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アメリカを初めとした、畜肉・乳製品が食の大きな部分を占める先進諸国では、どうしても解決しなければいけない問題に、 リステア症の蔓延 [yokohama.jp]があり、切迫したこの問題を解決する容易な手段として、ファージの食品添加、が認められたのでは無いでしょうか。
リステア症は「しばしば集団発生し致死率が高く、近年増加傾向にあるにもかかわらず、その感染・発症機序に不明な点が未だに多く、原因菌の諸種殺菌法への耐性が高い」点で非常にやっかいな感染症の様です。
特に最後の耐性の高さ、ですが、「耐塩性」「耐酸性」「増殖温度の低
「認可の理由」を除いては、ほとんど同意見です。 取りあえず、論点を纏める為に、y_tambe様のコメントを要約させて頂きますと、
1に関して 同じ解釈です。 恐らく死ぬ(不活化する)と思います [srad.jp]でも述べさせて頂いてるのですが、 感染への治療・予防、と混同されているコメントが多く見られます。 ファージ殺菌法は、人体への体内移送と定着を目的にはしておりません。 目的は全く逆で、人体に入り込むことを防止しています。また、入り込んだとしても、細菌叢へ影響が及ばないような(意図的、非意図的な)設計になっています。
2に関して ヒトが摂取する食品への添加 が認められているのであれば、認可理由において、リステリア症の蔓延は確かに二の次でしょう。
これについては畑違いの誤解があるかもしれませんが、私の知る限り食品業界での抗生物質の使用は、
ぐらいは頭に浮かぶのですが、食品添加物としての使用例が浮かびません。 特にしばしば議論されるのが後者で、ヒトへの間接的な影響は勿論、経口摂取による直接的影響も関連します。(当然、実体としての大きな問題は間接的影響です)
抗生物質の畜産動物への食餌添加の問題そのものについての議論(ex;残留抗生物質,耐性伝播,zoonosis)は多岐に及ぶと想像され、議題を外れますので、周知のものとして進めさせて頂きます。
例えば鶏の食餌への抗生物質添加(とその問題)は、知ってますが、 鶏卵・鶏肉及びその加工品への、食品添加物としての抗生物質の使用、は寡聞にして知りません。
もし畜産動物への食餌添加の事を指摘されてるのであれば、私はやはりリステリア症への対処、が第一目的だと考えます。
これら抗生物質は、動物に直接投与されるものです。 対してファージ殺菌法は食品を対象としたものです。 食品に抗生物質が使われない以上、同殺菌法が抗生物質の代替として認可されたのでは無いことは明かです。
もしかすると、動物の食餌への添加に、ファージを代替するというご指摘かもしれません。ファージを用いても構わないとは思いますが、有用性の点では疑問です。 理由は、3でy_tambe様が纏めてくださった情報に依ります。 また、FDAを通した世論への抗生物質問題への解答の一つと考えても、あまりに回りくどすぎます。ファージ療法を持ってきた方がまだ納得できます。 いずれにしろイメージの悪いウィルスをわざわざFDAが認可する最初のケースにしては、説得力と必要性に欠ける理由だと思います。 最も重要視される問題は、リステリア症の感染と発症メカニズムがはっきりしていない、事だと思います。
3については補足情報ですし、特に異議はありません。 ただ4については、同一コメント文内でこれに触れてしまうと、1と矛盾する話に見られやすいと思います。議題から外れている、とも言えるのですが、ご自身でも「どこにぶら下げるか迷った」と書かれている通り、「纏める」べきか、「分ける」べきか悩む所だと思いますね。
私も、有意義な議論に発展しそうなコメントが散逸しているのが残念だなぁと思っています。 例えば
そして私自身、この元コメント自体を、食品は [srad.jp]にタイトルを変えて繋げるべきだった、と書き込んでしまってから気がつきました。これについては…ごめんなさい。
>理由は、3でy_tambe様が纏めてくださった情報に依ります。
これ、読み返してから自分で「なんのこっちゃ」と思いました。
頭の中では、ファージの性状について、特異性のデメリットまでを纏めたつもりだったのですが、「耐性菌の出来にくさ」の話しか引用してませんでした。この一文は出来れば「ファージについての詳細な解説がしてあるそのあたり」(うわぁてきとう)と読み替えてください。
うう、昼食をとります。ホントすいません…
食品に使う抗菌物質というと真っ先に思い浮かぶのは、私の場合亜硝酸なんですが、リステリア菌はこれにも高い耐性があるようです。嫌がらせか。
>グラム陰性だと効かない…やな縛りですね。
>O-157リスクを回避しつつ生の牛乳を飲みたい方には有益かと液体にスプレーするんですか!い、いや確かにintralytix社 [intralytix.com]のプレスリリースでもO-157対策に大腸菌をターゲットにするとは書いてますがっ!
