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身近な人の偉大さは半減する -- あるアレゲ人
事実と観測。 (スコア:3, 参考になる)
RKKエネルギヤ社は、以前にも6人乗り再使用型カプセル機"Zarya" [aerospaceguide.net]の開発を検討したことがあり、結局予算不足によってSoyuz-TMA型という極小のマイナーチェンジに留めることとなった、という前歴があります。そのSoyuz-TMA型の開発においても、恐らくは資金不足から、通常ならば行う筈の無人飛行を省略して、結局一号機の再突入で不具合を起こしています。
Zarya機の開発には、現在の過酸化水素使用のものに替わる、軌道上寿命の長い高信頼性液体推進システムが不可欠と思われますが、少なくともRKKエネルギヤ社はその技術を持っていません。持っていたならSoyuz-TMA型で使っていただろうからです。
資金及び技術面で、RKKエネルギヤ社に開発は無理だと思われます。
再使用型カプセル機については、既に過去において商売敵のフルニチェフ社がソヴィエト時代に実用化しています。現役の有人宇宙船TKSの再突入モジュールVAです。
TKSは重量20トンでプロトン打ち上げ機によって軌道に投入される三人乗り宇宙船です。アボートタワーと結合してフェアリングの上に剥き出しで鎮座する円錐形のVA再突入カプセルとその下の機械船とは、カプセルの耐熱シールドを貫通するハッチによって結合されており、軌道上で乗組員は機械船の広い居住スペースに移動することができます。また機械船の後端はドッキングポートとなっています。
固体推進剤のアボートタワーは軌道上まで切り離すことなく持って行き、再突入減速に使うことになっていました。VAカプセルは単体で、プロトンのフェアリングに2機づつ搭載されて、2機同時に試験を行うという横着というか強引というか、そういうやりかたで試験されました。カプセルは40回まで再使用可能で、試験中に一度再使用されています。但し、こちら [astronautix.com]に詳しいように、複数回の不具合によって、充分な信頼性を証明する前に開発は打ち切られています。
機械船のほうは宇宙ステーション用のモジュール、万能有人宇宙船として生産と開発が続けられています。例えばISSの最初のモジュール"Zarya"はこのTKSです。
注意しなければならないのは、TKSも"Zarya"も機械船は使い捨てるという点ですね。
さて、では何故今ごろこんなことを言い出したのかと言えば、恐らくアメリカの再突入機であるCEV開発に声が掛からなかったから、でしょう。また、打ち上げ機への言及があるという事は、フルニチェフ社のローコストな新型打ち上げ機”アンガラ”の登場が思ったよりも近いのかも知れません。