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報道では、「無線通信の秘密を漏らし、又は窃用」を問題にしているが、これは第109条のことだ。従前、鍵解読が犯罪だと指摘されるときに挙げられるのは、第109条の2であって、別の条だ。両方に該当し、包括一罪か何かで第109条の方が犯情が重いと判断したとかだろうか。
ただ、判決の「暗号鍵は『無線通信の秘密』ではない」という解釈をそのまま第109条の2の「暗号通信の秘密を漏らし、又は窃用する目的で、その内容を復元」に当てはめると、これにも違反しないということにもなりうる。
「無線通信」と「暗号通信」の解釈には暗号化以外の違いがないものだとするなら、解読者は、鍵割り出し作業の過程で暗号通信の内容を復元したことは否定されないものの、その目的は、暗号通信の秘密ではなく暗号通信の鍵を窃用することであって、構成要件である「暗号通信の秘密を窃用する目的」を欠くことになる。
一方で、「無線通信の秘密」と「暗号通信の秘密」とで解釈の幅を変え、暗号鍵が「暗号通信の秘密」に含まれるとすれば、暗号通信の秘密を窃用する目的を備えることになる。「通信の秘密」の対象が、送受信される情報に限らず、例えば「通信の日時」というようなものまで含むと従来から解釈されていたように、「暗号通信の秘密」を通信されていない部分まで広げることは、ありえないことではないのではないか。
西方望氏によれば、第109条の2にある「内容の復元」をしなくてもWEP鍵の解析は可能とのこと。
無線LAN「ただ乗り」初検挙の裏側を読み解く [the01.jp]
まず問題は「暗号通信の秘密を漏らし、又は窃用する目的で、その内容を復元」だ。実は、WEPキーを解析するだけであれば「内容を復元」する必要がない。解析のためには暗号化パケットを数万個収集しなければならないが、パケットのうち暗号化された部分(ペイロード)はそもそも解析に不要なのだ(妙な話に聞こえるかもしれ
そうなのかー。確かに、客観的行為として「暗号通信の内容を復元」から否定されると、どうにもならないですね。
この論点でいうと、この裁判例を「ただ乗り無罪」「暗号解読無罪」というと不正確で、「暗号解読しなければ無罪」ということになるでしょうか。これだと、傍受して解読するのは電波法違反だとする従来の指摘からは外れていないですね。
なんで解読するのが電波法違反なんだよ不正アクセスなら行けるかもしれんが、電波法では無理だろそもそも電波法では秘密の通信なんざ認めてないし
いや、電波法で暗号化通信の解読が違法なんですよ。暗号化されない通信はもちろん傍受そのものは自由なんだが内容を他人にしゃべったりしてはいけない。暗号化された通信はそれを解読してはいけない。そもそもはコードレス電話・携帯電話・警察無線なんかの通話内容を保護するための規定なんだが。
念のため電波法の該当条文。
第百九条 無線局の取扱中に係る無線通信の秘密を漏らし、又は窃用した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。2 無線通信の業務に従事する者がその業務に関し知り得た前項の秘密を漏らし、又は窃用したときは、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第百九条の二 暗号通信を傍受した者又は暗号通信を媒介する者であつて当該暗号通信を受信したものが、当該暗号通信の秘密を漏らし、又は窃用する目的で、その内容を復元したときは、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。2 無線通信の業務に従事する者が、前項の罪を犯したとき(その業務に関し暗号通信を傍受し、又は受信した場合に限る。)は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。3 前二項において「暗号通信」とは、通信の当事者(当該通信を媒介する者であつて、その内容を復元する権限を有するものを含む。)以外の者がその内容を復元できないようにするための措置が行われた無線通信をいう。
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吾輩はリファレンスである。名前はまだ無い -- perlの中の人
起訴の罰条が謎 (スコア:2)
報道では、「無線通信の秘密を漏らし、又は窃用」を問題にしているが、これは第109条のことだ。
従前、鍵解読が犯罪だと指摘されるときに挙げられるのは、第109条の2であって、別の条だ。
両方に該当し、包括一罪か何かで第109条の方が犯情が重いと判断したとかだろうか。
Re: (スコア:2)
ただ、判決の「暗号鍵は『無線通信の秘密』ではない」という解釈をそのまま第109条の2の「暗号通信の秘密を漏らし、又は窃用する目的で、その内容を復元」に当てはめると、これにも違反しないということにもなりうる。
「無線通信」と「暗号通信」の解釈には暗号化以外の違いがないものだとするなら、解読者は、鍵割り出し作業の過程で暗号通信の内容を復元したことは否定されないものの、その目的は、暗号通信の秘密ではなく暗号通信の鍵を窃用することであって、構成要件である「暗号通信の秘密を窃用する目的」を欠くことになる。
一方で、「無線通信の秘密」と「暗号通信の秘密」とで解釈の幅を変え、暗号鍵が「暗号通信の秘密」に含まれるとすれば、暗号通信の秘密を窃用する目的を備えることになる。
「通信の秘密」の対象が、送受信される情報に限らず、例えば「通信の日時」というようなものまで含むと従来から解釈されていたように、「暗号通信の秘密」を通信されていない部分まで広げることは、ありえないことではないのではないか。
Re: (スコア:1)
西方望氏によれば、第109条の2にある「内容の復元」をしなくてもWEP鍵の解析は可能とのこと。
無線LAN「ただ乗り」初検挙の裏側を読み解く [the01.jp]
モデレータは基本役立たずなの気にしてないよ
Re: (スコア:2)
そうなのかー。
確かに、客観的行為として「暗号通信の内容を復元」から否定されると、どうにもならないですね。
この論点でいうと、この裁判例を「ただ乗り無罪」「暗号解読無罪」というと不正確で、「暗号解読しなければ無罪」ということになるでしょうか。
これだと、傍受して解読するのは電波法違反だとする従来の指摘からは外れていないですね。
Re: (スコア:0)
なんで解読するのが電波法違反なんだよ
不正アクセスなら行けるかもしれんが、電波法では無理だろ
そもそも電波法では秘密の通信なんざ認めてないし
Re: (スコア:0)
いや、電波法で暗号化通信の解読が違法なんですよ。
暗号化されない通信はもちろん傍受そのものは自由なんだが内容を他人にしゃべったりしてはいけない。
暗号化された通信はそれを解読してはいけない。
そもそもはコードレス電話・携帯電話・警察無線なんかの通話内容を保護するための規定なんだが。
Re:起訴の罰条が謎 (スコア:0)
念のため電波法の該当条文。
第百九条 無線局の取扱中に係る無線通信の秘密を漏らし、又は窃用した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 無線通信の業務に従事する者がその業務に関し知り得た前項の秘密を漏らし、又は窃用したときは、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第百九条の二 暗号通信を傍受した者又は暗号通信を媒介する者であつて当該暗号通信を受信したものが、当該暗号通信の秘密を漏らし、又は窃用する目的で、その内容を復元したときは、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 無線通信の業務に従事する者が、前項の罪を犯したとき(その業務に関し暗号通信を傍受し、又は受信した場合に限る。)は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
3 前二項において「暗号通信」とは、通信の当事者(当該通信を媒介する者であつて、その内容を復元する権限を有するものを含む。)以外の者がその内容を復元できないようにするための措置が行われた無線通信をいう。