# 完全に「牛乳」の定義から外れそうですね
ほとんど同じ事を書いている筈なのですが…
細菌学的性状についてはかなり研究が進んでいるため、コメントしてません。まぁ「発症メカニズムがはっきりしていない」と書いたのは、ちょっと範囲が広すぎたかもしれませんが、「はっきりしていない」点が複数重なってる為に、患者発生の段階で原因の特定が困難、と言うことです。「分かってしまったら簡単」なんですが。
>抗生物質の飼料への添加量を減らす代わりに、食肉へのファージ殺菌を行う これはやはり理由として「回りくどい」と思います。(畜産業界は特に納得しないでしょう。畜産動物の成育率を維持させ、かつ、抗生物質の使用を減らす事が納得出来る『回答』です。まだワクチンの方が近いでしょう。)
> これに加えて、近年は冷蔵保存および輸送技術の進歩によって、「飼料の抗生物質を減らしても、安定した低温保存で食中毒リスクを減らせる」という環境が整ってきたわけですが、ことリステリアに関しては、上で指摘されているように、低温保存があまり有効でなくて……ということになってしまってる、と。
正にここにおいて議論が収斂したと思います。全く同意見です。米国食品産物の主要な畜肉・乳製品において、有効だった保存技術のことごとくが1980年代から目立って、短期間で無効化され、かつ致死性が高い疾病の蔓延とあって、焦りの色も強くみえます。
日本国内では発症が孤発性のものに留まっており、あまり想像出来ませんが。
近年日本でもリステリア菌の検出法の開発が盛んで成果も上がってますが、実際に集団発生が起こったときに、即リステリア症と同定出来るかというと、これは非常に困難でしょう。
現在の日本では用いられることは無いと思われる、ファージ殺菌法ですが、集団発生が起こっている米国では「それでも食品を消費せざるを得ない」のが現状で、とりあえず、加工・出荷のステップ毎に使用できるファージ殺菌法は、選択の余地の無い助け船でしょう。
# 他の抜本的対策がとして「ソーセージやチーズなどのいわゆる保存食品を全廃する」というものはあります。なんせ、「保存技術の崩壊」の危機に晒されているわけですから。 # 勿論、非現実的な選択です。
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海軍に入るくらいなら海賊になった方がいい -- Steven Paul Jobs
FDAが認可した理由 (スコア:3, 参考になる)
アメリカを初めとした、畜肉・乳製品が食の大きな部分を占める先進諸国では、どうしても解決しなければいけない問題に、 リステア症の蔓延 [yokohama.jp]があり、切迫したこの問題を解決する容易な手段として、
ファージの食品添加、が認められたのでは無いでしょうか。
リステア症は「しばしば集団発生し致死率が高く、近年増加傾向にあるにもかかわらず、その感染・発症機序に不明な点が未だに多く、原因菌の諸種殺菌法への耐性が高い」
点で非常にやっかいな感染症の様です。
特に最後の耐性の高さ、ですが、「耐塩性」「耐酸性」「増殖温度の低
Re:FDAが認可した理由 (スコア:5, 参考になる)
話は実はもう少し単純というか、リステリア症の蔓延というのは、むしろ二番目くらいの理由ではないかと。確かに、リステリアは細胞内寄生菌なんで使える抗生物質が限られる方ではありますけど、発症時に治療は可能だし、細胞内浸透性の点ではファージの方が不利なんで。
今回のヤツのポイントは、実は「食品」に使うということです。背景には、食品に使われている抗生物質の使用量を減らせ、という社会的な要請、圧力があるわけでして、これが一番のポイントです。抗生物質の食品への濫用は、消費者の持つ食品の安全
Re:FDAが認可した理由 (スコア:1)
先ず最初に私はコメント中で「リステア」と連呼してますが、「リステリア」の誤りでした。申し訳ありません。
それと
めんどくさいので便宜上、タレコミ元にある、バクテリオファージの食品添加による殺菌、を「ファージ殺菌法」と呼称させて頂きます。(なんだか、ファージが死にそうですが…)「認可の理由」を除いては、ほとんど同意見です。
取りあえず、論点を纏める為に、y_tambe様のコメントを要約させて頂きますと、
1に関して
