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新規株式公開が済んだところで振り返ってみたのですが、市場参加者としてみてみると、市場を侮った行動がいろいろ出てきますね。特に、「個人に株を持ってほしい [cnet.com]」といっておきながら「長期保有せよ [cnet.com]」といっているのは、リスク許容度が低い個人投資家にとっては矛盾した要求です。
もともと、大株主といえば融資元の銀行というのが定番でした。融資と引換に株を持ってもらい、コトが起きた時には企業へ口を出す権利を与えておくのです。これにより、少人数からなる安定株主を作ることができます。ところが、銀行に厳しい自己資本規制が課せられたことにより、銀行には融資の余力がなくなってしまいました。貸し渋りや貸し剥がしにより
投資信託や退職者年金基金の最終的な受益者は個人です。しかし、これらはファンドの運営に関して収益以外で関心を持つことは多くありませんが、ファンドの短期的な収益よりも長期的な成長性に関心を持ちます。これは、投資信託の受益者である個人のリスク許容度が高いことを意味するわけではありません。単にファンドが投資先に関心がないだけです。
基金系はともかく、投信については投資対象によりけりなのでは? 日本の例ですが、例えば ETF は個人がインデックス売買のつもりで短期に仕掛けるという手口もあります。加えて、投資先が株式のみで(債券や不動産に比べれば)価格変動が激しく、長期的成長なんていっている余裕はないと思うんですが。そういう投信もあるので、投信を十把ひとからげにするのは問題なのでは。少なくとも、株式の比重が大きい投信は区別して考えた方がよいでしょう。
同じように、個人投資家が株式に対して一般的にリスク許容度が低いわけではありませんし、リスク許容度の低さが短期売買を活発化させているとは限りません。実際に、株式を積極的に売買している個人が、売買の対象としている会社が何をやっているのか知らない人も多いでしょう
どうなんですかね... 大手証券に口座を持っている投資家だと、そこそこリスクに耐えられる(or 耐えざるを得ない)ということなんでしょうか? あるいは、証券会社の自己売買部門などと違って仕掛けや手仕舞いのタイミングをきっちり決めていないということもあるかも知れません。ただし、そういう姿勢で投資していると、特に長期に持ち合った場合は大怪我の元になるというのは間違いないでしょう。個人にもいろいろいますが、気づく人は気づいて、安全なうちに手仕舞うことを覚えていくのでは?
短期売買活発化について、リスク以外の要因としてはネット証券の手軽さもあるでしょうね。昨年の数字ですが、ネット証券では3兆円分のストックが年80兆円のフローを生み出している [yomiuri.co.jp]そうです。対面売買では、30兆円ストックがあっても年40兆円ぐらいしかフローが出ない。似たようなところで、大手証券で投資していた人がネット証券に口座を作って株式を移管したら売買頻度が増えたなんて話もあります。松井さんの受け売りのような気もしますが、現場での売買を直に見ている人なのでそんなに変な話ではないと私は見ています。
時に、アメリカの知人から昨年聞いた話なんですが、向こうでは信用取引によって取引が過熱化した結果、多くの個人投資家がかなりの損を出したという事件があったそうです。その結果、現在では韓国や日本などとは逆に、株式投資に参加するための資金ハードルが高くなってしまったそうですが、本当なのでしょうか? 特定少人数が金を巻き上げようとして事件を起こしたとかいうのならともかく、明らかに下落トレンドにあるにもかかわらず損切りをしなかった結果だとしたら、(証券会社や取引所が規制を強化することにより)投資家本人以外がその責任を追うのは俄に理解し難いのですが。
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あつくて寝られない時はhackしろ! 386BSD(98)はそうやってつくられましたよ? -- あるハッカー
Googleの戦略は投資家をバカにしている (スコア:2, すばらしい洞察)
新規株式公開が済んだところで振り返ってみたのですが、市場参加者としてみてみると、市場を侮った行動がいろいろ出てきますね。特に、「個人に株を持ってほしい [cnet.com]」といっておきながら「長期保有せよ [cnet.com]」といっているのは、リスク許容度が低い個人投資家にとっては矛盾した要求です。
もともと、大株主といえば融資元の銀行というのが定番でした。融資と引換に株を持ってもらい、コトが起きた時には企業へ口を出す権利を与えておくのです。これにより、少人数からなる安定株主を作ることができます。ところが、銀行に厳しい自己資本規制が課せられたことにより、銀行には融資の余力がなくなってしまいました。貸し渋りや貸し剥がしにより
Re:Googleの戦略は投資家をバカにしている (スコア:2, すばらしい洞察)
>融資と引換に株を持ってもらい
