アカウント名:
パスワード:
BZ反応は、演示実験としてやるのは面白いのですが、物理化学的な測定をするのはかなり困難な系ですね。というのも、理由はいくつかあって、
1.系の均一性を担保するのが困難
実験をしたことのある人だと納得してくれるとおもいますが、反応中にスターラーを止めると、みるみるうちに溶液が不均化し、まだら模様から空間秩序(カオス!)を形成します。鉄フェナントロリン錯体の色が変わる瞬間は、溶液の成分の濃度変化が非常に急で、濃度が数桁変動します。(参考:Scholarpedia内のOregonator解説記事にあるリミットサイクルの図 [scholarpedia.org])均一な系を維持するためには高速な攪拌が要求されるので、マグネティックスターラーが必須になりますが、1日以上安定して回転させることのできる、溶液容量と容器と攪拌子の組み合わせを確定するのはちょっと大変です。
そして、状態の測定には、溶液に分光器なり酸化還元電極なりを入れないといけないのですが、攪拌子とぶつからないように設置する必要があり、結局、一回の反応で溶液は数十ml~200ml程度必要になってきます。
2. 廃液処理が面倒
実験が終わると、重金属(Ce)と臭化物イオンと臭素酸イオンと有機臭素化合物と芳香族を含む廃液がでます。臭素入りの廃液は特別扱いが必要ですし、有機化合物と無機塩を両方含む溶液は、いったん燃焼させないといけないので、まとまった量の廃液が出ると、結構処理が面倒です。
ということで、濃度と再点火現象の関係をみるのに何十回も長時間の反応をさせないといけない事を鑑みると、周囲のサポートも相当大変だったのではと推察されます。
。。。。。。
余談ですが、BZ反応の主要部分の一番簡単なモデルがOregonatorなのですが、これが非常に硬い常微分方程式系で、しかも条件によっては、リミットサイクルがストレンジアトラクタ(カオス!)になることが知られています。計算しようとすると古典的なルンゲ・クッタ法では歯がたたず、高い安定性を持ち、ステップ毎の振動が発生しにくい手法をとる必要があります。
おそらく、陰的オイラー公式で泣く泣く我慢するか、陰的ルンゲ・クッタ法という超兵器(一から実装するのは辛い意味で)を持ち出すしかないでしょう。
しかも、今回の現象をシミュレーションで再現するには、マロン酸の減少や、鉄フェナントロリン錯体の分解まで考慮する必要があり、FKNモデルを拡張した系によるシミュレーションが必要だろうと推測されます。
はたして、振動が再発火するメカニズムは解明できるでしょうか?
攪拌装置の電源を切り忘れていたとしたら、それは良くない!(一応教育的指導は必要でしょう)
web上の情報を見てもBZ反応の停止条件がどうなってるのか良く分からない. 今まで赤/青の色変化が終わるのが反応停止だとされていたのならば、今回一晩たって黄色になっていたのを見つけたのが何よりの大発見.(黄色になるのがもう一つの平衡状態・安定状態?)
より多くのコメントがこの議論にあるかもしれませんが、JavaScriptが有効ではない環境を使用している場合、クラシックなコメントシステム(D1)に設定を変更する必要があります。
計算機科学者とは、壊れていないものを修理する人々のことである
この研究は頭がさがる (スコア:5, 興味深い)
BZ反応は、演示実験としてやるのは面白いのですが、物理化学的な測定をするのはかなり困難な系ですね。
というのも、理由はいくつかあって、
1.系の均一性を担保するのが困難
実験をしたことのある人だと納得してくれるとおもいますが、
反応中にスターラーを止めると、みるみるうちに溶液が不均化し、まだら模様から空間秩序(カオス!)を形成します。
鉄フェナントロリン錯体の色が変わる瞬間は、溶液の成分の濃度変化が非常に急で、
濃度が数桁変動します。(参考:Scholarpedia内のOregonator解説記事にあるリミットサイクルの図 [scholarpedia.org])
均一な系を維持するためには高速な攪拌が要求されるので、マグネティックスターラーが必須になりますが、
1日以上安定して回転させることのできる、溶液容量と容器と攪拌子の組み合わせを確定するのはちょっと大変です。
そして、状態の測定には、溶液に分光器なり酸化還元電極なりを入れないといけないのですが、
攪拌子とぶつからないように設置する必要があり、
結局、一回の反応で溶液は数十ml~200ml程度必要になってきます。
2. 廃液処理が面倒
実験が終わると、重金属(Ce)と臭化物イオンと臭素酸イオンと有機臭素化合物と芳香族を含む廃液がでます。
臭素入りの廃液は特別扱いが必要ですし、
有機化合物と無機塩を両方含む溶液は、いったん燃焼させないといけないので、
まとまった量の廃液が出ると、結構処理が面倒です。
ということで、濃度と再点火現象の関係をみるのに何十回も長時間の反応をさせないといけない事を鑑みると、
周囲のサポートも相当大変だったのではと推察されます。
。。。。。。
余談ですが、BZ反応の主要部分の一番簡単なモデルがOregonatorなのですが、
これが非常に硬い常微分方程式系で、
しかも条件によっては、リミットサイクルがストレンジアトラクタ(カオス!)になることが知られています。
計算しようとすると古典的なルンゲ・クッタ法では歯がたたず、
高い安定性を持ち、ステップ毎の振動が発生しにくい手法をとる必要があります。
おそらく、陰的オイラー公式で泣く泣く我慢するか、
陰的ルンゲ・クッタ法という超兵器(一から実装するのは辛い意味で)を持ち出すしかないでしょう。
しかも、今回の現象をシミュレーションで再現するには、
マロン酸の減少や、鉄フェナントロリン錯体の分解まで考慮する必要があり、
FKNモデルを拡張した系によるシミュレーションが必要だろうと推測されます。
はたして、振動が再発火するメカニズムは解明できるでしょうか?
Re: (スコア:0)
攪拌装置の電源を切り忘れていたとしたら、それは良くない!(一応教育的指導は必要でしょう)
web上の情報を見てもBZ反応の停止条件がどうなってるのか良く分からない.
今まで赤/青の色変化が終わるのが反応停止だとされていたのならば、今回一晩たって黄色になっていたのを見つけたのが何よりの大発見.(黄色になるのがもう一つの平衡状態・安定状態?)