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BBCは男性の後頭部の写真を使っているので勘違いしてしまいやすいですが、Wnt は別にハゲの遺伝子ではありません。Wnt はいろいろな働きをしていますが、今回の場合、敢えて言うなら毛生え遺伝子です。この元の報告はNature 447, 316-320 (17 May 2007) に報告された論文で、タイトルは Wnt-dependent de novo hair follicle regeneration in adult mouse skin after wounding です。
この報告のミソは「成体でも体毛が再生できる能力がある」ということです。これまで毛嚢(体毛を作り出す器官)は胎児の時期にのみ作られると考えられていて、生後に外傷などによって失われた毛嚢は復活しないというのが広く受け入れられている学説でした。しかし、今回の報告では創傷によって毛嚢が新たに形成されることを明確に示しています(実際には15年前にも報告はあったが直接的な証拠ではなかったそうです)。そして、毛の新生過程でWntが働いていることを明らかにしています。Wnt をたくさん発現させると毛が増え、Wnt を働かないようにしておくと毛ができません。
こういう基礎研究では応用面をアピールすることでインパクトを上げようとします。そして今回のような話題の場合、しばしばマスコミはおもしろおかしく取り上げるので、読者には本来とはかけ離れた内容で伝わることがあります。
# どうにかならないかしら。
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身近な人の偉大さは半減する -- あるアレゲ人
敢えて言うなら毛生え遺伝子 (スコア:5, 参考になる)
BBCは男性の後頭部の写真を使っているので勘違いしてしまいやすいですが、Wnt は別にハゲの遺伝子ではありません。Wnt はいろいろな働きをしていますが、今回の場合、敢えて言うなら毛生え遺伝子です。この元の報告はNature 447, 316-320 (17 May 2007) に報告された論文で、タイトルは Wnt-dependent de novo hair follicle regeneration in adult mouse skin after wounding です。
この報告のミソは「成体でも体毛が再生できる能力がある」ということです。これまで毛嚢(体毛を作り出す器官)は胎児の時期にのみ作られると考えられていて、生後に外傷などによって失われた毛嚢は復活しないというのが広く受け入れられている学説でした。しかし、今回の報告では創傷によって毛嚢が新たに形成されることを明確に示しています(実際には15年前にも報告はあったが直接的な証拠ではなかったそうです)。そして、毛の新生過程でWntが働いていることを明らかにしています。Wnt をたくさん発現させると毛が増え、Wnt を働かないようにしておくと毛ができません。
こういう基礎研究では応用面をアピールすることでインパクトを上げようとします。そして今回のような話題の場合、しばしばマスコミはおもしろおかしく取り上げるので、読者には本来とはかけ離れた内容で伝わることがあります。
# どうにかならないかしら。