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釈迦に説法かもしれませんが、利用者としての意見を述べさせていただきます。
職場で3DTouch [bitsfrombytes.com]とMakerBot Replicator 2 [makerbot.com]を利用していますが、安価なモデルであっても重要な機構の有無や造型機の特性を見極めた造型データを作成すれば以外に良好な出力は得られます。しかし、現時点での個人向けは精度確保に必要な機構すらオミットしているため購入しても残念な結果になる場合が多いと思います。
個人的には最も重要視するのは密閉式チャンバーとヒーテッドベッドです。
出力素材にABSを使用する場合、密閉式チャンバーとヒーテッドベッドを持たない3Dプリンターでは設計どおりの出力を得ることが非常に困難となります。ご存知のようにABSは熱収縮が大きく、ベッドに接している樹脂は急速に冷却されるため収縮を起こします。すると立方体を出力したつもりが底面が反り返って湾曲した物体になるばかりでなく、食いつきが悪化してズレたり最悪の場合は出力中にテーブルから外れてしまい巨大なABSの毛玉になってしまうこともあります。密閉式チャンバーとヒーテッドベッドを使うとこのような熱収縮の影響をかなり小さく押さえることができます。実際、これらの機構を持たない3DTouchでは夏と冬の気温の違い、空調の有無などによって収縮の差が大きく変化するため、出力精度が確保できないばかりか造型の失敗率も高くなりました。
一部の国産機種では売り文句で安全性のためにヒーテッドベッドを排除したと言っていますが精度が相当犠牲になっていることを理解しないと安物買いの銭失いになります。
多くの安価な個人向けモデルではこのようなABSの特性を嫌ってPLA(ポリ乳酸系樹脂)専用になっています。PLAはABSに比べて熱収縮が少なく光沢がある反面、強度に劣り、紙やすりやミルなどによる後処理が困難で熱にも弱く、炎天下の車内に造形物を放置していたところ変形していました。また微生物による生分解や紫外線による劣化もあるため、屋外での用途には向きません。また、ABSに比べて熱収縮が少ないとはいえ大型の造型の場合には少なからず熱収縮の影響が見られるため密閉式チャンバーとヒーテッドベッドが欲しくなります。
次に重要視したいのはメンテナンス性です。運用開始して半年ほどで週3日ほどの利用頻度ですがノズルのつまりよりもエクストルーダの内部にABSの粉?が詰まってエクストルーダが回転しなくなりフィラメントの押し出しが不可能になる症状のほうが多く見受けられます。このような状況になるとノズルとエクストルーダを分解して掃除ということになりますが残念なことに3DTouchはエクストルーダの取り外しが面倒なため現時点では粉などが発生しづらいPLA専用にしています。
両者を利用してどちらが言いかといわれれば造形物のサイズは劣りますが精度、情報、メンテナンス性すべての面でReplicator 2に軍配が上がっております。また、3DTouchはファームにバグっぽい挙動がありましてZ軸のキャリブレーションを一度行うとファームリセットしない限りZ軸キャリブレーションモードでベッドがノズルに衝突しても上昇し続けます。しかも購入した製品に入っている最新ファームがHPで公開されていないため、一つ前のファームで運用するという状況になっています。
現時点での個人向け3Dプリンタはデータどおりの出力を得ることは困難ですし、安価な国産機もRepRapベースで造型ソフトウェアはSkeinforge で、ファームウェアがRepRapのものであるならわざわざ国産を選ぶ理由がありません。予算があるならは中古でもいいのでStratasysか3D Systems の樹脂溶融型か光硬化型の造型機を導入するほうが精度もいいですし運用に際しての手間が減って幸せになれるとおもいます。
製品レベルの精度を求めるなら粉末積層造型機、たとえば ARCAMのArcamA2 [arcam.com](3次元電子ビーム造型機)を買いましょう。高いですけど焼結した金属のひっぱり強度などは鋳造よりも良好な特性を示すことを東北大の千葉先生 [tohoku.ac.jp]が示しておられますし、複雑な加工も容易で精度も非常に高いのできっとお気に召しますよ。
# 経産省の3D積層技術の担当者も講演会で「3Dプリンタ向け予算は産業競争力のある金属粒子焼結型にしか投資しません。樹脂を使う安い個人用は精度を求めない人が学習用に買うんでしょ。」といわれてましたし、# 樹脂溶融型はRepRapベースの乱立が始まったので個人向け3Dプリンタのブームはそろそろ終わりかもしれませんね。
ARCAMは精度ありますが1億円近いものを挙げられても,とか思う.日本にはまだ数台しか入ってないとか.(確かに一台欲しくはある)
ちなみに,それなりに条件出しは重要で,材料によってパラメータ調整しないと使えないということです.このあたりは材料ごとのノウハウがあるので,一朝一夕に真似ができるものではない,と千葉先生もおっしゃってました.
