層別したらある領域に対しては効果があったみたいな話は医薬品分野では考えられていないのか」という話に関してだけど、新しい薬の試験では、第1相で安全性を確認し、第2相から仮説を立てて有意な結果が得られるかどうかを調べ始めるのね。第2相では、すぐに仮説を検証するのではなくて、どういう条件で効果がありそうかを見ることに重点を置いて(探索的臨床試験)、そこで得られた結果に基づいて仮説を立てて、最後に第3相で有意性を確認するという手続きを取る。なので、そういう話は、医薬品分野でも考えられていると言っていいのではないかと思う。
去年、塩野義のコロナ経口薬のゾコーバの試験で似たような話があって、第2相では、コロナの症状全部に関しては有意な結果が得られなかったんだけど、鼻水、喉の痛み、咳、息切れという呼吸器症状だけなら十分偏った結果になっているというので、その結果で緊急承認しようとしたんだわ。だけど、それって結果を得てから追加した条件でしょ、ってことで問題になって、緊急承認は見送りになって、結局、第3相の途中結果で緊急承認した。試験開始前に呼吸器症状だけしか効果がでないかも、という予想がついてれば、第2相で緊急承認できたかもしれないけど、まあ難しいよね。