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皆さんのコメントを見ていると、明らかに誤解している人や限定的な理解しかしてない人がいらっしゃるみたいなので、皆が気にしている疑問に答えてみようと思います。
Q.薬が処方されないと文句を言われるから、抗菌薬が処方されるんじゃないの?A.ウイルス性上気道炎(いわゆる「かぜ」)と診断した場合、抗菌薬は無効ですが、熱、咳、鼻汁など、何らかのつらい症状があって来院してるわけなので、それを和らげる薬を出します。自然に治るのを待つしかなく、抗菌薬は不要であることを説明します。それで殆どの人は納得して帰ります。きちんと説明しても、不合理にもどうしても抗菌薬を欲しがる人は稀にいます。そういう人にどう対応するかは診察した医師のスタンスによります。
Q.抗菌薬を処方した方が医者の経済的利益になるんじゃないの?A.勤務医の場合は病院から雇われている身分ですので何を処方しようが貰える給料は変わりません。開業医や経営者の視点でみた場合、院外処方か院内処方で多少違います。院外処方の場合、何か処方すれば処方箋料が貰えるのでそこに抗菌薬を追加しても貰えるお金は変わりません。普通は症状を和らげる薬も出すので何も処方せずに帰すことは稀です。院内処方の場合、薬価差益が収入になりますが、薬価は年々引き下げられているので特に抗菌薬の場合は殆ど儲かりません。むしろこのために一部の抗菌薬では供給不足に陥り、最近問題になっているくらいです。新薬の場合、この分野ですと具体的にはゾフルーザ(抗菌薬ではありません)では、利益が出る可能性はあります。
Q.抗菌薬が効く風邪もあるんじゃないの? どうやって見分けるの?A.いわゆる「かぜ」は診断名ではありません。細菌性肺炎や細菌性副鼻腔炎など、「かぜ」のような症状で抗菌薬が有効な疾患はいくつもあります。見分け方は専門的になりすぎるので割愛しますが、正直初期の段階では区別がつかないことは多々あります。若くて元気でウイルス性上気道炎の可能性が濃厚なら、対症療法で様子をみます。高齢で何度も肺炎で入院歴がある人とか、事情がある人は別途考慮します。場合によっては抗菌薬を処方して帰すこともあるかもしれません。
Q.ウイルスが原因なら、抗ウイルス薬があるんじゃないの?A.よく知られているようにインフルエンザに対しては抗インフルエンザ薬があります。それ以外のウイルス性上気道炎の原因になるウイルスに対しては抗ウイルス薬が無いか、理論的には有効でも副作用等の問題で使い物になりません。インフルエンザは迅速抗原検出検査があるので、陽性なら抗インフルエンザ薬を飲めばいいじゃないかという話はあります。実際、発症して48時間以内に飲み始めれば回復が1日程度早くなったという研究はあります。しかし、若くて元気な人では抗インフルエンザ薬を飲まなくても治るので、そういう場合は処方しないほうが良いのではないかという議論はあります。
Q.効く可能性があるなら、念のため飲んでおいたほうが安心じゃない?A.抗菌薬には副作用が出る可能性があります。薬剤耐性菌の問題もあります。その一方で、細菌性肺炎等の抗菌薬が有効な疾患の重症化を防ぐことができるというメリットもあります。これらリスクベネフィットを勘案して総合的に決めますが、若くて元気で他に特段考慮すべき事情がない人の場合は、不利益のほうが遥かに大きいことが分かっているので、原則処方しません。
わかりやすいまとめありがとうございます。風邪=ウイルス性上気道炎とすれば、風邪に抗菌剤は効かないはわかるのですが、「かぜ」のような症状で抗菌薬が有効な疾患も広義の風邪とする考え方もありますよね。ググっても風邪の90%とかはウイルス感染みたいな表現の医療機関が見つかりますし。その広義の風邪と、風邪=ウイルス性上気道炎が混在する中で、風邪に抗菌剤は効かないって啓蒙することって正しいと思えないんですよね。風邪の定義をウイルス性のものに限定することから啓蒙活動を始めるか、「風邪のほとんど(90%?)はウイルス性で抗菌剤は効きません、抗菌剤の効く風邪にはきちんと抗菌剤を処方します」と広義の風邪の定義に沿った書き方にしたほうがいいんじゃないですかね。
「広義の風邪」といっても、医学の知識のない”普通人”たちの広義ですからねぇ。原因もわからずなんでもかんでも「風邪」になっているのが現実で、広義どころじゃないんじゃないでしょうか。
啓蒙活動するより、医師側が「ウイルス性上気道炎」「細菌性肺炎」「細菌性副鼻腔炎」と切り分けてあげるのが現実的なんでしょう。
# スラド的には、コンピュータに詳しくない人の「バグった」「壊れた」レベルに近くて、# そもそもケーブル刺さってないとか、設定を訳もわからず変えたとか含んでいるみたいな。
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クラックを法規制強化で止められると思ってる奴は頭がおかしい -- あるアレゲ人
Q&A (スコア:5, 参考になる)
皆さんのコメントを見ていると、明らかに誤解している人や限定的な理解しかしてない人がいらっしゃるみたいなので、皆が気にしている疑問に答えてみようと思います。
Q.薬が処方されないと文句を言われるから、抗菌薬が処方されるんじゃないの?
