著作権切れ作品の写真のアップロードに対して、ロンドンの国立肖像画美術館 (NPG) がどういう理屈でやめろと言っているのか、タレコミ文からはわからなかったのですが、 Wikimedia Foundation の Erik Moeller さんのブログ記事によれば、 NPG は自分たちが復元してできた作品の著作権は自分たちにあると主張しているようですね。ブログ記事から引用 (強調は原文):
Both the NPG and Wikimedia agree that the paintings depicted in these images are in the public domain – many of these portraits are hundreds of years old, all long out of copyright. However,
美術館も大変だ (スコア:2)
著作権切れ作品の写真のアップロードに対して、ロンドンの国立肖像画美術館 (NPG) がどういう理屈でやめろと言っているのか、タレコミ文からはわからなかったのですが、 Wikimedia Foundation の Erik Moeller さんのブログ記事によれば、 NPG は自分たちが復元してできた作品の著作権は自分たちにあると主張しているようですね。ブログ記事から引用 (強調は原文):
Re: (スコア:1)
> 美術館は復元・維持の費用をどうやって回収すれば良いのでしょう。
民間ならともかく、国営なら別に、回収する必要ないのでは?
1を聞いて0を知れ!
Re:美術館も大変だ (スコア:2)
確かにそうですね。「費用を回収する」というのは公的機関のすることを表現する言葉としては不適切だったかもしれません。しかし、僕の論旨は民間の美術館でも公営の美術館でも変わりません。
国立肖像画美術館の収入の内訳など知らないのですが、入場料など良い作品を持っているほど増える類の収入が主だと仮定します。そうすると、ネット上の写真で多くの人が満足してしまうなら、これまで得られていた収入が大幅に減ることになるでしょう。減った分の収入は、今まで無駄に利益を上げていたのでない限り何らかの形で補填する必要があります。それをどう補填すれば良いのでしょう、というつもりで書きました。
国内に、税金を使って補填しても良いと思う人も多数いるでしょうけれど、そう思わない人も多数いるでしょう。なので、公営だから大丈夫なんてことは全然ありません。ネットに有益な写真が出てきたことを歓迎して、誰か美術館に収入減の分を寄付してくれるならそれで良いでしょうけれど。
Re:美術館も大変だ (スコア:1)
この手の話によくあることですが、議論の前提が、
「ある美術品に関心のある人数が一定」であり、「ネットで画像を見たユーザはその美術品の実物を見に美術館に足を運ばなくなる」事が前提になっていますよね。
しかし、「ネットで画像を公開することで新たにその美術品に関心を寄せる人を生む」ことや、「美術品の画像をネットでを見たことで実物を見たくなる」ことがあり得ます。
たとえば、プロスポーツの試合をネットやテレビ等のメディアで紹介することを一切やめたとしたら、今ほど球場に人が足を運ぶでしょうか?
ネットに美術品を公開することの収支への影響を簡単に見積もってみると、「元々の知名度」が低ければ低いだけネットによって「関心」を寄せる人の数は多く、「画像と実物の差」が高ければ高いほど「画像を見て実物を見たくなる人の数」が多くなるでしょう。
前者の影響は元々の知名度については美術品には疎いのでよくわかりません。
後者の影響については、美術館が見事な修復をしていればしているだけ来客が増加しそうです。
となれば、ネットへの画像の公開は美術館の修復事業の採算性を高め、美術品の価値や美術館の運営にポジティブな影響を与えるのではないでしょうか?
