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まぁ、そういう世相に迎合するように作られた現代日本
[宮崎氏] え~と、あの、予算を組んで、日本のアニメーションを産業に しようという動きが東京都であったり、杉並区が補助金を出そうと言ったり、 いろんな動きが出ていますが、僕の本心は、日本のアニメはどん詰まりまで きていると思います。僕よりも20歳も若い庵野(秀明)という監督が、
ただ、多分日本のアニメーションということに限らず、今の日本の、日本で一番 流行っている生活のしかたに、なにか根本的に問題があるんじゃないか…。 結局は、そういうところにぶつかるしかない。 『ジャパニメーション』とかいって、多くの作品が海外に出ているようだけど、 どれだけ売れるかということはつまらないことで、たいして売れません。 幾ばくかは売れるかもしれないけど。そうして出ている作品というのも、 暴力行為やいやらしい描写、 要らんことをくっちゃべっているようなビデオばかりで、 東京都の人たちがアニメを支援すると言っているけど、 そういうのを観て言っているのかと、僕は本当に疑問を感じているんですがね。 そういう、『ジャパニメーション』って一言では括れない、くだらなさを充分に 持っているんで、日本のアニメーションが世界いっぱい広がっていったら、 恥をかくだけの道具でもあることを忘れないで欲しいと思います。以上です。
---今日本で一番流行っている生活について、少し問題があるんじゃないかと おっしゃいましたけど、どういうことか、もう少し具体的に聞きたいのですが。
[宮崎氏] 僕が高校生の頃は、マンガを読んでいる奴は、『あいつらバカだ』と。 で、だいたい中学になる頃にはマンガを卒業していましたよ。 卒業しない人が『漫画少年』か何かに投稿していたりしたらしいんですけど。 だいたいそうやって卒業していくものでしょう? 『子供たちをマンガから出る悪影響からどうやって守るか』という 小論文がよく出ていた。僕はずっと読んでいました。 その頃は、まだ大人が抵抗していたんですよ。 その直後、これは(鈴木)プロデューサーの世代なんですが、 「少年サンデー」を持って大学に行くようになるという時代に なるんですけど(笑)。それは最初はポーズだったんですけどね。 そうした人たちが本当にサラリーマンになり、大人になり、 電車の中でマンガを読むというふうになる。 もちろんテレビではマンガの悪影響はさんざん論じられてました。 でもそのあと、だんだん皆弱気になっていきましてね。 もうゲームが出ちゃったときには、 「ゲームに理解を示さない奴は時代遅れじゃないか」と、 だらしない会話をするようになる。 今、大新聞でゲーム気が何台売れたと嬉しそうに書くでしょう。 その結果、自分の子供たちがどういう目にあっているか、 なぜ誰も報じないんだろうと。
僕は確かにビデオを売らざるを得ないと言うか、 情けないんですけれども、ビデオを売っています。 事あるごとに、「あまり観せないで下さい」と言っているつもりなんですが、 「うちの子は1日に3度は必ず『トトロ』を観ます」という母親の方などに 会うわけです。『トトロ』を一日に3回観るということは、 4時間から5時間くらいはテレビの前に座っているということです。 で、その5時間の間に、この子は本当ならどれだけの体験ができたのかってね。 トトロに抱きついて、ブラウン管にキスしたって、 なにも生れることはないんですよ。 『トトロ』のパッケージに「誕生日にだけ観せて下さい」と書けば 良いのかもしれませんけども(笑)。 そんなことをやってて、まともな子供が育ったことはないんでね。 それは人も殺すし、バットで人を殴りもしますよ! そんな当たり前のことを、なんで大新聞は指摘しないんだろうと思うんです。
ただこれが表現の制限になってしまうと、また別な問題に発展してしまうし、 だから個々の家庭の親に任されてしまうんですよね。 で、親は出かけていって、子供は家でゲームをやっている。 お母さんは携帯をかけていて、子供は横でゲームをやっている。 こんなだらしない国になるなんて、いったいどうなっちゃったんだろうと 思うんです。それは子供たちがだらしないんじゃなくて、その親がだらしない! その親の親がだらしない! よってたかってこの国を壊して。
