アカウント名:
パスワード:
調べてみたら、金融庁 [fsa.go.jp]が2003年に「電子マネーの将来とその法的基盤 [fsa.go.jp]」と題して、日本や諸外国における電子マネーの法的な位置づけや将来の方向性を調査していました。/.-Jなどでは技術屋さんが多いのかどうしても計算機システムの議論になってしまいますが、このレポートはどちらかというと金融システムの議論が中心になっています。
今日本で流通しているメジャーな電子マネーは、民間企業が発行しています。このことから、調査では電子マネーの法的定義を「その金額に応ずる対価を得て電磁的に記録された金額情報であって、その記録者との契約関係に基づき、それを移転することによって、契約に基づく一定の範囲の金銭債務の弁済としての効力を有するもの」としています。これに基づき各法律と照らし合わせた結果、免責的債務引受構成(簡単には為替手形)、ないしは債務を引受ではなく債務者交替による更改と理解するのがもっとも適切な法的説明だろうとしています。
電子マネーのもっとも確からしい本質が為替手形である以上、債務を引受または交替する発行者はそれなりの信用力を持っておかなければなりません。このため、香港のOctopus Cardでは発行者が自ら金融機関となり、当局の管理下に置かれました。フランスのMoneoは金融機関のみが電子マネーの発行を認められています。私の憶測ですが、いずれも発行者に対して既存の法体系の枠内で債務状況の監視や適時開示をさせるようにするための工夫なのでしょう。総じて「安心して現金から移行できるシステムを作る」のが目標になっているようです。
残念ながら、日本では最大手のビットワレットですらこのようなディスクロージャーを全く行っていません。調査でも、日本の事例は普及活動や現場での利用に関するものばかりで、金融面での決済安全性については将来課題に留まっています。まだ事例こそありませんが、利用者にとってはいつサービスが停止するかわからないというリスクが付きまとうことになります。
より多くのコメントがこの議論にあるかもしれませんが、JavaScriptが有効ではない環境を使用している場合、クラシックなコメントシステム(D1)に設定を変更する必要があります。
アレゲはアレゲを呼ぶ -- ある傍観者
電子マネーの法的な実態 (スコア:2, 参考になる)
調べてみたら、金融庁 [fsa.go.jp]が2003年に「電子マネーの将来とその法的基盤 [fsa.go.jp]」と題して、日本や諸外国における電子マネーの法的な位置づけや将来の方向性を調査していました。/.-Jなどでは技術屋さんが多いのかどうしても計算機システムの議論になってしまいますが、このレポートはどちらかというと金融システムの議論が中心になっています。
今日本で流通しているメジャーな電子マネーは、民間企業が発行しています。このことから、調査では電子マネーの法的定義を「その金額に応ずる対価を得て電磁的に記録された金額情報であって、その記録者との契約関係に基づき、それを移転することによって、契約に基づく一定の範囲の金銭債務の弁済としての効力を有するもの」としています。これに基づき各法律と照らし合わせた結果、免責的債務引受構成(簡単には為替手形)、ないしは債務を引受ではなく債務者交替による更改と理解するのがもっとも適切な法的説明だろうとしています。
電子マネーのもっとも確からしい本質が為替手形である以上、債務を引受または交替する発行者はそれなりの信用力を持っておかなければなりません。このため、香港のOctopus Cardでは発行者が自ら金融機関となり、当局の管理下に置かれました。フランスのMoneoは金融機関のみが電子マネーの発行を認められています。私の憶測ですが、いずれも発行者に対して既存の法体系の枠内で債務状況の監視や適時開示をさせるようにするための工夫なのでしょう。総じて「安心して現金から移行できるシステムを作る」のが目標になっているようです。
残念ながら、日本では最大手のビットワレットですらこのようなディスクロージャーを全く行っていません。調査でも、日本の事例は普及活動や現場での利用に関するものばかりで、金融面での決済安全性については将来課題に留まっています。まだ事例こそありませんが、利用者にとってはいつサービスが停止するかわからないというリスクが付きまとうことになります。