インクジェット方式(MJPとか)を忘れないであげてください
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物事のやり方は一つではない -- Perlな人
安価な3Dプリンタブームですね (スコア:5, 参考になる)
釈迦に説法かもしれませんが、利用者としての意見を述べさせていただきます。
職場で3DTouch [bitsfrombytes.com]とMakerBot Replicator 2 [makerbot.com]を利用していますが、安価なモデルであっても重要な機構の有無や造型機の特性を見極めた造型データを作成すれば以外に良好な出力は得られます。しかし、現時点での個人向けは精度確保に必要な機構すらオミットしているため購入しても残念な結果になる場合が多いと思います。
個人的には最も重要視するのは密閉式チャンバーとヒーテッドベッドです。
出力素材にABSを使用する場合、密閉式チャンバーとヒーテッドベッドを持たない3Dプリンターでは設計どおりの出力を得ることが非常に困難となります。
ご存知のようにABSは熱収縮が大きく、ベッドに接している樹脂は急速に冷却されるため収縮を起こします。すると立方体を出力したつもりが底面が反り返って湾曲した物体になるばかりでなく、食いつきが悪化してズレたり最悪の場合は出力中にテーブルから外れてしまい巨大なABSの毛玉になってしまうこともあります。密閉式チャンバーとヒーテッドベッドを使うとこのような熱収縮の影響をかなり小さく押さえることができます。実際、これらの機構を持たない3DTouchでは夏と冬の気温の違い、空調の有無などによって収縮の差が大きく変化するため、出力精度が確保できないばかりか造型の失敗率も高くなりました。
一部の国産機種では売り文句で安全性のためにヒーテッドベッドを排除したと言っていますが精度が相当犠牲になっていることを理解しないと安物買いの銭失いになります。
多くの安価な個人向けモデルではこのようなABSの特性を嫌ってPLA(ポリ乳酸系樹脂)専用になっています。
PLAはABSに比べて熱収縮が少なく光沢がある反面、強度に劣り、紙やすりやミルなどによる後処理が困難で熱にも弱く、炎天下の車内に造形物を放置していたところ変形していました。また微生物による生分解や紫外線による劣化もあるため、屋外での用途には向きません。
また、ABSに比べて熱収縮が少ないとはいえ大型の造型の場合には少なからず熱収縮の影響が見られるため密閉式チャンバーとヒーテッドベッドが欲しくなります。
次に重要視したいのはメンテナンス性です。
運用開始して半年ほどで週3日ほどの利用頻度ですがノズルのつまりよりもエクストルーダの内部にABSの粉?が詰まってエクストルーダが回転しなくなりフィラメントの押し出しが不可能になる症状のほうが多く見受けられます。このような状況になるとノズルとエクストルーダを分解して掃除ということになりますが残念なことに3DTouchはエクストルーダの取り外しが面倒なため現時点では粉などが発生しづらいPLA専用にしています。
両者を利用してどちらが言いかといわれれば造形物のサイズは劣りますが精度、情報、メンテナンス性すべての面でReplicator 2に軍配が上がっております。また、3DTouchはファームにバグっぽい挙動がありましてZ軸のキャリブレーションを一度行うとファームリセットしない限りZ軸キャリブレーションモードでベッドがノズルに衝突しても上昇し続けます。しかも購入した製品に入っている最新ファームがHPで公開されていないため、一つ前のファームで運用するという状況になっています。
現時点での個人向け3Dプリンタはデータどおりの出力を得ることは困難ですし、安価な国産機もRepRapベースで造型ソフトウェアはSkeinforge で、ファームウェアがRepRapのものであるならわざわざ国産を選ぶ理由がありません。予算があるならは中古でもいいのでStratasysか3D Systems の樹脂溶融型か光硬化型の造型機を導入するほうが精度もいいですし運用に際しての手間が減って幸せになれるとおもいます。
製品レベルの精度を求めるなら粉末積層造型機、たとえば ARCAMのArcamA2 [arcam.com](3次元電子ビーム造型機)を買いましょう。高いですけど焼結した金属のひっぱり強度などは鋳造よりも良好な特性を示すことを東北大の千葉先生 [tohoku.ac.jp]が示しておられますし、複雑な加工も容易で精度も非常に高いのできっとお気に召しますよ。
# 経産省の3D積層技術の担当者も講演会で「3Dプリンタ向け予算は産業競争力のある金属粒子焼結型にしか投資しません。樹脂を使う安い個人用は精度を求めない人が学習用に買うんでしょ。」といわれてましたし、
# 樹脂溶融型はRepRapベースの乱立が始まったので個人向け3Dプリンタのブームはそろそろ終わりかもしれませんね。
Re:安価な3Dプリンタブームですね (スコア:2, 参考になる)
ARCAMは精度ありますが1億円近いものを挙げられても,とか思う.日本にはまだ数台しか入ってないとか.(確かに一台欲しくはある)
ちなみに,それなりに条件出しは重要で,材料によってパラメータ調整しないと使えないということです.このあたりは材料ごとのノウハウがあるので,一朝一夕に真似ができるものではない,と千葉先生もおっしゃってました.
Re: (スコア:0)
インクジェット方式(MJPとか)を忘れないであげてください