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翻訳ご苦労様です.いくつか気になった点を指摘させていただきます.
全般) いくつかの質問で「work/derived work」を 「仕事/派生物」と訳されていますが,これらは 「(一次)著作物/二次著作物」のことです. 「仕事」には「働くこと」という意味もあるんで, なんとなく釣り合いが取れてないように見えます.
1)
権利章典と共産主義とを事実上比較し、また、その擁護者と共産主義者とを事 実上比較してね。
ここは,「比較する」ではなく,「同列におく」「同等とみなす」という意味. 共産主義を蛇蠍のごとくに嫌う米国人にとっては,これは最大の侮辱でしょう.
あるいは、ぼくは、ふさわしい自由を持って世に出た、他の種類の情報を勝ち 取るよう取り組めたらと思う。
「…他の種類の情報に,それらにふさわしい自由を勝ち取ることを…」.
2)
情報管理者に、それがもっと利潤を獲得できますよと説得するよりも、ぼくた ちの自由が尊厳されるよう務めたい。――どっちが正しいことなのかは、ぼくはわ からないが――ぼくは、コンピュータのユーザーには、彼らの自由を尊重するよう なソフトウェアにこだわるよう説得に務めている。
「ITマネージャーに,われわれの自由を尊重することが金になる(それが本当か どうかは知らないが)と説得するよりも, コンピューターのユーザーに,彼らの自由を尊重するようなソフトウェアにこだ わるよう説得することのほうに務めている」
実利的な恩恵ばかりではなく、社会的かつ倫理的な問題にも関心を持つ。隣人 と協力するようにひとを勇気づけることになろうと、協力を抑制することになろ うと。
これは「(協力を推進するのか,それとも協力を阻害するのかといった)社会的か つ倫理的な問題にも関心を持つ」ということ.
「オープン・ソース・ムーヴメント」が、ある程度まで、正しいと明言してい るものはなんだろうか。ぼくは、彼らが割愛していることに対して非常に遺憾だ。
これは「オープンソース運動が明に言っていることは,ある程度までは正しい. しかし,彼らが言っていないことについてうれしくないと思っている.」という こと.
フリー・ソフトウェアは、ときとして、非常にパワフルで信頼できる。そのア ピールには、こう付け加えてくれるとうれしい。「でも、ボクなら、機能がいっ ぱいで信頼できるがぼくの自由を尊重してくれないプロプライエタリなソフト ウェアよりも、飾り気がなくて信頼もできかねるフリーなプログラムを選ぶだろ うね。」
前半は,「フリーソフトウェアはパワフルで信頼性の高いものが多く,それが魅 力 (appeal) を追加している.」ということで,後半は,それをうけて「しか し,たとえ機能不足で信頼性がなくても,プロプラエタリーよりはフリーを選 ぶ」と言っているのです.
3)
フリー・ソフトウェアは、既存のプログラマのコミュニティに分け入る生き方 だと、ぼくは学んだ。
これは「私は,フリーソフトウェアについて,それは一つの生き方 (a way of life) だということを学んだ.」ということ.どうやってそれを学んだかという と,「その生き方を既に生きた,プログラマーのコミュニティーに参加すること によって」.
これは非常に有名になったので、その標語の下働きをぼくやっている「オープ ン・ソース」的な考え方について、ぼくが、ひとによく問いかけられるように なってしまったのだ。
これは,オープンソースがとても有名になってしまったので,「RMS も,その旗 印の下に活動していると誤解されて, (フリーソフトウェアではなくて) オープ ンソースについて聞かれるようになった」ということ.
4)
「ちいさなことにくよくよするな」という文句で、(私は、"GNU/Linux"のこと を思い起こすのですが)、あなたに共鳴するひとはいるのですか?
「共鳴するひとはいるのですか」ではなく「心に響くことはなにもないのでしょ うか」.また,括弧内は,「ここでは GNU/Linux のことを想定して『ちいさな こと』と呼んでいるのですが」という意味.
――何か心配していたことはありますか? そうでもないですか?
「気にかけてはいるが,それほどひどく気にしてはいない」ものはあるか,とい う問いかけ.
6)
(由緒あるレコードを改ざんするようなものだ。)
ここは「歴史的記録を…」でしょう.