これはドイツやイスラム圏の銀行のことでしょうか? 日本の銀行は独占禁止法により事業会社の株式保有制限(5%)がありますし、アメリカの場合はグラス・スティーガル法により商業銀行による事業会社の株式保有は禁止され、90年代の緩和後も持ち株会社による保有にも制限があります
>銀行に厳しい自己資本規制が課せられたことにより、銀行には融資の余力がなくなってしまいました
これは逆でしょう。83年及び87年のバーセル合意は、ドイツと日本の圧力で銀行の自己資本のうちTier2の最大55%までに有価証券含み益の45%までを算入することができるとしましたが、その結果超低金利・政策資金と円高による過剰流動性によって株式に資金が流入し、銀行の貸出余力が高まり、貸し出しを乱発した結果株式市場と土地に資金が流入し、さらに銀行の貸出余力が高まる・・・という非常に危険な循環が発生しました。そもそも、Tier2は補完的項目で、株式・不動産の含み益をリスク許容度に加えてしまえば、無限に信用を創造できることになってしまいます(少なくともバブルがはじけるまでは)。現に世界の大手銀行は、日本と同様に株式の持ち合い慣習があるドイツのドイツ銀行やドレスナーを含めてTier1だけで自己資本比率8%を達成している銀行が大半で、Tier2を含めれば15%を越える銀行も少なくありません(邦銀で達成しているのは信託銀行やネット銀行など一部だけでBTMも含めてメガバンクでは皆無)。昨今の邦銀における自己資本問題は、BIS規制の問題よりもむしろ繰延税金資産の算入(と不良債権処理時の税制上の損金処理)、資産査定におけるDCF法の採用の問題で、元はといえばTier1の充実を怠ってきた邦銀そのものの問題でしょう
そもそも、欧米において資本市場における重要なプレイヤーは個人投資家よりも機関投資家である点では違いありません。日本の場合にはこれが商業銀行と年金基金ですが、特に米国の場合ではインベストメント・バンク(投資銀行)、インベストメント・ファンド、ミーチュアル・ファンド(以上二つは投資信託と訳されるが内容的には日本の投資信託と若干異なる)、退職者年金基金です。
インベストメント・バンクは除外するとしても、投資信託や退職者年金基金の最終的な受益者は個人です。しかし、これらはファンドの運営に関して収益以外で関心を持つことは多くありませんが、ファンドの短期的な収益よりも長期的な成長性に関心を持ちます。これは、投資信託の受益者である個人のリスク許容度が高いことを意味するわけではありません。単にファンドが投資先に関心がないだけです。同じように、個人投資家が株式に対して一般的にリスク許容度が低いわけではありませんし、リスク許容度の低さが短期売買を活発化させているとは限りません。実際に、株式を積極的に売買している個人が、売買の対象としている会社が何をやっているのか知らない人も多いでしょう
#私も、事業報告書が来るまで中外鉱業が何をやっている会社か知りませんでした
Google上場の最大の問題点は、個人投資家であれ機関投資家であれ一般の投資家が上場によって得られるディスクローズを受けることができず、優先株であるから権利行使にも制限が出てくるところです。これは、言ってみれば株式というよりも、むしろ「元本を返済する必要のない劣後社債」に非常に近いと言えるでしょう。ここまでやるのなら、なぜ上場せず投資家に対して直接販売する方式にしなかったのかのでしょう
#かつて米国のエネルギー市場を独占したエジソン・グループの持株会社だったインサル・グループが直接売買方式を取りましたが、後に経営破綻し大規模な証券詐欺事件に発展しました
穿った見方をすれば、個人投資家による上場相場を形成し、インサイダーが株式を売り抜ける環境を無理やり作っているのではないかと言いたくもなります。実際、先のストーリーでは一部のインサイダーに対して法令違反の株式やワラントの供与が行われていたのは事実ですから、長期保有を目的とする投資家にしてみれば不確実性が高くあまり長期に保有したくない銘柄になってしまう可能性が高いと思います
Re:Googleの戦略は投資家をバカにしている (スコア:2, 興味深い)
基金系はともかく、投信については投資対象によりけりなのでは? 日本の例ですが、例えば ETF は個人がインデックス売買のつもりで短期に仕掛けるという手口もあります。加えて、投資先が株式のみで(債券や不動産に比べれば)価格変動が激しく、長期的成長なんていっている余裕はないと思うんですが。そういう投信もあるので、投信を十把ひとからげにするのは問題なのでは。少なくとも、株式の比重が大きい投信は区別して考えた方がよいでしょう。
どうなんですかね... 大手証券に口座を持っている投資家だと、そこそこリスクに耐えられる(or 耐えざるを得ない)ということなんでしょうか? あるいは、証券会社の自己売買部門などと違って仕掛けや手仕舞いのタイミングをきっちり決めていないということもあるかも知れません。ただし、そういう姿勢で投資していると、特に長期に持ち合った場合は大怪我の元になるというのは間違いないでしょう。個人にもいろいろいますが、気づく人は気づいて、安全なうちに手仕舞うことを覚えていくのでは?
