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海軍に入るくらいなら海賊になった方がいい -- Steven Paul Jobs
≠(狭義の)抗生物質 (スコア:0)
Re: (スコア:0)
抗生・物質? それとも 抗・生物質?
# 抗・(生物-質)か
抗・生物質 のような気もするんだけど、抗生剤って言葉もあるんだよね
おしえてえらい人、気になって胃が痛いです。
# 胃薬もちゃんと貰ったけど
Re: (スコア:5, 興味深い)
抗-生物-質 か
抗-生物-物質
なのではないかと思う
ちなみにワニが産生するモノを抗生物質というのはちょっとアレだし
HIVを無効化するモノを抗生物質というのはかなりアレだとおもう
Re: (スコア:0)
抗生物質は細菌感染症の薬でウイルス感染症に使うのは抗ウイルス薬
という区別はあるけれど、本来的な意味としてはantibioticが抗ウイルス薬を含まないわけでないので
HIVに作用するのをそう呼ぶのがアレって事はないなぁ。
ましてantibioticってのは作用が感染性生物(ここでウイルスを、って話が再燃)への拮抗である薬品
であるという機能由来のネーミングなので、別に由来がワニであるかカビであるかという事なんか問題にしておらず、
>ちなみにワニが産生するモノを抗生物質というのはちょっとアレだし
ってのは全くもって意味不明。
Re: (スコア:4, 参考になる)
彼らは「医療の専門家」だけど、必ずしも全員が「医学の専門家」というわけではないし、ましてや基礎医学、特に微生物学や感染症学の専門家というわけではないので、彼らの使ってる用語の方が、そういう専門的な観点から見ると歪んでるケースってのは意外にあります。
だから、キノロン系とかサルファ剤とかまで「抗生物質」と呼んじゃう医療スタッフも多いわけでして。
まぁ「言葉は生もの」なので、現場でそういう使われ方をしてるってこと自体は仕方ないし、それを指摘する
Re:≠(狭義の)抗生物質 (スコア:4, 参考になる)
感染症の治療薬全般については、「(感染症の)化学療法薬」と呼ぶのが、もっとも外れがない呼び方です。ただし「化学療法薬」については、癌の化学療法に用いる薬(癌の化学療法薬)もありますので、注意は必要。そこで「抗感染症薬」なんて呼称もないこともないんだけど…あんまり使われてないなぁ、というところ。
個別の分類について言うと、一般的な細菌に対して有効な薬剤は「抗細菌性化学療法薬」が、もっとも外れがなく無難です。が、長いので「抗細菌薬」という呼び方も一般的です。ほとんどの「抗生物質(=微生物由来、もしくはそれに類縁の化学療法薬)」は抗細菌性なので、「抗生物質=抗細菌薬」という認識が広まってますが例外があるので適切とは言い切れません。ただしくは、抗細菌薬の中で微生物に由来するものなら「(抗細菌性)抗生物質」と呼べますが、キノロン系(ナリジクス酸とかいわゆるニューキノロン系)など、化学合成によって開発されたものは「抗細菌性化学療法薬」であっても、抗生物質ではありません。
また細菌の中でも、適用となる薬剤が限られている微生物については、「抗結核薬」「抗MRSA薬」などのように、個々の菌名を関した呼び名も認められます。
カンジダ・アルビカンスなど真菌による感染症に対する治療薬は「抗真菌性化学療法薬」がもっとも適切です(が、一般には「抗真菌薬」)。この中には、他の微生物に由来するものも含まれており、それらは「抗真菌性抗生物質」と呼べます。ただし、化学合成で開発されたものもあり、それは抗生物質とは呼べません。
ウイルス感染症に対する治療薬は「抗ウイルス性化学療法薬」ですが、これは「抗ウイルス薬」という呼び名が、他のものに比べるとかなり一般化していると言っていいでしょう(恐らく将来的には、抗細菌薬や抗真菌薬などの呼称も追随して普及していくかと予想してますが)。しばしば誤解されますが、これまで開発されている抗ウイルス薬の中に、微生物由来のものは存在しません(そもそも宿主特異性が高くて、ヒトにしか感染しないウイルスと、微生物が直接生存競争をするような場面ってのがほとんどないし)。現存の抗ウイルス薬は、核酸アナログとして、あるいは植物成分やそれをスタート化合物とした合成化合物などから、大規模なスクリーニングによって発見されたものがほとんどです。従って「抗ウイルス性抗生物質」は現存せず、現状でこれらを「抗生物質」と呼んでいる場合、それは(専門的には)間違いです。
この他、マラリアやアメーバ赤痢など、原生生物(原虫)による感染症に対する治療薬は「抗原虫(原生生物)性化学療法薬」で、「抗原虫薬」という呼び名も用いられます。が、中でもマラリアに対する治療薬が多く開発され、興味を持たれていることから「抗マラリア薬」というカテゴライズも頻用されてます。
Re:≠(狭義の)抗生物質 (スコア:4, 参考になる)
とまぁ、これだけでも何なので。
そもそもantibioticって言葉は、ワクスマンが「微生物が産生する、微生物の増殖を阻害する化合物」を指すものとして定義したものですので、原義通りに解釈(=狭義の解釈)すれば、微生物が産生するかどうか、というポイントで呼び方が変えられます。ここらへんは、例えば日本の細菌学分野の代表的な権威書である「戸田新細菌学」(南山堂)なんかでも、「マクロライド系抗生物質」「キノロン系合成化学療法薬」みたいに、かなり厳密に書き分けられてたりする。
で、今回のワニ血中のタンパク質をはじめ、ヒトインターフェロンとか、さまざまな抗菌性物質を「抗生物質」と呼ばないという理由は、もちろん微生物由来でないから、というのでおしまいなんだけど、実はもう一つ隠れたポイントというか、思いっきり個人的な感覚なんだけど、違和感を生じる部分もあったりします。
それは、その物質がいわゆる「二次代謝産物」かどうか、ということ。微生物由来の抗生物質というのはしばしば化学的に見ても面白い、独特な化学構造を持ったものが多いという特徴があります。そういった独特の化学構造を持つ物質を作るための、独自の生合成経路を獲得したものが作り出している、という特徴があります。中には、一次代謝産物であるタンパク質と同じような、ポリペプチド系の抗生物質(ポリミキシンとかバシトラシンとか)もあるけど、この場合でも通常の直鎖状のタンパク質ではなく、環状ポリペプチドになっているなど、「通常のものとは異なる」化学構造を持っているケースが多いです。仮に、微生物が作った抗菌性の物質であったとしても、通常のタンパク質やペプチドであったら、それは「抗菌タンパク質」や「抗菌ペプチド」と呼ぶ方が、感覚的にはしっくりくる部分があります。「抗生物質」という名称は、そうではない、独特の生合成経路産物のイメージを持っている、というか。