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…少なくとも、そういう人がそれなりの数いる、と。
「どんな規模の地震が起きても壊れない!絶対安全だ!」って言い張るのと、「1260ガルを超える地震は来ない!絶対安全だ!」と言い張るの、どちらがマシなんでしょうね。
福井地裁的には、「1260ガル」という想定規模に不満があり、この規模の地震の発生は十分想定される、という判断のようだけど。
①我が国において記録された既往最大の震度は岩手宮城内陸地震における4022ガルであり、1260ガルという数値はこれをはるかに下回るものであること、②岩手宮城内陸地震は大飯でも発生する可能性があるとされる内陸地殻内地震であること、③この地震が起きた東北地方と大飯原発の位置する北陸地方ないし隣接する近畿地方とでは地震の発生頻度において有意的な違いは認められず、若狭地方の既知の活断層に限っても陸海を問わず多数存在すること、④この既往最大という概念自体が、有史以来世界最大というものではなく近時の我が国において最大というものにすぎないことからすると、1260ガルを超える地震は大飯原発に到来する危険がある。
岩手宮城内陸地震の 4022 ガルを一つの基準と考えて、5000 ガルを想定した物を作ったら、コストはどの位膨らむのかなぁ。
ただ、素人考えだけど、ガルの値って地盤・地質によって大きく変わりそう。日本のどこかで 5000 ガルの地震が発生する事があるとして、じゃぁ、大飯原発の場所なら最大はいくらになるか、というのが計算できれば、1260 ガルを超える地震が「十分想定されるかどうか」も分かると思うんだけど、「過去の実績がこうです」だと、今は説得力が弱い感じがしちゃうからなぁ。
もうちょっと調べてみた。
「4022 ガルという記録があるんだから、どんな場所でもこの数値が基準だ」とは言えない気がするなぁ。
> 女川原子力発電所2号機基礎版上の3方向の値を単純に合成すると、910 ガル
これは 地盤良好な場所に建てられてる筈の原発基礎盤で10年単位の短い観測期間で *既にこういう大きさの地震動が観測されている* という事実ですね。幸いなことに過酷事故には繋がりませんでしたが。
そもそも 1260ガル というのは、関西電力が本裁判に提出した資料で曰く、
「耐震裕度が1.80Ss 以上または許容津波高さが 1 1. 4m 以上の領域で、は,炉心にある燃料の重大な損傷を回避する手段がなくなるため,その境界線がクリフエッジとして特定された。」(判決文OCRより引用)
で Ss=700ガルの1.8倍として出てきた値です。超えると 「燃料の重大な損傷を回避する手段がなくなる」と *関西電力自身が認めた* 値なのです。それを超えたら 過酷事故不可避な値 な訳です。
で、910ガルというのは1260ガルの7割超える値ですが、こういう揺れが *実際の原発で観測された実績* がある、原発以外の場所で4022ガルという記録がある、というときに、
>「4022 ガルという記録があるんだから、どんな場所でもこの数値が基準だ」とは言えない気がするなぁ。
というのは、まぁ、原発サイトでは(強固な岩盤の上に建てられていることになってますので)多少は割り引けるのかも知れません。10%や20%は割り引いて0.8掛けて3200ガルと計算してもいいのかもしれません。
しかし、その割引率というのは *確実な値として* 68%を超える、つまり地震動に0.31掛けできる、と主張できるのでしょうか?さもなければ GO/NOGO 判断としては NOGO にならざるを得ない、と考えますが。
で Ss=700ガルの1.8倍として出てきた値です。
その 700 ガルは、水平方向の値みたいですね。関西電力㈱大飯発電所3号機及び4号機の安全性に関する総合的評価(一次評価)に関する審査書 [meti.go.jp](PDF)の 18 ページ目(PDF 上は 19 ページ)に、
Ss-1(最大加速度:水平700 ガル、鉛直468 ガル)については、検討用地震に対する応答スペクトルに基づく地震動評価の結果から、これらを包絡するように策定されている。
と書かれています。だとすれば、先の女川原子力発電所2号機の記録で水平方向だけで合成値を計算すると、832 ガルになるので、大飯の 700 ガルと比較する値は 832 ガルになると思います。