僕らもアニメーション作って、ビデオを随分売っているんで矛盾しているんだけど、 どこでブレーキをかけて正気に戻すんだろうって。 そうしないと子供たちは、ますます現実感のないまま育っていく。 まして日本語を覚えてさえいないのに、英語を覚えさせられてですね、 火も消せない、火も付けられない、ナイフも使えないのに パソコンのキーだけ押すようになって…… こんな民族が健康に生きていくはずないじゃないですか。 そんなの分かりきったことじゃないか!! なぜそれを誰も言わないんだろう、ということです。 これは、一軒の家庭の親が何とかして、自分の子供だけまともにしようとしても 無理なんですよ。これは、皆さん分かると思いますが、 何とかして地域が、その子供たちがいる環境や 子供たちの感覚が発展できるような空間を、 意識的に作らないといけない。 それを通常のコスト計算でやっていたらできっこない。 コスト計算というのは、これだけのお金をかけて、これだけ回収しなきゃ いけないから、面積は何平米です、高さはこんだけですという、 僕らが家を買ったり、家を売ったりするときに縛られているものです。 そうしたコスト計算のまま子供の空間を考えていたら、 この国はますます不良債権を積み重ねるだけだと思います。 それがこの国の一番大きな問題だと思います。 株価がどうとかはどうでもいいんです。 子供たちが元気かどうかということなんです。 それで僕らは30何年間映画を作ってきましたけれど、 喜ばれれば喜ばれるほど、テレビの前で『トトロ』を3回という話になって…… 本当にジレンマを感じます。そういうことなんです。
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吾輩はリファレンスである。名前はまだ無い -- perlの中の人
宮崎発言の真意はアニメ批判より子育て批判では? (スコア:4, すばらしい洞察)
まぁ、そういう世相に迎合するように作られた現代日本
アニメージュより宮崎氏の発言、該当部分全文 (スコア:2, 参考になる)
# 検索しても、発言全文を記したものは見当たらなかったので、敢えて
---…これまでにも世界中で日本のアニメは人気があったと思うんですが、 今回の受賞によって日本のアニメが世界で認められたことについて、 どのように思いますか?# ここに転記します。公の場での会見ゆえ、著作権的には問題ないはず…
# それが宮崎氏の望みでもあるはず。
# まずかったらご免なさい…(bold は私の独断です)
[宮崎氏] え~と、あの、予算を組んで、日本のアニメーションを産業に しようという動きが東京都であったり、杉並区が補助金を出そうと言ったり、 いろんな動きが出ていますが、僕の本心は、日本のアニメはどん詰まりまで きていると思います。僕よりも20歳も若い庵野(秀明)という監督が、
「自分達はコピー世代の最初だ。その後の世代は全部コピーのコピーだ。 そしていまや、コピーのコピーのコピーになっている。それがどれほど 歪んで薄くなるか分かるでしょう。自分で観てきたものをそのまま描いて いるんじゃない」
という言い方をしていますけど、それは、 自分の周りの若い人たちと付き合って、僕自身も痛切に感じていることです。 それをどうしていくのかは、僕らではなくて、その人達に課せられた課題だと 思うんですよ。ただ、多分日本のアニメーションということに限らず、今の日本の、日本で一番 流行っている生活のしかたに、なにか根本的に問題があるんじゃないか…。 結局は、そういうところにぶつかるしかない。 『ジャパニメーション』とかいって、多くの作品が海外に出ているようだけど、 どれだけ売れるかということはつまらないことで、たいして売れません。 幾ばくかは売れるかもしれないけど。そうして出ている作品というのも、 暴力行為やいやらしい描写、 要らんことをくっちゃべっているようなビデオばかりで、 東京都の人たちがアニメを支援すると言っているけど、 そういうのを観て言っているのかと、僕は本当に疑問を感じているんですがね。 そういう、『ジャパニメーション』って一言では括れない、くだらなさを充分に 持っているんで、日本のアニメーションが世界いっぱい広がっていったら、 恥をかくだけの道具でもあることを忘れないで欲しいと思います。以上です。
---今日本で一番流行っている生活について、少し問題があるんじゃないかと おっしゃいましたけど、どういうことか、もう少し具体的に聞きたいのですが。
