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裁判管轄の規定は「本契約に基づき又は本契約に関連して生じる一切の紛争は…」といったような形で書くのが常識。こんな初歩的なところでポカをやらかしたアップルの法務担当者(あるいは弁護士)は切腹もの。
強者が地位を利用してそれを濫用するのはアカンだろ、という訴えで、中間判決もそのように出ましたよ、というニュースに見えるのだけど……
優越的地位の濫用で独占禁止法とか下請法などを適用して合意管轄条項を無効にした判決ではなく、そもそも合意管轄条項が有効に成立する条件を満たしていないから初めから無効という判決。「あらゆる紛争は~」という書き方の合意管轄条項が無効であることはアップルほどの大企業の法務担当者なら分かっているべきことなので、monyonyo氏の指摘はもっともだと思う。
参考→『管轄の合意は「一定の法律関係に基づく訴え」に関してなされる必要があります。「甲乙間に生じる一切の紛争は神戸地方裁判所を専属的管轄裁判所とする。」という合意は,合意の効力を受ける訴えが特定されていないため無効です。もっとも,訴えの内容を厳密に特定する必要はないので,「本契約に関連して甲乙間に生じる一切の紛争」といった程度の特定がなされていれば十分です。』 [higashimachi.jp]
国際民事手続法にはそのような規定はございません。
国際民事手続法にも規定はあります。民事訴訟法の第三条の七がそれにあたります。
第三条の七 当事者は、合意により、いずれの国の裁判所に訴えを提起することができるかについて定めることができる。2 前項の合意は、一定の法律関係に基づく訴えに関し、かつ、書面でしなければ、その効力を生じない。
この通り国際裁判管轄の合意についても「一定の法律関係に基づく訴え」が要件であることは、国内の管轄合意と同じです。なお、この条文は2012年4月に新設・施行されていますが、それ以前でも国際裁判管轄の合意は要件を満たせば有効とされておりました。
それは国際民事手続法ではありませんし、日本の民訴法のそれは、アップル島野契約時より後に改正で追加された項目です。
ご発言の趣旨が不明です。
まず、国際民事手続法という名称の法律は日本にありません。国際民事手続法は単一の法律ではなく、『渉外的・国際的な民事紛争を解決する民事手続を規律する法』 [wikipedia.org]であり、その一部は個別の法律の条文として規定されています。そして、民事訴訟法の第三条の二~第三条の十二は国際的な民事紛争を解決する民事手続を規律していますから国際民事手続法に関する規定そのものです。
国際裁判管轄の合意に関する明文規定である民事訴訟法第三条の七が適用されるのは施行日の2012年4月1日以降に合意されたものに限りますが、新聞記事からはこの合意が施行日以降なのかどうか分かりませんでした。そして、仮に合意が施行日より前であっても、国際裁判管轄の合意という国際民事手続法上の概念が認められていたのは既に説明した通りで、『最高裁判所は、いわゆるチサダネ号事件において、その要件について詳しく論じつつ、国際裁判管轄に関する管轄の合意は有効であると判示』 [wikipedia.org]しています。この場合でも合意が有効となる要件として『一定の法律関係に基づく訴えに関するものであることについては、必要と解されている』ので、「あらゆる紛争は~」という書き方だと無効とされてしまうのです。
島野側としちゃ「その無効となる契約を結ばされたのは、優越的地位の濫用に相当する行為があったためだ」と言えばいいだけでしょうし。訴え自体は「無効だ」でしかないので。現時点では、どうでもいいです。
しかしこれから本命の特許侵害の裁判があるのです
その時にはApple側の問題行為の傍証として提出すりゃいいだけ。
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アレゲはアレゲを呼ぶ -- ある傍観者
当たり前の判断 (スコア:3, 興味深い)
