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> 彼は 14 歳の時に小型核融合炉を作ったことでも知られているのだが
こっちのほうが驚きなんだけど。核融合って、(水爆以外で)実現した例ってあったっけ?
>核融合って、(水爆以外で)実現した例ってあったっけ?
いっぱいありますよ.
まずここで言ってる核融合.これは単純に粒子加速器,それも構造的には非常に簡単な電場加速式のものです.大ざっぱに言えば,真空チャンバー内に電極を入れ,高電圧をかけ,希薄な水素などのガスを導入するとそいつがイオン化,電場で加速されて対極に激突します.1eVのエネルギーは温度で言えばおおよそ1万度に相当するので,10kV程度で加速すれば1億度ぐらいに相当するエネルギーで激突し,極板上の原子(もしくは同じように対極に殺到してきたイオンとか,その辺を漂ってる原子)と時々核融合を起こします.念のためにもうちょっと高い数十kV程度の電圧で加速すれば確実.この手の電場加速による核融合は非常に簡単に実現できるので,ホームメイドの装置は沢山あります.(ただし,核融合の起こる数自体は非常に少ない)慣性静電閉じ込め核融合装置などとも呼ばれ,かなり昔にはエネルギー源に出来ないか?という研究もありましたが,あまりにも効率が悪く断念.そのかわり,前述の通り非常に簡単な装置で核融合を起こせることから,簡便で移動できるようなお手軽中性子源(核融合反応に伴う中性子の放出を利用)としての利用が検討(一部利用もあったかも)されています.今回の話はこの「お手軽中性子源としての利用」ですね.
他にも,トカマクやらヘリカル式のプラズマ核融合装置でも核融合反応自体は起こっています.発生したエネルギーで持続的核融合が起こるレベルには達していませんが,核融合自体は起こります.
また,レーザー核融合も核融合反応自体は起こせます.似た方式で,Zピンチという手法を用いた強力なX線源で同じ事をやる核融合方式もあります.
大田区の町工場で、D+T核融合反応による中性子発生装置なんてのを作ってる会社 [nifty.com]がありますね。
応用分野 石油探査、地雷探知、麻薬探知、医療、原子炉の点火装置
だそうです。
今回は「携帯できる」ようにしたらしいのですがどうやって加速器を小型化したのか気になりますね。
電極間を狭くすれば必要な電圧も低くできそうですが加速器というか放電器という感じだな。
グロー放電により発生した重水素イオンをマグネトロンで加速させるhttp://www.iae.kyoto-u.ac.jp/ksoshiki/senshin.html [kyoto-u.ac.jp]のが小型化に向いているようです。
でもこういうのは中性子発生装置とか核融合応用機器というのであって核融合炉とは普通言わないような。
>加速器を小型化したのか気になりますね。
加速器といっても非常に単純なものですので、元々たいして大きなものではありません。単に、真空に出来る容器と、高電圧源(持ち運びできる程度で100kVぐらいの電源はいっぱい売っている)があれば良いだけです。一般の人がイメージする「加速器」に比べると加速エネルギーが段違いに低いんですよ。例えば放射光利用目的のストレージリングだとKEKのPFが1GeVオーダー、かなり強いSpring-8が8GeV、粒子衝突実験用の例えばLHCで7TeVという加速電圧なのに対し、単に核融合が起きれば良いなら100keVから1MeVもあればよいので。
>電極間を狭くすれば必要な電圧も低くできそうですが
最終的な到達速度(最低限、核間反発に勝つ程度の速度)は印可電圧に依存しますので、極板間を狭くしても必要な電圧は下がりません。
母「あんたって子は!またブレーカ飛ばして」14歳「ごめんよ母ちゃん、あの子が逃げないように必死だったんだよ」
というやりとりがあったに違いない。
実際の所、簡単な物なら中学生の小遣いでなんとかなるレベルなの?
>実際の所、簡単な物なら中学生の小遣いでなんとかなるレベルなの?