[宮崎氏] 僕が高校生の頃は、マンガを読んでいる奴は、『あいつらバカだ』と。 で、だいたい中学になる頃にはマンガを卒業していましたよ。 卒業しない人が『漫画少年』か何かに投稿していたりしたらしいんですけど。 だいたいそうやって卒業していくものでしょう? 『子供たちをマンガから出る悪影響からどうやって守るか』という 小論文がよく出ていた。僕はずっと読んでいました。 その頃は、まだ大人が抵抗していたんですよ。 その直後、これは(鈴木)プロデューサーの世代なんですが、 「少年サンデー」を持って大学に行くようになるという時代に なるんですけど(笑)。それは最初はポーズだったんですけどね。 そうした人たちが本当にサラリーマンになり、大人になり、 電車の中でマンガを読むというふうになる。 もちろんテレビではマンガの悪影響はさんざん論じられてました。 でもそのあと、だんだん皆弱気になっていきましてね。 もうゲームが出ちゃったときには、 「ゲームに理解を示さない奴は時代遅れじゃないか」と、 だらしない会話をするようになる。 今、大新聞でゲーム気が何台売れたと嬉しそうに書くでしょう。 その結果、自分の子供たちがどういう目にあっているか、 なぜ誰も報じないんだろうと。
僕は確かにビデオを売らざるを得ないと言うか、 情けないんですけれども、ビデオを売っています。 事あるごとに、「あまり観せないで下さい」と言っているつもりなんですが、 「うちの子は1日に3度は必ず『トトロ』を観ます」という母親の方などに 会うわけです。『トトロ』を一日に3回観るということは、 4時間から5時間くらいはテレビの前に座っているということです。 で、その5時間の間に、この子は本当ならどれだけの体験ができたのかってね。 トトロに抱きついて、ブラウン管にキスしたって、 なにも生れることはないんですよ。 『トトロ』のパッケージに「誕生日にだけ観せて下さい」と書けば 良いのかもしれませんけども(笑)。 そんなことをやってて、まともな子供が育ったことはないんでね。 それは人も殺すし、バットで人を殴りもしますよ! そんな当たり前のことを、なんで大新聞は指摘しないんだろうと思うんです。
ただこれが表現の制限になってしまうと、また別な問題に発展してしまうし、 だから個々の家庭の親に任されてしまうんですよね。 で、親は出かけていって、子供は家でゲームをやっている。 お母さんは携帯をかけていて、子供は横でゲームをやっている。 こんなだらしない国になるなんて、いったいどうなっちゃったんだろうと 思うんです。それは子供たちがだらしないんじゃなくて、その親がだらしない! その親の親がだらしない! よってたかってこの国を壊して。
僕らもアニメーション作って、ビデオを随分売っているんで矛盾しているんだけど、 どこでブレーキをかけて正気に戻すんだろうって。 そうしないと子供たちは、ますます現実感のないまま育っていく。 まして日本語を覚えてさえいないのに、英語を覚えさせられてですね、 火も消せない、火も付けられない、ナイフも使えないのに パソコンのキーだけ押すようになって…… こんな民族が健康に生きていくはずないじゃないですか。 そんなの分かりきったことじゃないか!! なぜそれを誰も言わないんだろう、ということです。 これは、一軒の家庭の親が何とかして、自分の子供だけまともにしようとしても 無理なんですよ。これは、皆さん分かると思いますが、 何とかして地域が、その子供たちがいる環境や 子供たちの感覚が発展できるような空間を、 意識的に作らないといけない。 それを通常のコスト計算でやっていたらできっこない。 コスト計算というのは、これだけのお金をかけて、これだけ回収しなきゃ いけないから、面積は何平米です、高さはこんだけですという、 僕らが家を買ったり、家を売ったりするときに縛られているものです。 そうしたコスト計算のまま子供の空間を考えていたら、 この国はますます不良債権を積み重ねるだけだと思います。 それがこの国の一番大きな問題だと思います。 株価がどうとかはどうでもいいんです。 子供たちが元気かどうかということなんです。 それで僕らは30何年間映画を作ってきましたけれど、 喜ばれれば喜ばれるほど、テレビの前で『トトロ』を3回という話になって…… 本当にジレンマを感じます。そういうことなんです。