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「保険証のコピーを郵送」と「申請者の顔と、写真付きの身分証明書の写真をネット送信」とで、「画像の改ざんやなりすましの防止」に何の違いがあると思っているんだろうか。後者のデータを偽造できるなら、前者の偽造は当然できる。
むしろ、その場で撮影を要求され、通信の証拠が残るLINEの方が不正の難度が高いだろう。
窓口交付は当然に外出が必要で、郵送請求に必要な定額小為替(と切手)は郵便窓口に買いに行くことが必要で、マイナンバーカードによるコンビニ交付はコンビニに行くことが必要で、そもそも現状で取得率が低いマイナンバーカードを取得するには役所窓口に行くことが必要で。現行法令上で可能であれば、なんなら不可能ならば政省令を改正してでも、外出を抑制することを最優先にした政治判断をしてはくれないのだろうか。
> 保険証のコピーを郵送これは、保険証のコピーを偽造した場合、公文書偽造の罪になります。法定刑は1年以上10年以下でかなり重い。コピーなのに? と思うかもしれませんが、原本に限らず、コピーもまた偽造罪の対象となる文書性を有するという最高裁の判例があります(最判昭和51年4月30日刑集30巻3号453頁等)。更に、郵送請求だと住民票請求用紙に嘘を書くことになるので、有印私文書偽造罪にもなります。これは、3月以上5年以下の懲役です。
一方、LINEに偽の電磁的記録を与えた場合には、不正指令電磁的記録提供で、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金と、最低刑がなく比較的軽い罪にしかなりません。渋谷区のLINE方式だと、顔写真と証明書の一致の認証があるから公文書も偽造する必要があると思うかもしれませんか、root化orエミュレータを使用したAndroidならば公文書やそのコピーを偽造しなくても電磁的記録を偽造したものをカメラ映像としてアプリに入力させることが可能です。
不正指令電磁的記録提供罪ではなく、電磁的記録不正作出及び供用罪(第161条の2)ですね。「不正指令電磁的記録」はいわゆるウィルス系の罪で、また、共犯者に道具を渡す意味の「提供」ではなく、実際に使う意味の「共用」の罪。
ただ、物体として存在する偽造を経ずに、データ上だけで身分証の写真を偽造する、というのは面白い論点ですね。ご指摘の通り、公文書か私文書かで文書偽造の罪の重さが変わりますが、「データ偽造」でも同じく、本来は公務員が作成するデータか私人が作成するデータかで、「データ偽造」の罪の重さが変わります。公務員が作成するデータであれば、その偽造は公文書偽造罪とほぼ同じ、私人が作成するデータであれば、その偽造は私文書偽造罪とほぼ同じ罪の重さになっています。
この点で、本来は「私人が公文書を撮影した写真データ」であるべきものを、その内の公文書部分のデータを偽造した場合は、どちらを適用すべきなのか。立法の意図としては公文書偽造に相当するものとして扱いたいのでしょうが、条文からは直ちにはそうは読めず、もし私文書偽造に相当するとなれば、法の抜け穴に思えます。
(電磁的記録不正作出及び供用)第百六十一条の二 人の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録を不正に作った者は、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。2 前項の罪が公務所又は公務員により作られるべき電磁的記録に係るときは、十年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。3 不正に作られた権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録を、第一項の目的で、人の事務処理の用に供した者は、その電磁的記録を不正に作った者と同一の刑に処する。 刑法 [e-gov.go.jp]第161条の2
(強調筆者)
とはいえ、いずれにせよ、この程度の罪の重さの違いが、安全性の担保として有意な違いになるかといえば、そうは感じません。犯罪者は、懲役10年ならやらないが5年ならやる、とか考えるものなのでしょうか。
昔は銃を撃っても1年くらいの懲役だったので気軽に撃ってたけど、今は10年はかかるので撃たないってのは聞きました。
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吾輩はリファレンスである。名前はまだ無い -- perlの中の人
この期に及んで原理主義 (スコア:3)
「保険証のコピーを郵送」
と
「申請者の顔と、写真付きの身分証明書の写真をネット送信」
とで、
「画像の改ざんやなりすましの防止」
に何の違いがあると思っているんだろうか。
後者のデータを偽造できるなら、前者の偽造は当然できる。
むしろ、その場で撮影を要求され、通信の証拠が残るLINEの方が不正の難度が高いだろう。
窓口交付は当然に外出が必要で、郵送請求に必要な定額小為替(と切手)は郵便窓口に買いに行くことが必要で、マイナンバーカードによるコンビニ交付はコンビニに行くことが必要で、そもそも現状で取得率が低いマイナンバーカードを取得するには役所窓口に行くことが必要で。
現行法令上で可能であれば、なんなら不可能ならば政省令を改正してでも、外出を抑制することを最優先にした政治判断をしてはくれないのだろうか。
罪の重さが違う (スコア:0)
> 保険証のコピーを郵送
これは、保険証のコピーを偽造した場合、公文書偽造の罪になります。法定刑は1年以上10年以下でかなり重い。
コピーなのに? と思うかもしれませんが、原本に限らず、コピーもまた偽造罪の対象となる文書性を有するという最高裁の判例があります(最判昭和51年4月30日刑集30巻3号453頁等)。
更に、郵送請求だと住民票請求用紙に嘘を書くことになるので、有印私文書偽造罪にもなります。これは、3月以上5年以下の懲役です。
一方、LINEに偽の電磁的記録を与えた場合には、不正指令電磁的記録提供で、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金と、最低刑がなく比較的軽い罪にしかなりません。
渋谷区のLINE方式だと、顔写真と証明書の一致の認証があるから公文書も偽造する必要があると思うかもしれませんか、root化orエミュレータを使用したAndroidならば公文書やそのコピーを偽造しなくても電磁的記録を偽造したものをカメラ映像としてアプリに入力させることが可能です。
Re:罪の重さが違う (スコア:2)
不正指令電磁的記録提供罪ではなく、電磁的記録不正作出及び供用罪(第161条の2)ですね。
「不正指令電磁的記録」はいわゆるウィルス系の罪で、また、共犯者に道具を渡す意味の「提供」ではなく、実際に使う意味の「共用」の罪。
ただ、物体として存在する偽造を経ずに、データ上だけで身分証の写真を偽造する、というのは面白い論点ですね。
ご指摘の通り、公文書か私文書かで文書偽造の罪の重さが変わりますが、「データ偽造」でも同じく、本来は公務員が作成するデータか私人が作成するデータかで、「データ偽造」の罪の重さが変わります。
公務員が作成するデータであれば、その偽造は公文書偽造罪とほぼ同じ、私人が作成するデータであれば、その偽造は私文書偽造罪とほぼ同じ罪の重さになっています。
この点で、本来は「私人が公文書を撮影した写真データ」であるべきものを、その内の公文書部分のデータを偽造した場合は、どちらを適用すべきなのか。
立法の意図としては公文書偽造に相当するものとして扱いたいのでしょうが、条文からは直ちにはそうは読めず、もし私文書偽造に相当するとなれば、法の抜け穴に思えます。
(強調筆者)
とはいえ、いずれにせよ、この程度の罪の重さの違いが、安全性の担保として有意な違いになるかといえば、そうは感じません。
犯罪者は、懲役10年ならやらないが5年ならやる、とか考えるものなのでしょうか。
Re: (スコア:0)
昔は銃を撃っても1年くらいの懲役だったので気軽に撃ってたけど、今は10年はかかるので撃たないってのは聞きました。