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植物工場に関しては素人なんですが。一応訂正と補足を。
波長が580nm前後という、もっともコストの安い「赤色LED」を使います。なんでもこの波長が植物の成長にはもっとも適しており
580nm?680nm じゃないですか?日本語のページでうまいところを発見できませんでしたが、たとえばここ [ualr.edu]の (b) Action spectrum に、各波長における光合成速度が示されています。これを見ると判るように、波長 420nm 付近と 680nm 付近に光合成速度のピークがあるのが判ります。グラフでは青色光の光合成速度の方が高くなっていますが、一般には赤色光の方が光合成には重要だとされています。ただし、青色光は光形態形成に重要なので、作物によっては必ず照射する必要があるかもしれません。とはいえ青色LEDはまだ高価なのでふんだんに使うわけにはいかないと思いますが。赤色LEDが安価でよく使用されるのはその通りでしょう。
あと、いくつか補足を。
上の方の投稿で少し触れられていますが、パルス照射によって照明にかかるコストを低減させることができます。光合成の反応には光が必要な部分と必要ない部分があります(明反応・暗反応という言葉を憶えている方もいらっしゃるでしょう)。充分な光が照射された後、ごく短時間ですが光を照射しても全く意味のない時間があります。ですので連続照射ではなくパルス照射を行うことによって電力を節減することが可能です。実際の実験結果ではパルス照射によって連続照射より収量も上がるようです。蛍光灯では正確に数百μsecの周期で間欠照射を行うことは難しいと思いますが、LEDではこれを容易に行えますね。
植物工場が有利な点として、ほかにCO2濃度を調節できる点があります。現生植物の多くにとって、実は現在の大気CO2濃度は最適ではありません。もうすこし高いCO2濃度の方が光合成速度が上がります(反応が飽和してしまうのであまり上げても意味がありませんが)。日本のような中緯度の地域であっても、初夏~夏の晴天時には主に光ではなくCO2が光合成の律速条件になっていると思います。
あと、光はとにかく強ければよいというものでもありません。当然ですが、温度とCO2濃度が一定ならば、これ以上光を強くしても光合成速度が変わらないという光量(光飽和点)が存在します。ですので太陽光との比較はそれほど意味がなく、その植物のその環境における光飽和点までの光量が出ればよいでしょう。
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ソースを見ろ -- ある4桁UID
昼間はファイバーで導光 (スコア:3, 参考になる)
昼間は凹面鏡で集光、ファイバーで導光したほうがいいんじゃないかなぁ。
まぁファイバーの製造にかかるエネルギーも考えなきゃならないけど。
屍体メモ [windy.cx]
光量の問題 (スコア:1)
LEDだけだと、イネ数十本育てるのに\1M~2Mかかるらしい。
そもそもこういう人工栽培はコスト的には全然ダメだし。
で、元記事を読むと
>発光ダイオード(LED)など
「など」って何ですか。「など」って。
しかも「キヤノン」になってるし。
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"I'd just be the catcher in the rye and all."
Re:光量の問題 (スコア:0)
> LEDだけだと、イネ数十本育てるのに\1M~2Mかかるらしい。
> そもそもこういう人工栽培はコスト的には全然ダメだし。
たしかに設置コストはゼロではありませんが、LEDの寿命は半永久的ですから、一度設置してしまえばかなり長期に渡って使用できます。
しかも、野菜の栽培に必要となるLEDは、波長が580nm前後という、もっともコストの安い「赤色LED」を使います。なんでもこの波長が植物の成長にはもっとも適しており、自然光で栽培した場合の4倍近い成長速度となるようです。さら
Re:光量の問題 (スコア:2, 参考になる)
植物工場に関しては素人なんですが。一応訂正と補足を。
580nm?680nm じゃないですか?日本語のページでうまいところを発見できませんでしたが、たとえばここ [ualr.edu]の (b) Action spectrum に、各波長における光合成速度が示されています。これを見ると判るように、波長 420nm 付近と 680nm 付近に光合成速度のピークがあるのが判ります。グラフでは青色光の光合成速度の方が高くなっていますが、一般には赤色光の方が光合成には重要だとされています。ただし、青色光は光形態形成に重要なので、作物によっては必ず照射する必要があるかもしれません。とはいえ青色LEDはまだ高価なのでふんだんに使うわけにはいかないと思いますが。赤色LEDが安価でよく使用されるのはその通りでしょう。
あと、いくつか補足を。
上の方の投稿で少し触れられていますが、パルス照射によって照明にかかるコストを低減させることができます。光合成の反応には光が必要な部分と必要ない部分があります(明反応・暗反応という言葉を憶えている方もいらっしゃるでしょう)。充分な光が照射された後、ごく短時間ですが光を照射しても全く意味のない時間があります。ですので連続照射ではなくパルス照射を行うことによって電力を節減することが可能です。実際の実験結果ではパルス照射によって連続照射より収量も上がるようです。蛍光灯では正確に数百μsecの周期で間欠照射を行うことは難しいと思いますが、LEDではこれを容易に行えますね。
植物工場が有利な点として、ほかにCO2濃度を調節できる点があります。現生植物の多くにとって、実は現在の大気CO2濃度は最適ではありません。もうすこし高いCO2濃度の方が光合成速度が上がります(反応が飽和してしまうのであまり上げても意味がありませんが)。日本のような中緯度の地域であっても、初夏~夏の晴天時には主に光ではなくCO2が光合成の律速条件になっていると思います。
あと、光はとにかく強ければよいというものでもありません。当然ですが、温度とCO2濃度が一定ならば、これ以上光を強くしても光合成速度が変わらないという光量(光飽和点)が存在します。ですので太陽光との比較はそれほど意味がなく、その植物のその環境における光飽和点までの光量が出ればよいでしょう。
CO2濃度の問題 (スコア:1)
この考えで行くとCO2を濃縮できるC4植物の方が、C3植物よりも成長がいいということになるけど、必ずしもそうでないのは、中緯度の地域でC3植物が多いことから分かるでしょう。
一般に、光合成は、短期間ではCO2濃度が高い方がいいわけですが、長期間では植物の光合成能が低下するので、CO2濃度が高くても、低い場合とそんなに変わりません。
トマトの施設園芸で、CO2施用したけど、最終的なトータルの収量はしない場合と変わらなかった、という話もあります。
それに、光合成が良ければそれで良いって簡単なものではありません。光合成で出来る炭水化物だけでは、植物は出来ません。窒素やリンなどの養分や水の吸収が十分でないといけません。
なので、「最大のポテンシャルを発揮できる環境」=「最適な環境」ではないことをお忘れなく。それに、あんまり成長が良すぎると、今度は、過繁茂(葉っぱが多すぎ)になり、光が律速条件になります。
もっとも、農業とは、生育環境をコントロールすることで、人間に都合が良いように植物の生育させることなので、CO2の施用や光の制御も否定されるものではありません。うまくコントロールすれば、収量や品質を高めることができます。