で、4022 ガルの記録は全方向合成なので、水平方向だけの合成値は、もう少し小さくなるでしょう。細かい話ですが。
まぁ、原発サイトでは(強固な岩盤の上に建てられていることになってますので)多少は割り引けるのかも知れません。10%や20%は割り引いて0.8掛けて3200ガルと計算してもいいのかもしれません。
東日本大震災の時の栗原市の記録が 2933 ガルで、これが全方向合成の値だとして、その時の女川原子力発電所は 910 ガルだったので、単純に考えれば 1/3 以下です。同じ地震で、しかも、女川原子力発電所の方が震源域に近いのに、です。
という事は、「どこかで 5000 ガル」を想定しても、地盤や地下構造によっては、かなり割り引ける感じはします。大飯の水平方向 1260 ガルが妥当かどうかは分かりませんが(ド素人の個人的な印象としては不十分に感じますが)、4022 ガルという数字を持ちだして不十分、というのは、ちょっと科学的ではない印象を受けました。
ただ、「じゃぁ、地盤や地下構造調べて、妥当な数字を計算すれば」と言っても、「それが確実に計算できるのなら苦労しない」なのかもしれませんが。
中越沖地震で柏崎刈羽原発において想定より大きな地震動が観測されて問題になりました。具体的にそのあと同原発の耐震基準がどう変わったのかちょっと検索すると以下のようなものがhitします。"Ss 柏崎刈羽"で検索したトップ。東電発PDFで「柏崎刈羽原子力発電所における基準地震動について(概要)」 http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu10_j/images/100324b.pdf [tepco.co.jp] p.1より引用
>今後の耐震安全性評価>当社は現在、施設の耐震安全性の向上を図るため、1~7号機の全てに対して原子>炉建屋基礎版上で基準地震動 Ss の応答を上回るように 1,000 ガルの揺れを想
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長期的な見通しやビジョンはあえて持たないようにしてる -- Linus Torvalds
国民は安全神話を望んでいる (スコア:2)
…少なくとも、そういう人がそれなりの数いる、と。
Re: (スコア:5, 興味深い)
「どんな規模の地震が起きても壊れない!絶対安全だ!」って言い張るのと、
「1260ガルを超える地震は来ない!絶対安全だ!」と言い張るの、
どちらがマシなんでしょうね。
福井地裁的には、「1260ガル」という想定規模に不満があり、この規模の地震の発生は十分想定される、という判断のようだけど。
①我が国において記録された既往最大の震度は岩手宮城内陸地震における4022ガルであり、1260ガルという数値はこれをはるかに下回るものであること、
②岩手宮城内陸地震は大飯でも発生する可能性があるとされる内陸地殻内地震であること、
③この地震が起きた東北地方と大飯原発の位置する北陸地方ないし隣接する近畿地方とでは地震の発生頻度において有意的な違いは認められず、若狭地方の既知の活断層に限っても陸海を問わず多数存在すること、
④この既往最大という概念自体が、有史以来世界最大というものではなく近時の我が国において最大というものにすぎないことからすると、1260ガルを超える地震は大飯原発に到来する危険がある。
Re: (スコア:1)
岩手宮城内陸地震の 4022 ガルを一つの基準と考えて、5000 ガルを想定した物を作ったら、コストはどの位膨らむのかなぁ。
ただ、素人考えだけど、ガルの値って地盤・地質によって大きく変わりそう。日本のどこかで 5000 ガルの地震が発生する事があるとして、じゃぁ、大飯原発の場所なら最大はいくらになるか、というのが計算できれば、1260 ガルを超える地震が「十分想定されるかどうか」も分かると思うんだけど、「過去の実績がこうです」だと、今は説得力が弱い感じがしちゃうからなぁ。
Re:国民は安全神話を望んでいる (スコア:3, 参考になる)
もうちょっと調べてみた。
「4022 ガルという記録があるんだから、どんな場所でもこの数値が基準だ」とは言えない気がするなぁ。
Re:国民は安全神話を望んでいる (スコア:3, すばらしい洞察)
> 女川原子力発電所2号機基礎版上の3方向の値を単純に合成すると、910 ガル
