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ローレンツの発表に先立つ1961年に電気回路のシミュレーションにおいてカオス現象を発見して
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海軍に入るくらいなら海賊になった方がいい -- Steven Paul Jobs
カオスの発見を逃した人 (スコア:5, 参考になる)
その頃シミュレーションをやってた人にとって、初期状態の微細な変化が大きな計算結果の違いを生むことは、けっこう知られていたようで、先日、お会いしたある先生もそのようなことをおっしゃっていました。
ただ、シミュレーションをやってない人にとっての物理法則は、厳密に決定論的なものであり、「カオス」のようなことをしゃべると反発され、相手にされないというような状況があったらしいです。
カオス理論が脚光をあびるのは、もう少し後の 1980年代後半くらいからだったでしょうか。その頃にはシミュレーション=決定論ではないことが、経験的にも知られるようになったということですね。
気象予報に使われているシミュレーションでも、初期値である観測値に誤差が入ることは逃れられないので、初期値にゆらぎを加えて何回か計算し、その結果の平均・偏差を利用するようにしているとか。
Re:カオスの発見を逃した人 (スコア:3, すばらしい洞察)
>「カオス」のようなことをしゃべると反発され、相手にされないというような状況があったらしいです。
カオスの面白いところは、厳密に決定論的なダイナミクス(=物理法則)から確率的に振る舞っているとしか思えないような性質が現れることです(だからコンピューターの乱数生成に使われたりする)。当時の知的水準では、シミュレーションに現れるカオティックな現象なんて「シミュレーターにノイズが載ってるせいだろう」ぐらいにしか思われていなくて、それが決定論的なダイナミクスの持つ本質的な性質なのだと理解されることはなかったということであるように思えます。
ただ、そこで、「その頃シミュレーションをやってた人」の中で、「俺のシミュレーションは完璧だ。だからこれはノイズの効果なんかじゃ絶対ない。決定論的なダイナミクスとして理解できないとすれば、それはおまえら理論家の頭が遅れてるからだ!」と強弁できる先見的な人が現れていれば、いまごろ世界的な学者になれていたのでしょう。ただ、そこまで言い切る自信が「シミュレーションをやってた人」側にも実はなかったということではないでしょうか。
「初期状態の微細な変化が大きな計算結果の違いを生むこと」なんて、実際にはパチンコ屋に入り浸ってるダメ親父だって知ってるありふれた話なのです。では、パチンコ屋の親父と世界のローレンツを分けてしまったものは何かと言えば、当り前の中に新しさを見つけることができた先駆的素養の差ということができるでしょう。科学の重要な発見の多くは、実は目の前にぶら下がっているのではないでしょうか。目の前にぶら下がっているのに、多くの学者にはそれが全く見えないのです。気づくことができた人が一流であるということなのですが、そこに至るまでにはやはり多くの努力が必要だったはずで、それはやはり称賛に値するものだと思います。
Re:カオスの発見を逃した人 (スコア:1)
人と違うことを言う勇気が、日本人に欠けてる。あるいは、日本ではやりにくい。
誰だか日本人ノーベル賞受賞者が「日本では科学が出来ない」と言ってたから、海外に出た日本人にはできるかも。
the.ACount