どれだけ電圧が必要かはちょっとやってみないとわからんけど、30kV程度で済むなら電圧源はブラウン管の高電圧部分が使えるかも。その場合は電源は非常に安い。コッククロフト・ウォルトン回路などを自分で組むという手もあって、こちらも結構安くて数十kVぐらいなら行くと思う。電源を買うと数十万円以上は覚悟した方が良いから、買ってくるのは難しいか。
真空チャンバーは、んー、サイズがあまり大きくなくて単に内部電極への電圧印可とガス導入だけ出来ればいいのであれば、10-20万ぐらいあれば出来るかなあ。自分で溶接できる人間なら適当な部材を溶接して作れるけど(溶接できる中学生も、まあそれなりには居る)。
真空ポンプは、ロータリーの中古で良ければ数万、新品でも10万円程度からで手に入る。ターボ入れると高いけど、ディフュージョンならプラス数万から10万ぐらいかなあ。
電源:自作(数万円以下)チャンバー:自作(数万円以下)ポンプ:購入(10-20万円)もしくは知人にもらうor借りる(タダ)
ぐらいなら可能かも。
核融合炉の実現事例ならいくらでもありますが。未実現なのは、核融合を用いてエネルギーを回収する&商業レベルにスケール可能な核融合炉です。
たとえばこんな事例 [srad.jp]が。エネルギー回収には役立たなくても、中性子発生源としては十分役立ちます。
核融合炉というか、加速器みたいなものでした。
真空中の重水素に電圧をかけ、衝突させるというものです。
頻度は少ないですが、衝突時に核融合が発生し、ヘリウムが生成されます。
そんなものを核融合「炉」と言うんか?
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「毎々お世話になっております。仕様書を頂きたく。」「拝承」 -- ある会社の日常
小型核融合炉 (スコア:0)
> 彼は 14 歳の時に小型核融合炉を作ったことでも知られているのだが
こっちのほうが驚きなんだけど。
核融合って、(水爆以外で)実現した例ってあったっけ?
Re:小型核融合炉 (スコア:5, 参考になる)
>核融合って、(水爆以外で)実現した例ってあったっけ?
いっぱいありますよ.
まずここで言ってる核融合.これは単純に粒子加速器,それも構造的には非常に簡単な電場加速式のものです.
大ざっぱに言えば,真空チャンバー内に電極を入れ,高電圧をかけ,希薄な水素などのガスを導入するとそいつがイオン化,電場で加速されて対極に激突します.
1eVのエネルギーは温度で言えばおおよそ1万度に相当するので,10kV程度で加速すれば1億度ぐらいに相当するエネルギーで激突し,極板上の原子(もしくは同じように対極に殺到してきたイオンとか,その辺を漂ってる原子)と時々核融合を起こします.念のためにもうちょっと高い数十kV程度の電圧で加速すれば確実.この手の電場加速による核融合は非常に簡単に実現できるので,ホームメイドの装置は沢山あります.
(ただし,核融合の起こる数自体は非常に少ない)
慣性静電閉じ込め核融合装置などとも呼ばれ,かなり昔にはエネルギー源に出来ないか?という研究もありましたが,あまりにも効率が悪く断念.そのかわり,前述の通り非常に簡単な装置で核融合を起こせることから,簡便で移動できるようなお手軽中性子源(核融合反応に伴う中性子の放出を利用)としての利用が検討(一部利用もあったかも)されています.今回の話はこの「お手軽中性子源としての利用」ですね.
他にも,トカマクやらヘリカル式のプラズマ核融合装置でも核融合反応自体は起こっています.発生したエネルギーで持続的核融合が起こるレベルには達していませんが,核融合自体は起こります.
また,レーザー核融合も核融合反応自体は起こせます.似た方式で,Zピンチという手法を用いた強力なX線源で同じ事をやる核融合方式もあります.