裁判管轄の規定は「本契約に基づき又は本契約に関連して生じる一切の紛争は…」といったような形で書くのが常識。こんな初歩的なところでポカをやらかしたアップルの法務担当者(あるいは弁護士)は切腹もの。
Re: (スコア:0)
強者が地位を利用してそれを濫用するのはアカンだろ、という訴えで、
中間判決もそのように出ましたよ、というニュースに見えるのだけど……
Re:当たり前の判断 (スコア:3, 興味深い)
優越的地位の濫用で独占禁止法とか下請法などを適用して合意管轄条項を無効にした判決ではなく、そもそも合意管轄条項が有効に成立する条件を満たしていないから初めから無効という判決。「あらゆる紛争は~」という書き方の合意管轄条項が無効であることはアップルほどの大企業の法務担当者なら分かっているべきことなので、monyonyo氏の指摘はもっともだと思う。
参考→『管轄の合意は「一定の法律関係に基づく訴え」に関してなされる必要があります。「甲乙間に生じる一切の紛争は神戸地方裁判所を専属的管轄裁判所とする。」という合意は,合意の効力を受ける訴えが特定されていないため無効です。もっとも,訴えの内容を厳密に特定する必要はないので,「本契約に関連して甲乙間に生じる一切の紛争」といった程度の特定がなされていれば十分です。』 [higashimachi.jp]
Re: (スコア:0)
国際民事手続法にはそのような規定はございません。
国際裁判管轄合意の明文規定 (スコア:3, 参考になる)
国際民事手続法にも規定はあります。民事訴訟法の第三条の七がそれにあたります。
第三条の七 当事者は、合意により、いずれの国の裁判所に訴えを提起することができるかについて定めることができる。
2 前項の合意は、一定の法律関係に基づく訴えに関し、かつ、書面でしなければ、その効力を生じない。
この通り国際裁判管轄の合意についても「一定の法律関係に基づく訴え」が要件であることは、国内の管轄合意と同じです。
なお、この条文は2012年4月に新設・施行されていますが、それ以前でも国際裁判管轄の合意は要件を満たせば有効とされておりました。
Re: (スコア:0)
それは国際民事手続法ではありませんし、日本の民訴法のそれは、アップル島野契約時より後に改正で追加された項目です。
国際民事手続法 (スコア:1)
ご発言の趣旨が不明です。
まず、国際民事手続法という名称の法律は日本にありません。
国際民事手続法は単一の法律ではなく、『渉外的・国際的な民事紛争を解決する民事手続を規律する法』 [wikipedia.org]であり、その一部は個別の法律の条文として規定されています。
そして、民事訴訟法の第三条の二~第三条の十二は国際的な民事紛争を解決する民事手続を規律していますから国際民事手続法に関する規定そのものです。
国際裁判管轄の合意に関する明文規定である民事訴訟法第三条の七が適用されるのは施行日の2012年4月1日以降に合意されたものに限りますが、新聞記事からはこの合意が施行日以降なのかどうか分かりませんでした。
そして、仮に合意が施行日より前であっても、国際裁判管轄の合意という国際民事手続法上の概念が認められていたのは既に説明した通りで、『最高裁判所は、いわゆるチサダネ号事件において、その要件について詳しく論じつつ、国際裁判管轄に関する管轄の合意は有効であると判示』 [wikipedia.org]しています。
この場合でも合意が有効となる要件として『一定の法律関係に基づく訴えに関するものであることについては、必要と解されている』ので、「あらゆる紛争は~」という書き方だと無効とされてしまうのです。
Re: (スコア:0)
島野側としちゃ「その無効となる契約を結ばされたのは、優越的地位の濫用に相当する行為があったためだ」
と言えばいいだけでしょうし。訴え自体は「無効だ」でしかないので。
現時点では、どうでもいいです。
Re: (スコア:0)
しかしこれから本命の特許侵害の裁判があるのです
Re: (スコア:0)
その時にはApple側の問題行為の傍証として提出すりゃいいだけ。