Re:美術館も大変だ (スコア:2)
美術作品の高精細な写真をインターネットで公開することが美術館にとってプラスにはたらく可能性は、少なくとも短期的な話としては否定しません。しかし、それは可能性の話です。美術館にとってプラスにはたらく可能性があっても、 #1612684 [srad.jp] で書いたように、作品の高精細な写真がインターネットに出回ることで美術館の収入が減ることに対する懸念を、僕は拭えません。特に、もしも美術館がそのような可能性を懸念しているとしたら、その懸念は理解できます。
また、僕は「ネットで絵画の写真を見たことで実物を見たくなる」というのは過渡期の現象だと思っています。僕がバーチャルリアリティーに幻想を抱いているだけかもしれませんが。
壁一面がディスプレイになっている部屋と、ネットで公開されている絵画の高精細な写真と、誰かが作って無料または安い価格で配布しているソフトウェアを組み合わせて、クリック一つで絵画のギャラリーっぽいものが壁一面に再現されるという程度のことは、そう遠くない将来実現すると思っています (何十年先かわかりませんが、美術館が今から心配する「将来」の範囲に入っていてもおかしくない程度のタイムスパンで)。そのときに、わざわざ美術館に足を運んで実物を見たいと思う人がどれだけいるでしょう。いることはいるけれどごく少数だと予想します。
彫刻など他の美術作品の形態を考えると、絵画に比べてこういうことは実現が困難でしょうが、それとて時間差の問題でしかないのではと思います。
もちろんスポーツのメディアへの露出が減れば競技場に行く人は減るでしょう。しかし、タイムスパンを無視して極論すると、競技場に行くのはテレビ等のメディアの臨場感が不十分だからであり、技術が発達すれば競技場に行く意味はほぼなくなります。
Re:美術館も大変だ (スコア:1)
将来の技術の発展によって実物を鑑賞することが不要になったとき、美術館や劇場、競技場などの実物を展示するサービスは必要ですか?
実物に触れることの価値が無くなったのであれば、価値のないサービスを提供する組織が潰えるのは理にかなった結果でしょう。
Re:美術館も大変だ (スコア:2)
すべての人にとって実物が不要になれば、実物を保存する組織自体が不要になるでしょうが、そういうことはおそらくないでしょう。
ほとんどの人にとって実物が不要になっても、研究者や一部の愛好家等ごく一部の人だけが実物を猛烈に見たがっている、という状況を僕は想像します (僕が #1612684 [srad.jp] で「実物を見なくても『ほとんどの人』が満足してしまうとしたら」と書いていたのはそういうわけです)。でもその人だけでは費用を賄えないでしょうから、少数派は諦めるしかありません。そういう将来が良いかどうかということです。僕は、にわかに良しとは言えません。
Re:美術館も大変だ (スコア:1)
パブリックドメイン化した美術品の実物に触れたいごく一部の人のためにどうやって美術品の実物に触れられる体制を残すか、という目的と、多数の人が満足できる電子化を両立するような形態を考えれば良いのではないでしょうか?
現行の美術館という仕組みがそれに適さなくなったとき、美術館という組織はなくなるかもしれなせん。
しかし、現状の皇室由来の遺跡などのように美術館とは異なる形態で公的資金によって実物が維持され、一般の人はデータだけで満足しているものが存在しているように、電子化を禁止しなくとも実物を残すことは出来るでしょう。
また、公的資金がなくとも、一部の好事家によって収集され、保持されているものもありますよね。
切手や旧紙幣のコレクターなんかはよい例です。
とはいえ、そのような形態では現状よりも保持される実物は減るでしょう。
どの程度の量の実物が長期にわたって保持されるべきかは価値観の問題ですが、パブリックドメイン化した美術品の電子化を禁止すべ根拠にはならないように思えます。
Re: (スコア:0)
絵画の実物に触れられるのと、それ以降にある例は同じでしょ。切手などに関わらず、絵画にも好事家は沢山いるでしょう。
インターネット上で先祖や宗教などを祈ることができる神社のサイトがあっても、墓や協会には必ず決まった時期に足を運ぶものです。
Re:美術館も大変だ (スコア:1)
元のコメントが実物を見ない人が殆どになったときに備えて電子化をすべきではない、という趣旨だと理解していたので、実物を見ない人が殆どになったからといって電子化をすべきではないという根拠にはならないだろうという話をしているんですよ。
切手やらの例は殆どの人が興味を持たれない例です。
Re: (スコア:0)
ネットの写真で満足できる人がそんなにいるなら、文化遺産オンライン [nii.ac.jp]ももっと賑わって、
各地の美術館に行列ができることもないのでしょうが。