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JVAの発表によれば、サーバ業者に対して、ソフトを配布していた者の情報開示請求を行い、開示を受けたという。しかし、これには疑問がある。
発信者情報の開示には、情報の流通によって、請求者の権利が侵害されていることが必要となる。一体、誰の何の権利を侵害したのか。
「違法・犯罪」と、「権利の侵害」は同義ではない。銃の不正な所持は犯罪だが、誰かの権利を侵害しているわけではない。実際に誰かに危害を及ぼすことで、権利の侵害が生じる。
ソフトの配布が犯罪であるとしても、権利の侵害となるのは、それを使って不正にDVDを複製した段階だろう。いつか誰かがそれを使って自分の権利の侵害するかも
そこからダウンロードしたソフトを使ってリッピングした人がいるなら、権利の侵害はすでに発生しているので、この資料だけでは何とも言えないですね。
情報の流通(ソフトの配布)が完結した後に、情報の受信者の行動によって生じた権利侵害には開示請求権は及ばないのではないか、というのことを、元コメの最後の段落と3番目の引用で書きました。これは、実際に配布ソフトを使った権利侵害が発生していることが立証できたとしても変わらないのではないかと思うのです。情報の発信者が詐欺を行っている場合ですら対象外だとしているのだから、情報発信者たるソフト配布者と、権利侵害者たるソフト利用者が別の場合は尚更ではないか、と。
ソフト配布者と受信者で共同して権利侵害をしていると考えれば、発信者も侵害者です。発信者と侵害者は別とはいえません。
3番目の引用に書いてある通り、判断基準となるのは、情報の流通と権利の侵害との間に相当の因果関係があるかどうかです。ソフトの送信は複製行為の重要な一部と判断するなら、情報の流通と権利の侵害との間には相当の因果関係が存在することになります。
カラオケ法理なりときメモ事件なり、手段を提供する者に主体性があるとする理屈は、それでいいとしましょう。ソフト配布者による「権利の侵害」はあったと。
しかしそれでも、適用が否定される詐欺の例との違いがわかりません。「権利の侵害」があるだけではだめで、それが「情報の流通によって」でなくてはならないと法なり逐条解説なりは言うわけです。「権利の侵害が「情報の流通」自体によって生じたもの」でなくとも、重要な一部であればよいなら、詐欺に適用されてもいいように思います。詐欺を構成する重要な部分である、人を欺むく行為は、情報の流通によってなされますよね。
しかしそれでも、適用が否定される詐欺の例との違いがわかりません。
詐欺という犯罪を具体的に考えてみる必要があると思います。
詐欺では、人を騙して金品をとるところまで行って、はじめて権利の侵害が生じるわけです。詐欺のための情報を読んでそれを信じた人がいたとしても、必ずお金を払うかというとそんなことはなくて、お金を払ってしまう人は一部だけでしょう。その比率の低さが、「情報の流通と権利の侵害との間に相当の因果関係」がないとされる理由だというのが私の理解です。
一方、DVDリッピングソフトはどうでしょうか。ソフトをダウンロードする人はDVDをリッピングするという目的でやっているはずで、ダウンロードした人はほとんどすべてリッピングすると考えられます。ですから、情報の送信と権利の侵害の間には、詐欺の場合よりもずっと強い因果関係があると言えます。
もちろん、詐欺の場合よりも因果関係が強いからといって、「相当の因果関係がある」と保証されるわけではありません。「相当の因果関係はない」という結論になり、「ソフトの配布が発信者情報の開示の対象とはならない」という結論になる可能性は十分あると思います。ただ、ならない可能性も否定はできず、結論がどうなるかはわからない、と思っています。
ひとまずお考えは理解しました。ありがとうございました。
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人生unstable -- あるハッカー
