原作は "The Lord of the Rings" で、直訳すると「指輪(複数)の支配者(王)」です。
ここで「指輪」とされてるのは、作中に出てくる1+3+5+9=18個の力の指輪を明確に指し示してます。
ところが、カタカナで「ロード・オブ・ザ・リング」とやられると、「ロード」の意味が不明で、
ちょっと勘違いすると「指輪の道」みたいな意味にもなりそうなんだよね。
大事な定冠詞を省いてるのと、指輪が単数形になってるおかげで、英語として元の意味をまったく失ってます。
なぜ素直に「指輪物語」にしなかったのか未だに疑問です。
ちゃんとトールキンの承認もらってるはずなのにな〜
LotRの翻訳については、トールキン自体が"Guide to the Names in The Lord of the Rings"という文章を書いて、どういう訳語を選んで欲しいかという事を指示しています。"A Tolkien Compass"という書籍に所収されていましたが、2003年の再販版ではトールキン財団の許可が下りず、収録されなかったという事です。なお、その後あらためて"Nomenclature of The Lord of the Rings"というタイトルになって、2005年に出た"The Lord of the Rings: A Reader's Companion"という書籍に収録されました。
ロード・オブ・ザ・リング (スコア:1)
Re: (スコア:4, 参考になる)
ところが、カタカナで「ロード・オブ・ザ・リング」とやられると、「ロード」の意味が不明で、 ちょっと勘違いすると「指輪の道」みたいな意味にもなりそうなんだよね。 大事な定冠詞を省いてるのと、指輪が単数形になってるおかげで、英語として元の意味をまったく失ってます。
なぜ素直に「指輪物語」にしなかったのか未だに疑問です。 ちゃんとトールキンの承認もらってるはずなのにな〜
Re:ロード・オブ・ザ・リング (スコア:0)
英語の元の意味云々は関係なくて、結局自分にとってすでに定着している(と思っている)名前を使わないことへの違和感なのかと。例えば私だったら、もし「星の王子さま」が映画化される時に「ル・プティ・プリンス」というタイトルだと許せない、という程度のことかと思います。
Re:ロード・オブ・ザ・リング (スコア:5, 参考になる)
まぁこの辺については、もちろん原書を読むのが良いわけですが、ざっと「どういう問題であるか」を知りたい場合、野良犬の塒「ロード・オブ・ザ・リング 字幕問題について [kyo-kan.net]」で解説がされています。
まぁ引用すると
>単純に言うと、小説の中で英語で書かれている部分はそれを可能な限り翻訳し、その他の言語は発音通りに記さなければならない、というものである。
という事です。「指輪物語」というタイトルは意訳ではありますが、この意図に沿っているのに対し、「ロード・オブ・ザ・リング」というタイトルはトールキンの意図に沿っていません。
もちろん、意図に沿っていないから単純に「駄目」ではないのですが、瀬田版の「指輪物語」は、読みにくさはともかくとして、トールキンの意図したものをきちんと伝えようとして、そしてそれには成功していた名訳であったと思うだけに、映画版のタイトルも中身も安易なカタカナ語の氾濫は、残念ではありますね。
Re:ロード・オブ・ザ・リング (スコア:1, すばらしい洞察)