短期売買活発化について、リスク以外の要因としてはネット証券の手軽さもあるでしょうね。昨年の数字ですが、ネット証券では3兆円分のストックが年80兆円のフローを生み出している [yomiuri.co.jp]そうです。対面売買では、30兆円ストックがあっても年40兆円ぐらいしかフローが出ない。似たようなところで、大手証券で投資していた人がネット証券に口座を作って株式を移管したら売買頻度が増えたなんて話もあります。松井さんの受け売りのような気もしますが、現場での売買を直に見ている人なのでそんなに変な話ではないと私は見ています。
時に、アメリカの知人から昨年聞いた話なんですが、向こうでは信用取引によって取引が過熱化した結果、多くの個人投資家がかなりの損を出したという事件があったそうです。その結果、現在では韓国や日本などとは逆に、株式投資に参加するための資金ハードルが高くなってしまったそうですが、本当なのでしょうか? 特定少人数が金を巻き上げようとして事件を起こしたとかいうのならともかく、明らかに下落トレンドにあるにもかかわらず損切りをしなかった結果だとしたら、(証券会社や取引所が規制を強化することにより)投資家本人以外がその責任を追うのは俄に理解し難いのですが。
Re:Googleの戦略は投資家をバカにしている (スコア:1)
米国の投信は、主にファンド型投資信託と会社型投資信託の二つがあります。ETFは会社型投資信託ですが、日本のように指数連動型だけでなく、様々な投信が上場されています(アメリカン証券取引所など)
#会社型投資信託とは、ファンドそのものがSPC化されたものでSPCの株式が上場されて株式と同様に取引もののこと。ETFとほぼ同義
もちろん、投資信託を頻繁に取引する人もいます。オプションや先物と比べて元手が少なくて済みますし、損失もある程度限定できます。ただ、カバードやミニ・オプション(個人向けの上場型超小型オプション)の普及で、ETFで指数の売り仕掛けをやるのは不利だし、数的に言えば買い持ち派の方が多いでしょう
もうひとつ、米国の投資信託は株式や債券といった市場性商品だけでなく、不動産やローン債権のような流動性のないものや、それらを証券化したABSに投資するものも多いので、株式か否かというわけでもないですね
>短期売買活発化について、リスク以外の要因としてはネット証券の手軽さもあるでしょうね
これはどうでしょう? 日本と米国の場合はかなり事情が異なると思います。日本の場合は、長期金利の低下による個人資産の運用難の方が大きいと思います。ただ、短期売買がパフォーマンス的に良いかどうかは微妙に思いますが
米国の場合は、マージン口座の開設が容易であるという点があると思います。ディスカウント・ブローカーの競争が激しかった頃、2万ドル程度のデポジットで取引が開始できたし、オプション取引の場合でも自己資金は1000ドル程度で取引ができた頃がありました。その自己資金ですら、不動産価格の上昇に伴う住宅ローンの借り換えや、不動産担保ローン、FRBや銀行委員会の規制を受けない証券金融業者からの借り入れが大半であったようですから
ドットコムバブルの崩壊と、ディスカウントブローカーの収益性低下に伴い、マージン口座の敷居は高くなっていると思いますが
>仕掛けや手仕舞いのタイミングをきっちり決めていないということもあるかも知れません
これはどうでしょう? 漠然と将来的な価格上昇を期待する程度が大半ではないかと思います。そういう自分も、低位株や配当利回りの高い株式は、価格変動に関わらず漠然と保有したままにしてますけど