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「ピタゴラスの定理を発見したのは、ギリシャ人ではなくインド人である」というのは枝葉を端折った言い回しかもしれないけれど、「科学と神話の混合」とまで言うのはむしろ科学に対して無頓着な主張だと思う。欧米人の進化論否認のような科学に宗教を正面衝突させる無謀な試みとはまったく違って、お偉いさんの与太話として聞き流すべき程度の問題だと思う。
三平方の定理が最古の定理だといわれているように、実学的なピタゴラスの定理の発見という意味ではギリシャよりずっと遡れることはよく知られている。ギリシャ人の成果が、それを算術で書き下して非整数領域まで拡張できる可能性を示唆したことだというならピタゴラスの定理を発見したのはギリシャのエウクレイデスということになるのだろうけれど、少なくとも、a2 = b2 + c2なる整数a,b,cの組み合わせ(ピタゴラス数)が見出されたのは、新石器時代までさかのぼると考えられているし、インドでも実際に数表が見つかっている。インダス文明の建造物には(3,4,5)、(5,12,13)、(8,15,17)、(12,35,57)といったピタゴラス数が使われている。
測量が必要になるほどの大型建造物や灌漑設備を作ることになった文明のほとんどで古くにピタゴラス数が見出されていたのは事実(当然といえば当然だし)なので、インドをすごく持ち上げる必要は無いが、ピタゴラスの定理をギリシャ人より先にインド人で知っていたというのは、まったくのでたらめではない。
「世界最初の飛行機の発明者」というとやはりライト兄弟だけれども、それは動力つき凧によって人を乗せた飛行実験に成功した最初の実験家であるというだけで、欧米だけでも、風がなくても揚力を得られることを示したリリエンタールによる滑空、人を乗せて運べるほど安定的で十分な揚力を得られることを実証したサミュエル・フランクリン・コーディ [sfcody.org.uk]や安定させるための要素を明確にしたバブルス・ハーグレイブによるボックスカイトの研究は、原理的には飛行機をすでに実証している [keepitsoaring.com]し、アイディアを書き下したという意味ではレオナル・ド・ダヴィンチは相当に具体的に示している。そもそも流れの中に形状と姿勢を決めて安定させることができれば揚力を積極的に利用できるということを示していた「凧」自体は、ヘレニズムの時代より前に東方から、普通は中国から入ってきたと考える。現代の商業風に、先に出願をしたら発明者っていう評価をすれば、ライト兄弟の成果はごく一部に限定されてしまう。
インダス文明はアーリア人に滅ぼされたから今のインド人と違うとかいい始めるともうすこしややこしくなるけれど、中国かインドかはともかくとして、後進国だった欧州が先ということはありえない。
レオナル→見ないで
レオナル・ド・ダヴィンチ→見ないで・ド・ダヴィンチさん?
# たしかに一見フランス風の名前に見える>レオナルドダヴィンチ
見ないで・ド・熊さん
動力つき凧によって人を乗せた飛行実験に成功した最初の実験家であるというだけ
それはその通りです。ただ、元記事 [business-standard.com]を読むと分かるのですが、今回問題になっている主張は 「リグヴェーダによると7000年前に40基のエンジンを搭載し大陸間も飛行可能な60m級の飛行機が存在した」 みたいな荒唐無稽な話でして。
# そういや日本にも「古事記には宇宙船が登場する」みたいな主張がありませんでしたっけ?
与太話を与太話と言い切れない人が沢山いるからこそ、疑似科学は成り立つのです。
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アレゲは一日にしてならず -- アレゲ見習い
ピタゴラスの定理 (スコア:4, 参考になる)
「ピタゴラスの定理を発見したのは、ギリシャ人ではなくインド人である」というのは枝葉を端折った言い回しかもしれないけれど、「科学と神話の混合」とまで言うのはむしろ科学に対して無頓着な主張だと思う。欧米人の進化論否認のような科学に宗教を正面衝突させる無謀な試みとはまったく違って、お偉いさんの与太話として聞き流すべき程度の問題だと思う。
三平方の定理が最古の定理だといわれているように、実学的なピタゴラスの定理の発見という意味ではギリシャよりずっと遡れることはよく知られている。ギリシャ人の成果が、それを算術で書き下して非整数領域まで拡張できる可能性を示唆したことだというならピタゴラスの定理を発見したのはギリシャのエウクレイデスということになるのだろうけれど、少なくとも、a2 = b2 + c2なる整数a,b,cの組み合わせ(ピタゴラス数)が見出されたのは、新石器時代までさかのぼると考えられているし、インドでも実際に数表が見つかっている。インダス文明の建造物には(3,4,5)、(5,12,13)、(8,15,17)、(12,35,57)といったピタゴラス数が使われている。
測量が必要になるほどの大型建造物や灌漑設備を作ることになった文明のほとんどで古くにピタゴラス数が見出されていたのは事実(当然といえば当然だし)なので、インドをすごく持ち上げる必要は無いが、ピタゴラスの定理をギリシャ人より先にインド人で知っていたというのは、まったくのでたらめではない。
「世界最初の飛行機の発明者」というとやはりライト兄弟だけれども、それは動力つき凧によって人を乗せた飛行実験に成功した最初の実験家であるというだけで、欧米だけでも、風がなくても揚力を得られることを示したリリエンタールによる滑空、人を乗せて運べるほど安定的で十分な揚力を得られることを実証したサミュエル・フランクリン・コーディ [sfcody.org.uk]や安定させるための要素を明確にしたバブルス・ハーグレイブによるボックスカイトの研究は、原理的には飛行機をすでに実証している [keepitsoaring.com]し、アイディアを書き下したという意味ではレオナル・ド・ダヴィンチは相当に具体的に示している。そもそも流れの中に形状と姿勢を決めて安定させることができれば揚力を積極的に利用できるということを示していた「凧」自体は、ヘレニズムの時代より前に東方から、普通は中国から入ってきたと考える。現代の商業風に、先に出願をしたら発明者っていう評価をすれば、ライト兄弟の成果はごく一部に限定されてしまう。
インダス文明はアーリア人に滅ぼされたから今のインド人と違うとかいい始めるともうすこしややこしくなるけれど、中国かインドかはともかくとして、後進国だった欧州が先ということはありえない。
Re:ピタゴラスの定理 (スコア:2)
レオナル→見ないで
傷に塩塗ります (スコア:0)
レオナル・ド・ダヴィンチ→見ないで・ド・ダヴィンチさん?
# たしかに一見フランス風の名前に見える>レオナルドダヴィンチ
Re: (スコア:0)
見ないで・ド・熊さん
Re: (スコア:0)
動力つき凧によって人を乗せた飛行実験に成功した最初の実験家であるというだけ
それはその通りです。ただ、元記事 [business-standard.com]を読むと分かるのですが、今回問題になっている主張は
「リグヴェーダによると7000年前に40基のエンジンを搭載し大陸間も飛行可能な60m級の飛行機が存在した」
みたいな荒唐無稽な話でして。
# そういや日本にも「古事記には宇宙船が登場する」みたいな主張がありませんでしたっけ?
Re: (スコア:0)
天鳥船ですね。
古事記では宇宙船という感じじゃないですが、竹内文書の方になると1億年前に天皇がこいつに乗って空を飛び回り、世界征服したことになってます。
Re: (スコア:0)
与太話を与太話と言い切れない人が沢山いるからこそ、疑似科学は成り立つのです。