続いての、部門ごとの独立性の課題は、研究ごとに独自ポリシーを追加しているケースがあること。 といっても、部門ごとに追加のポリシーを持つのは当たり前の話で、大騒ぎする話じゃないのだが、今回話題になった論文は、実は、その事情を勘案していない。 論文は、上記SRAや、NPR 2210.1C、公開ソフトウェアのカタログに纏わる用語のややこしさに何ら言及していないくせに、The Earth Science Data Systems (ESDS) Program という限定的な範囲のポリシー [nasa.gov]を引用していたりする。というか、論文がNASAでの定義について引用した箇所がこのポリシーのみで、NASA全体でどう定義しているかを調査した形跡、引用がなく、単にFSFに従え~、と言いたいだけの根拠があいまいなひどい論文に見える。
ユニークな語を意味とともに新規で定義せよ (スコア:0)
そもそも、使い古されて各自が適当な意味と定義を信じている言葉を使うことが間違い
まず、内容の定義をしっかりして、それを指し示す言葉を誤解の無いよう決めれば良い
「フリー」も「オープン」も多重語義がすぎるから使うのが間違い
いや、NASA全体としては定義しているんだけどね?論文はなぜかそこに言及してないのよ (スコア:2, 参考になる)
具体的には、NPR 2210.1C での定義 [nasa.gov]。
いわゆる Open Source Software と Publicly Releasable Software をちゃんと区別している。
確かに、用語のややこしさがあることと、研究ごとに独立したポリシーを持つケースもあるという課題はある。
NASAは、Open Source License が今のように定義されるずっと前から、ソースの公開をしていて、各部門のSRA (Software Release Authority)が、公開形態…まず第一に輸出規制に基づく…や、ソフトウェアやドキュメントの価格を審査し、決定した上で開示してきた(※1)。
そして、いつの時代か、その公開形態の1つを「Open Source Release」と定義した(※2)。実はこの単語の「Release」の一語が非常に曲者で、「Open Source Release」は、単にソースを外部プログラマーと共有して修正しましたよ~程度の意味で使っていて、ライセンスとは関係ない語として用いている。代わりに、現在のオープンソースライセンスに相当するリリース形態は「General Public Release」という語で表現してきた。
公開時の語句とNPR 2210.1Cでの定義を対比すると、「Open Source Release」が Publicly Releasable Software に相当し、「General Public Release」が Publicly Releasable Software に相当している。これが第一で、最大のややこしさ。
次に、ややこしくしているのが、NASAのオープンソースライセンスNOSA [wikipedia.org]をOSIがオープンソースライセンスと認めていること。このライセンスは、NASAとの契約に無関係な第三者利用を制限しているため、OSIの定義ではオープンソースと認めていても、FSFの定義ではオープンソースと認めていないグレーゾーンにある。
続いての、部門ごとの独立性の課題は、研究ごとに独自ポリシーを追加しているケースがあること。
といっても、部門ごとに追加のポリシーを持つのは当たり前の話で、大騒ぎする話じゃないのだが、今回話題になった論文は、実は、その事情を勘案していない。
論文は、上記SRAや、NPR 2210.1C、公開ソフトウェアのカタログに纏わる用語のややこしさに何ら言及していないくせに、The Earth Science Data Systems (ESDS) Program という限定的な範囲のポリシー [nasa.gov]を引用していたりする。というか、論文がNASAでの定義について引用した箇所がこのポリシーのみで、NASA全体でどう定義しているかを調査した形跡、引用がなく、単にFSFに従え~、と言いたいだけの根拠があいまいなひどい論文に見える。
ということで、NASAは定義はしてるけど、ややこしくしており、さらに、論文の論点もどこかおかしい、という感触だ。
※1 公開サイト…のガイド [nasa.gov]
この前身は ジョージア大が事務局をしていた COSMIC (NASA Software Technology Transfer Center) で、
1996年頃のURLは http :// www.cosmic.uga.edu/ だった。当然、今はもうこのサイトは存在していない。
インターネット黎明期には 米Turbolinux社の前身 Pacific HiTech, Incが、COSMICと提携してソースを
CDに焼いて販売してた。そのCDは、ソースは見せるが、プログラムや文書の販売には金取るぜ~、
NASAにコンタクト取れよ~、といった旨が書かれていた(というか、それを見て、このコメント書いた)。
※2 (PDF)NASA公開ソフトウェアのカタログ中の用語集 [nasa.gov]
Re: (スコア:0)
訂正です。失礼をば。
誤:公開時の語句とNPR 2210.1Cでの定義を対比すると、「Open Source Release」が Publicly Releasable Software に相当し、「General Public Release」が Publicly Releasable Software に相当している。これが第一で、最大のややこしさ。
正:ソース公開の際の語句とNPR 2210.1Cでの定義を対比すると、「Open Source Release」が Publicly Releasable Software に相当し、「General Public Release」が Open Source Software に相当している。これが第一で、最大のややこしさ。
Re: (スコア:0)
COSMICって NASTRANのやつか。
NASAに納入されたソースコード…いわゆるCOSMIC/NASTRAN系は、NASA Classicsとか、NASA COSMIC Collectionでソースコードが公開され(Github [github.com])、
開発元のは、MSC/NASTRANとしてアップデートされていって、最後には反トラスト法で各社にばら撒かれたわけだ。