同じ解釈です。 恐らく死ぬ(不活化する)と思います [srad.jp]でも述べさせて頂いてるのですが、 感染への治療・予防、と混同されているコメントが多く見られます。 ファージ殺菌法は、人体への体内移送と定着を目的にはしておりません。 目的は全く逆で、人体に入り込むことを防止しています。また、入り込んだとしても、細菌叢へ影響が及ばないような(意図的、非意図的な)設計になっています。
2に関して
ヒトが摂取する食品への添加 が認められているのであれば、認可理由において、リステリア症の蔓延は確かに二の次でしょう。
これについては畑違いの誤解があるかもしれませんが、私の知る限り食品業界での抗生物質の使用は、
ぐらいは頭に浮かぶのですが、食品添加物としての使用例が浮かびません。
特にしばしば議論されるのが後者で、ヒトへの間接的な影響は勿論、経口摂取による直接的影響も関連します。(当然、実体としての大きな問題は間接的影響です)
抗生物質の畜産動物への食餌添加の問題そのものについての議論(ex;残留抗生物質,耐性伝播,zoonosis)は多岐に及ぶと想像され、議題を外れますので、周知のものとして進めさせて頂きます。
例えば鶏の食餌への抗生物質添加(とその問題)は、知ってますが、 鶏卵・鶏肉及びその加工品への、食品添加物としての抗生物質の使用、は寡聞にして知りません。
もし畜産動物への食餌添加の事を指摘されてるのであれば、私はやはりリステリア症への対処、が第一目的だと考えます。
これら抗生物質は、動物に直接投与されるものです。
対してファージ殺菌法は食品を対象としたものです。
食品に抗生物質が使われない以上、同殺菌法が抗生物質の代替として認可されたのでは無いことは明かです。
もしかすると、動物の食餌への添加に、ファージを代替するというご指摘かもしれません。ファージを用いても構わないとは思いますが、有用性の点では疑問です。
理由は、3でy_tambe様が纏めてくださった情報に依ります。
また、FDAを通した世論への抗生物質問題への解答の一つと考えても、あまりに回りくどすぎます。ファージ療法を持ってきた方がまだ納得できます。
いずれにしろイメージの悪いウィルスをわざわざFDAが認可する最初のケースにしては、説得力と必要性に欠ける理由だと思います。
最も重要視される問題は、リステリア症の感染と発症メカニズムがはっきりしていない、事だと思います。
FDAの認可理由に前者が大きく影響しているのは確かだと思います。表面殺菌法として、ファージ殺菌法は簡便性と安全性において、他の殺菌法に対して優れているからです。
3については補足情報ですし、特に異議はありません。
ただ4については、同一コメント文内でこれに触れてしまうと、1と矛盾する話に見られやすいと思います。議題から外れている、とも言えるのですが、ご自身でも「どこにぶら下げるか迷った」と書かれている通り、「纏める」べきか、「分ける」べきか悩む所だと思いますね。
私も、有意義な議論に発展しそうなコメントが散逸しているのが残念だなぁと思っています。
例えば
そして私自身、この元コメント自体を、食品は [srad.jp]にタイトルを変えて繋げるべきだった、と書き込んでしまってから気がつきました。これについては…ごめんなさい。
訂正 (スコア:1)
>理由は、3でy_tambe様が纏めてくださった情報に依ります。
これ、読み返してから自分で「なんのこっちゃ」と思いました。
頭の中では、ファージの性状について、特異性のデメリットまでを纏めたつもりだったのですが、「耐性菌の出来にくさ」の話しか引用してませんでした。
この一文は出来れば「ファージについての詳細な解説がしてあるそのあたり」(うわぁてきとう)と読み替えてください。
うう、昼食をとります。ホントすいません…
抗生物質の代替え案? (スコア:1)
「その知性の灯りは周囲の闇を深くする」
Re:抗生物質の代替え案? (スコア:1)
抗生物質の最大の利点は、
「細菌感染症に罹患した人体に影響をほとんど及ぼさず、菌体のみを標的とする」
ですからね。
人体とは比較に成らない程、様々な殺菌法を施せる食品には全く適応外かと。
食品に使う抗菌物質というと真っ先に思い浮かぶのは、私の場合亜硝酸なんですが、リステリア菌はこれにも高い耐性があるようです。嫌がらせか。
>グラム陰性だと効かない
…やな縛りですね。
>O-157リスクを回避しつつ生の牛乳を飲みたい方には有益かと
液体にスプレーするんですか!い、いや確かにintralytix社 [intralytix.com]のプレスリリースでもO-157対策に大腸菌をターゲットにするとは書いてますがっ!