これは 地盤良好な場所に建てられてる筈の原発基礎盤で10年単位の短い観測期間で *既にこういう大きさの地震動が観測されている* という事実ですね。幸いなことに過酷事故には繋がりませんでしたが。
そもそも 1260ガル というのは、関西電力が本裁判に提出した資料で曰く、
「耐震裕度が1.80Ss 以上または許容津波高さが 1 1. 4m 以上の領域で、は,炉心にある燃料の重大な損傷を回避する手段がなくなるため,その境界線がクリフエッジとして特定された。」(判決文OCRより引用)
で Ss=700ガルの1.8倍として出てきた値です。
超えると 「燃料の重大な損傷を回避する手段がなくなる」と *関西電力自身が認めた* 値なのです。
それを超えたら 過酷事故不可避な値 な訳です。
で、910ガルというのは1260ガルの7割超える値ですが、こういう揺れが *実際の原発で観測された実績* がある、原発以外の場所で4022ガルという記録がある、というときに、
>「4022 ガルという記録があるんだから、どんな場所でもこの数値が基準だ」とは言えない気がするなぁ。
というのは、まぁ、原発サイトでは(強固な岩盤の上に建てられていることになってますので)多少は割り引けるのかも知れません。10%や20%は割り引いて0.8掛けて3200ガルと計算してもいいのかもしれません。
しかし、その割引率というのは *確実な値として* 68%を超える、つまり地震動に0.31掛けできる、と主張できるのでしょうか?
さもなければ GO/NOGO 判断としては NOGO にならざるを得ない、と考えますが。
Re:国民は安全神話を望んでいる (スコア:1)
で Ss=700ガルの1.8倍として出てきた値です。
その 700 ガルは、水平方向の値みたいですね。関西電力㈱大飯発電所3号機及び4号機の安全性に関する総合的評価(一次評価)に関する審査書 [meti.go.jp](PDF)の 18 ページ目(PDF 上は 19 ページ)に、
Ss-1(最大加速度:水平700 ガル、鉛直468 ガル)については、検討用地震に対する応答スペクトルに基づく地震動評価の結果から、これらを包絡するように策定されている。
と書かれています。だとすれば、先の女川原子力発電所2号機の記録で水平方向だけで合成値を計算すると、832 ガルになるので、大飯の 700 ガルと比較する値は 832 ガルになると思います。
で、4022 ガルの記録は全方向合成なので、水平方向だけの合成値は、もう少し小さくなるでしょう。細かい話ですが。
まぁ、原発サイトでは(強固な岩盤の上に建てられていることになってますので)多少は割り引けるのかも知れません。10%や20%は割り引いて0.8掛けて3200ガルと計算してもいいのかもしれません。
東日本大震災の時の栗原市の記録が 2933 ガルで、これが全方向合成の値だとして、その時の女川原子力発電所は 910 ガルだったので、単純に考えれば 1/3 以下です。同じ地震で、しかも、女川原子力発電所の方が震源域に近いのに、です。
という事は、「どこかで 5000 ガル」を想定しても、地盤や地下構造によっては、かなり割り引ける感じはします。大飯の水平方向 1260 ガルが妥当かどうかは分かりませんが(ド素人の個人的な印象としては不十分に感じますが)、4022 ガルという数字を持ちだして不十分、というのは、ちょっと科学的ではない印象を受けました。
ただ、「じゃぁ、地盤や地下構造調べて、妥当な数字を計算すれば」と言っても、「それが確実に計算できるのなら苦労しない」なのかもしれませんが。
Re: (スコア:0)
中越沖地震で柏崎刈羽原発において想定より大きな地震動が観測されて問題になりました。具体的にそのあと同原発の耐震基準がどう変わったのかちょっと検索すると以下のようなものがhitします。"Ss 柏崎刈羽"で検索したトップ。
東電発PDFで「柏崎刈羽原子力発電所における基準地震動について(概要)」 http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu10_j/images/100324b.pdf [tepco.co.jp]
p.1より引用
>今後の耐震安全性評価
>当社は現在、施設の耐震安全性の向上を図るため、1~7号機の全てに対して原子
>炉建屋基礎版上で基準地震動 Ss の応答を上回るように 1,000 ガルの揺れを想