Re:小型核融合炉 (スコア:1, 参考になる)
大田区の町工場で、D+T核融合反応による中性子発生装置なんてのを作ってる会社 [nifty.com]がありますね。
応用分野 石油探査、地雷探知、麻薬探知、医療、原子炉の点火装置
だそうです。
Re: (スコア:0)
今回は「携帯できる」ようにしたらしいのですが
どうやって加速器を小型化したのか気になりますね。
電極間を狭くすれば必要な電圧も低くできそうですが
加速器というか放電器という感じだな。
Re:小型核融合炉 (スコア:1, 参考になる)
グロー放電により発生した重水素イオンをマグネトロンで加速させる
http://www.iae.kyoto-u.ac.jp/ksoshiki/senshin.html [kyoto-u.ac.jp]
のが小型化に向いているようです。
でもこういうのは中性子発生装置とか核融合応用機器というのであって
核融合炉とは普通言わないような。
Re:小型核融合炉 (スコア:1, 参考になる)
>加速器を小型化したのか気になりますね。
加速器といっても非常に単純なものですので、元々たいして大きなものではありません。
単に、真空に出来る容器と、高電圧源(持ち運びできる程度で100kVぐらいの電源はいっぱい売っている)があれば良いだけです。
一般の人がイメージする「加速器」に比べると加速エネルギーが段違いに低いんですよ。例えば放射光利用目的のストレージリングだとKEKのPFが1GeVオーダー、かなり強いSpring-8が8GeV、粒子衝突実験用の例えばLHCで7TeVという加速電圧なのに対し、単に核融合が起きれば良いなら100keVから1MeVもあればよいので。
>電極間を狭くすれば必要な電圧も低くできそうですが
最終的な到達速度(最低限、核間反発に勝つ程度の速度)は印可電圧に依存しますので、極板間を狭くしても必要な電圧は下がりません。
トカマク型核融合炉 (スコア:0)
母「あんたって子は!またブレーカ飛ばして」
14歳「ごめんよ母ちゃん、あの子が逃げないように必死だったんだよ」
というやりとりがあったに違いない。
実際の所、簡単な物なら中学生の小遣いでなんとかなるレベルなの?
Re:トカマク型核融合炉 (スコア:2, 興味深い)
>実際の所、簡単な物なら中学生の小遣いでなんとかなるレベルなの?
どれだけ電圧が必要かはちょっとやってみないとわからんけど、30kV程度で済むなら電圧源はブラウン管の高電圧部分が使えるかも。その場合は電源は非常に安い。コッククロフト・ウォルトン回路などを自分で組むという手もあって、こちらも結構安くて数十kVぐらいなら行くと思う。
電源を買うと数十万円以上は覚悟した方が良いから、買ってくるのは難しいか。
真空チャンバーは、んー、サイズがあまり大きくなくて単に内部電極への電圧印可とガス導入だけ出来ればいいのであれば、10-20万ぐらいあれば出来るかなあ。自分で溶接できる人間なら適当な部材を溶接して作れるけど(溶接できる中学生も、まあそれなりには居る)。
真空ポンプは、ロータリーの中古で良ければ数万、新品でも10万円程度からで手に入る。ターボ入れると高いけど、ディフュージョンならプラス数万から10万ぐらいかなあ。
電源:自作(数万円以下)
チャンバー:自作(数万円以下)
ポンプ:購入(10-20万円)もしくは知人にもらうor借りる(タダ)
ぐらいなら可能かも。
Re:小型核融合炉 (スコア:3, 参考になる)
核融合炉の実現事例ならいくらでもありますが。未実現なのは、核融合を用いてエネルギーを回収する&商業レベルにスケール可能な核融合炉です。
たとえばこんな事例 [srad.jp]が。
エネルギー回収には役立たなくても、中性子発生源としては十分役立ちます。
Re:小型核融合炉 (スコア:1, 参考になる)
核融合炉というか、加速器みたいなものでした。
真空中の重水素に電圧をかけ、衝突させるというものです。
頻度は少ないですが、衝突時に核融合が発生し、ヘリウムが生成されます。
Re:小型核融合炉 (スコア:1)
そんなものを核融合「炉」と言うんか?
the.ACount