ソフトの配布は誰かの権利を侵害したのか (スコア:4, すばらしい洞察)
JVAの発表によれば、サーバ業者に対して、ソフトを配布していた者の情報開示請求を行い、開示を受けたという。
しかし、これには疑問がある。
発信者情報の開示には、情報の流通によって、請求者の権利が侵害されていることが必要となる。
一体、誰の何の権利を侵害したのか。
「違法・犯罪」と、「権利の侵害」は同義ではない。
銃の不正な所持は犯罪だが、誰かの権利を侵害しているわけではない。
実際に誰かに危害を及ぼすことで、権利の侵害が生じる。
ソフトの配布が犯罪であるとしても、権利の侵害となるのは、それを使って不正にDVDを複製した段階だろう。
いつか誰かがそれを使って自分の権利の侵害するかも
Re: (スコア:0)
そこからダウンロードしたソフトを使ってリッピングした人がいるなら、権利の侵害はすでに発生しているので、この資料だけでは何とも言えないですね。
Re: (スコア:2)
情報の流通(ソフトの配布)が完結した後に、情報の受信者の行動によって生じた権利侵害には開示請求権は及ばないのではないか、というのことを、元コメの最後の段落と3番目の引用で書きました。
これは、実際に配布ソフトを使った権利侵害が発生していることが立証できたとしても変わらないのではないかと思うのです。
情報の発信者が詐欺を行っている場合ですら対象外だとしているのだから、情報発信者たるソフト配布者と、権利侵害者たるソフト利用者が別の場合は尚更ではないか、と。
Re: (スコア:0)
ソフト配布者と受信者で共同して権利侵害をしていると考えれば、発信者も侵害者です。発信者と侵害者は別とはいえません。
3番目の引用に書いてある通り、判断基準となるのは、情報の流通と権利の侵害との間に相当の因果関係があるかどうかです。ソフトの送信は複製行為の重要な一部と判断するなら、情報の流通と権利の侵害との間には相当の因果関係が存在することになります。
Re: (スコア:2)
カラオケ法理なりときメモ事件なり、手段を提供する者に主体性があるとする理屈は、それでいいとしましょう。
ソフト配布者による「権利の侵害」はあったと。
しかしそれでも、適用が否定される詐欺の例との違いがわかりません。
「権利の侵害」があるだけではだめで、それが「情報の流通によって」でなくてはならないと法なり逐条解説なりは言うわけです。
「権利の侵害が「情報の流通」自体によって生じたもの」でなくとも、重要な一部であればよいなら、詐欺に適用されてもいいように思います。
詐欺を構成する重要な部分である、人を欺むく行為は、情報の流通によってなされますよね。
Re:ソフトの配布は誰かの権利を侵害したのか (スコア:0)
詐欺という犯罪を具体的に考えてみる必要があると思います。
詐欺では、人を騙して金品をとるところまで行って、はじめて権利の侵害が生じるわけです。詐欺のための情報を読んでそれを信じた人がいたとしても、必ずお金を払うかというとそんなことはなくて、お金を払ってしまう人は一部だけでしょう。その比率の低さが、「情報の流通と権利の侵害との間に相当の因果関係」がないとされる理由だというのが私の理解です。
一方、DVDリッピングソフトはどうでしょうか。ソフトをダウンロードする人はDVDをリッピングするという目的でやっているはずで、ダウンロードした人はほとんどすべてリッピングすると考えられます。ですから、情報の送信と権利の侵害の間には、詐欺の場合よりもずっと強い因果関係があると言えます。
もちろん、詐欺の場合よりも因果関係が強いからといって、「相当の因果関係がある」と保証されるわけではありません。「相当の因果関係はない」という結論になり、「ソフトの配布が発信者情報の開示の対象とはならない」という結論になる可能性は十分あると思います。ただ、ならない可能性も否定はできず、結論がどうなるかはわからない、と思っています。
Re:ソフトの配布は誰かの権利を侵害したのか (スコア:2)
ひとまずお考えは理解しました。
ありがとうございました。