7)
特に親密なカップルになるケースでは、
ここは「密結合」くらいにしてください.なんか恥ずかしい.
11)
これらはまた、人工の権利でもある。権利とは自然ではないものだ。
「その(自然権の)ほかに,人工的な (artificial) 権利というものもある.人工的とは,自然 (natural) で はないということだ.」
ここでいう「自然権 (natural rights)」というのは,「すべての人が,生まれながらにして与えられている権利」のことで, しかもこれは「神が人間に与え給うたもの」ということになっているので, その他の,「人間が憲法・法律で決めた,法の改正によって廃止できるような, 人工的な権利」とは格が違うのです.(で,言論の自由は前者で,著作権は後者だ,といっている わけ.)
また,「自然権」という考え方は必然的に「神」の存在を前提とするので, 「無神論者のお前がそんなこと言っていいのか」という突っ込みが入ると. エリック・レイモンドあたりだと,口が裂けても自然権なんてことは言わないでしょう けれど.
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あと、僕は馬鹿なことをするのは嫌いですよ (わざとやるとき以外は)。-- Larry Wall
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翻訳ご苦労様です.いくつか気になった点を指摘させていただきます.
全般)
いくつかの質問で「work/derived work」を 「仕事/派生物」と訳されていますが,これらは 「(一次)著作物/二次著作物」のことです. 「仕事」には「働くこと」という意味もあるんで, なんとなく釣り合いが取れてないように見えます.
1)
ここは,「比較する」ではなく,「同列におく」「同等とみなす」という意味. 共産主義を蛇蠍のごとくに嫌う米国人にとっては,これは最大の侮辱でしょう.
「…他の種類の情報に,それらにふさわしい自由を勝ち取ることを…」.
2)
「ITマネージャーに,われわれの自由を尊重することが金になる(それが本当か どうかは知らないが)と説得するよりも, コンピューターのユーザーに,彼らの自由を尊重するようなソフトウェアにこだ わるよう説得することのほうに務めている」
これは「(協力を推進するのか,それとも協力を阻害するのかといった)社会的か つ倫理的な問題にも関心を持つ」ということ.
これは「オープンソース運動が明に言っていることは,ある程度までは正しい. しかし,彼らが言っていないことについてうれしくないと思っている.」という こと.
前半は,「フリーソフトウェアはパワフルで信頼性の高いものが多く,それが魅 力 (appeal) を追加している.」ということで,後半は,それをうけて「しか し,たとえ機能不足で信頼性がなくても,プロプラエタリーよりはフリーを選 ぶ」と言っているのです.
3)
これは「私は,フリーソフトウェアについて,それは一つの生き方 (a way of life) だということを学んだ.」ということ.どうやってそれを学んだかという と,「その生き方を既に生きた,プログラマーのコミュニティーに参加すること によって」.
これは,オープンソースがとても有名になってしまったので,「RMS も,その旗 印の下に活動していると誤解されて, (フリーソフトウェアではなくて) オープ ンソースについて聞かれるようになった」ということ.
4)
「共鳴するひとはいるのですか」ではなく「心に響くことはなにもないのでしょ うか」.また,括弧内は,「ここでは GNU/Linux のことを想定して『ちいさな こと』と呼んでいるのですが」という意味.
「気にかけてはいるが,それほどひどく気にしてはいない」ものはあるか,とい う問いかけ.
6)
ここは「歴史的記録を…」でしょう.
7)
ここは「密結合」くらいにしてください.なんか恥ずかしい.
11)
「その(自然権の)ほかに,人工的な (artificial) 権利というものもある.人工的とは,自然 (natural) で はないということだ.」
ここでいう「自然権 (natural rights)」というのは,「すべての人が,生まれながらにして与えられている権利」のことで, しかもこれは「神が人間に与え給うたもの」ということになっているので, その他の,「人間が憲法・法律で決めた,法の改正によって廃止できるような, 人工的な権利」とは格が違うのです.(で,言論の自由は前者で,著作権は後者だ,といっている わけ.)
また,「自然権」という考え方は必然的に「神」の存在を前提とするので, 「無神論者のお前がそんなこと言っていいのか」という突っ込みが入ると. エリック・レイモンドあたりだと,口が裂けても自然権なんてことは言わないでしょう けれど.