Newsweekでは「研究チームがマウスにエタノールを投与したところ」とあるけど、Natureでは「Here we describe the features and mutational landscape of DNA damage caused by acetaldehyde,」とあるから、試験管での結果だよね?紛らわしいな。
"More generally, this research provides a simple plausible explanation for the established epidemiological link between alcohol consumption and enhanced cancer risk."
マウスで実験? (スコア:0)
Newsweekでは「研究チームがマウスにエタノールを投与したところ」とあるけど、Natureでは「Here we describe the features and mutational landscape of DNA damage caused by acetaldehyde,」とあるから、試験管での結果だよね?紛らわしいな。
Re: (スコア:1)
論文の本文は読めなかったけど図は見ることができて、その中に組織っぽい顕微鏡写真があった。
Extended Data Figure 2 : A single dose of ethanol precipitates bone-marrow failure in Aldh2−/−Fancd2−/− mice. [nature.com]
ここに"A single dose of ethanol (5.8 g kg−1, injected intraperitoneally) leads to anaemia in Aldh2−/−Fancd2−/− mice "などとあるし、マウスまるごとじゃないかなあ。
ちなみに、newsweekもNatureも、スラドに書いてあるような「体内に摂取されたアルコールによって人間のDNAが傷付く」なんてことは書いてない・・・。
Re:マウスで実験? (スコア:4, 参考になる)
人工甘味料に発癌性があるとかコゲを食べてはいけないとかの実験と一緒で現実味がないです。エタノール5.8g/kgということは、体重60kgで350g、14%日本酒で2.5L(一升瓶1本半)、5%ビールで7L(ピッチャー4杯)です。これをお腹の中に一回だけ投与すると、癌が増えるといわれても意味がありません。
DNA修復酵素のFancd2が欠損したマウスで実験しているので、DNA損傷・変異が生じやすくなっています。ほとんどの人はDNA修復酵素は正常ですので、エタノールの分解産物であるアセトアルデヒドでDNA損傷が生じても修復されます。また、アセトアルデヒド分解酵素(ALDH2)が欠損したマウスでもあるのですが、欧米人はほとんどの人がALDH2は正常です。日本人にはALDH2が片方または両方不活化型の人が多いですが、そういう人はそもそも酒がほとんど飲めません。
Discussionの最後に取って付けたかのように、アルコール摂取と癌発症のリスクが相関するとは言っています。
"More generally, this research provides a simple plausible explanation for the established epidemiological link between alcohol consumption and enhanced cancer risk."
ここで引用している文献は、読めない日本国内雑誌の文献(4)と、飲酒と関係ない小児の血液腫瘍の論文(29)ですので、根拠が弱いです。むしろ、確実性の高い「食道癌と飲酒とALDH2の多型」の論文を引用するべきです。下記は日本国内雑誌のレビューですが、疫学的なデータがよくまとまっています。
Alcohol Drinking and Esophageal Cancer Risk: An Evaluation Based on a Systematic Review of Epidemiologic Evidence Among the Japanese Population [oup.com]
STAP細胞のように、Natureにたまにある話題先行論文のような気がします…。