# 完全に「牛乳」の定義から外れそうですね
Re:抗生物質の代替え案? (スコア:1)
リステリアは細菌学的生態にしても、発病メカニズムにしても「まだはっきり判ってない」ってこともないよなあ、というのが実感でして、というか、むしろ細胞内寄生菌の中では、もっとも解明が進んでいるものの一つですね。特に病原因子の遺伝子解析などは進んでる方です。細胞内でのアクチンロケットを利用した運動とかが有名です。日和見感染との関係についても、近年のトピックの一つであるオートファジーなどの細胞内殺菌機構との関連から進みつつあります。
むしろ判ってないのは、もう少し疫学的な部分でしょうね。リステリア食中毒の元になった菌がどこから由来するのかという部分で、本当に家畜由来なのか、環境中やヒト常在のリステリアの関与がどの程度のリスクのものなのか、という点です。ただし、ウシなどの反芻動物が最大の感染源であるということは恐らく間違いないことなので、そこの感染管理をどうするか、というのがポイントの一つになります。また、FDA絡みだと、食品の残留抗生物質の監視が強化されてきてるわけですが、以前の「監視が甘かった」時期と比べると、こと「感染リスクだけに着目すれば」リスクが上がっている、という指摘もあるわけです(もちろん、だからといって、飼料への抗生物質増量を支持しているわけではありませんけど)
これに加えて、近年は冷蔵保存および輸送技術の進歩によって、「飼料の抗生物質を減らしても、安定した低温保存で食中毒リスクを減らせる」という環境が整ってきたわけですが、ことリステリアに関しては、上で指摘されているように、低温保存があまり有効でなくて……ということになってしまってる、と。
FDAが認可した理由 (スコア:1)
ほとんど同じ事を書いている筈なのですが…
細菌学的性状についてはかなり研究が進んでいるため、コメントしてません。
まぁ「発症メカニズムがはっきりしていない」と書いたのは、ちょっと範囲が広すぎたかもしれませんが、
「はっきりしていない」点が複数重なってる為に、患者発生の段階で原因の特定が困難、と言うことです。
「分かってしまったら簡単」なんですが。
>抗生物質の飼料への添加量を減らす代わりに、食肉へのファージ殺菌を行う
これはやはり理由として「回りくどい」と思います。(畜産業界は特に納得しないでしょう。畜産動物の成育率を維持させ、かつ、抗生物質の使用を減らす事が納得出来る『回答』です。まだワクチンの方が近いでしょう。)
> これに加えて、近年は冷蔵保存および輸送技術の進歩によって、「飼料の抗生物質を減らしても、安定した低温保存で食中毒リスクを減らせる」という環境が整ってきたわけですが、ことリステリアに関しては、上で指摘されているように、低温保存があまり有効でなくて……ということになってしまってる、と。
正にここにおいて議論が収斂したと思います。全く同意見です。
米国食品産物の主要な畜肉・乳製品において、有効だった保存技術のことごとくが1980年代から目立って、短期間で無効化され、かつ致死性が高い疾病の蔓延とあって、焦りの色も強くみえます。
日本国内では発症が孤発性のものに留まっており、あまり想像出来ませんが。
近年日本でもリステリア菌の検出法の開発が盛んで成果も上がってますが、実際に集団発生が起こったときに、即リステリア症と同定出来るかというと、これは非常に困難でしょう。
現在の日本では用いられることは無いと思われる、ファージ殺菌法ですが、集団発生が起こっている米国では「それでも食品を消費せざるを得ない」のが現状で、とりあえず、加工・出荷のステップ毎に使用できるファージ殺菌法は、選択の余地の無い助け船でしょう。
# 他の抜本的対策がとして「ソーセージやチーズなどのいわゆる保存食品を全廃する」というものはあります。なんせ、「保存技術の崩壊」の危機に晒されているわけですから。
# 勿論、非現実的な選択です。