A.ウイルス性上気道炎(いわゆる「かぜ」)と診断した場合、抗菌薬は無効ですが、熱、咳、鼻汁など、何らかのつらい症状があって来院してるわけなので、それを和らげる薬を出します。自然に治るのを待つしかなく、抗菌薬は不要であることを説明します。それで殆どの人は納得して帰ります。きちんと説明しても、不合理にもどうしても抗菌薬を欲しがる人は稀にいます。そういう人にどう対応するかは診察した医師のスタンスによります。
Q.抗菌薬を処方した方が医者の経済的利益になるんじゃないの?
A.勤務医の場合は病院から雇われている身分ですので何を処方しようが貰える給料は変わりません。開業医や経営者の視点でみた場合、院外処方か院内処方で多少違います。院外処方の場合、何か処方すれば処方箋料が貰えるのでそこに抗菌薬を追加しても貰えるお金は変わりません。普通は症状を和らげる薬も出すので何も処方せずに帰すことは稀です。院内処方の場合、薬価差益が収入になりますが、薬価は年々引き下げられているので特に抗菌薬の場合は殆ど儲かりません。むしろこのために一部の抗菌薬では供給不足に陥り、最近問題になっているくらいです。新薬の場合、この分野ですと具体的にはゾフルーザ(抗菌薬ではありません)では、利益が出る可能性はあります。
Q.抗菌薬が効く風邪もあるんじゃないの? どうやって見分けるの?
A.いわゆる「かぜ」は診断名ではありません。細菌性肺炎や細菌性副鼻腔炎など、「かぜ」のような症状で抗菌薬が有効な疾患はいくつもあります。見分け方は専門的になりすぎるので割愛しますが、正直初期の段階では区別がつかないことは多々あります。若くて元気でウイルス性上気道炎の可能性が濃厚なら、対症療法で様子をみます。高齢で何度も肺炎で入院歴がある人とか、事情がある人は別途考慮します。場合によっては抗菌薬を処方して帰すこともあるかもしれません。
Q.ウイルスが原因なら、抗ウイルス薬があるんじゃないの?
A.よく知られているようにインフルエンザに対しては抗インフルエンザ薬があります。それ以外のウイルス性上気道炎の原因になるウイルスに対しては抗ウイルス薬が無いか、理論的には有効でも副作用等の問題で使い物になりません。インフルエンザは迅速抗原検出検査があるので、陽性なら抗インフルエンザ薬を飲めばいいじゃないかという話はあります。実際、発症して48時間以内に飲み始めれば回復が1日程度早くなったという研究はあります。しかし、若くて元気な人では抗インフルエンザ薬を飲まなくても治るので、そういう場合は処方しないほうが良いのではないかという議論はあります。
Q.効く可能性があるなら、念のため飲んでおいたほうが安心じゃない?
A.抗菌薬には副作用が出る可能性があります。薬剤耐性菌の問題もあります。その一方で、細菌性肺炎等の抗菌薬が有効な疾患の重症化を防ぐことができるというメリットもあります。これらリスクベネフィットを勘案して総合的に決めますが、若くて元気で他に特段考慮すべき事情がない人の場合は、不利益のほうが遥かに大きいことが分かっているので、原則処方しません。
Re: (スコア:0)
わかりやすいまとめありがとうございます。
風邪=ウイルス性上気道炎とすれば、風邪に抗菌剤は効かないはわかるのですが、
「かぜ」のような症状で抗菌薬が有効な疾患も広義の風邪とする考え方もありますよね。
ググっても風邪の90%とかはウイルス感染みたいな表現の医療機関が見つかりますし。
その広義の風邪と、風邪=ウイルス性上気道炎が混在する中で、
風邪に抗菌剤は効かないって啓蒙することって正しいと思えないんですよね。
風邪の定義をウイルス性のものに限定することから啓蒙活動を始めるか、
「風邪のほとんど(90%?)はウイルス性で抗菌剤は効きません、
抗菌剤の効く風邪にはきちんと抗菌剤を処方します」
と広義の風邪の定義に沿った書き方にしたほうがいいんじゃないですかね。
Re: (スコア:0)
「広義の風邪」といっても、医学の知識のない”普通人”たちの広義ですからねぇ。
原因もわからずなんでもかんでも「風邪」になっているのが現実で、広義どころじゃないんじゃないでしょうか。
啓蒙活動するより、医師側が「ウイルス性上気道炎」「細菌性肺炎」「細菌性副鼻腔炎」と
切り分けてあげるのが現実的なんでしょう。
# スラド的には、コンピュータに詳しくない人の「バグった」「壊れた」レベルに近くて、
# そもそもケーブル刺さってないとか、設定を訳もわからず変えたとか含んでいるみたいな。