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電位差というか, 電子なだれ [nifty.com]に加えてジグザグに走る稲妻の方向が変わるタイミングで放射されるみたいなので, 原理としてはSPring8 [spring8.or.jp]に代表される放射光に近いものらしいです.
一般向けの解説としては, 2年ほど前に「稲妻から出るX線を追え」 [nikkei-bookdirect.com]なんてものが出ています.
ところがそうでもないらしいです.
雑誌記事の受け売りなので理解が間違っているかもしれませんが, まず雷における空中放電は乾燥した環境でよくおこる空気絶縁破壊による火花放電とは異なる機構によって起こると考えられています. 空気絶縁破壊による放電は電界の強度が300万V/mぐらい(静電気による1万Vの電位差が3mmぐらいまで近づくとパチッとなるわけです)にならないと発生しないのですが, 観測気球や飛行機, ロケットによる測定では20万V/mを越す電界が発生することは極めてまれらしいです. すなわちここには1桁のずれが存在するわけです.
ここで考えられたのが逃走絶縁破壊という機構で, 電子が高速, すなわち光速の2%以上, エネルギにして104eV以上ぐらいになると空気分子との衝突による減速が小さくなり, 長距離の電位差で加速することが可能になるというものです. この空気中であっても電子が光速に近いレベルまで加速されるってのがミソで, 真空に保たれたチャンバの中でなければ加速できない通常の加速器と大きく異なるところです.
問題はこの閾値となるエネルギを持つ電子が雷に成長するまでの量だけ発生するか? ということです. 初期のモデルでは宇宙線や放射性同位体の崩壊に原因をもとめましたが, これでは量が不十分だったそうです. 次に提唱されたモデルは局所的に強力な電界が発生して電子が加速されるというものでしたが, これでは空気絶縁破壊よりもさらに1桁上の電界強度が必要なため, あまり見込みが無いと思われました. 最後に出てきたのが最初の宇宙線や放射性同位体からの高速電子を種に電子なだれを起こして十分な量の高速電子を発生させるというものです. これだと実際に観測された程度の電界でも発生するらしいです.
このあたりの発生機構はガンマ線やX線の強度を測定すると分かるとのことですが, 実際の結果を見ると, どうもありえないと考えられてきた局所的な強電界による加速という線も捨てきれなくなってきたってこともあるみたいです. あるいはレーザープラズマ加速 [www.kek.jp]みたいな局所加速が天然でも起こっていると考えると, 面白くなってきそうです.
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私はプログラマです。1040 formに私の職業としてそう書いています -- Ken Thompson
粒子加速器っていうけど (スコア:1)
Re:粒子加速器っていうけど (スコア:2, 興味深い)
電位差というか, 電子なだれ [nifty.com]に加えてジグザグに走る稲妻の方向が変わるタイミングで放射されるみたいなので, 原理としてはSPring8 [spring8.or.jp]に代表される放射光に近いものらしいです.
一般向けの解説としては, 2年ほど前に「稲妻から出るX線を追え」 [nikkei-bookdirect.com]なんてものが出ています.
Re:粒子加速器っていうけど (スコア:2, 参考になる)
電子雪崩は総数を増幅するメカニズムですので,加速のメカニズムとは分けて考えた方が
良いのではないかと.
>ジグザグに走る稲妻の方向が変わるタイミングで放射されるみたいなので
放射光は加速度がある時(=方向転換&加減速時)に出ますんで,ただ走っているだけでは
まあ出てきません.そして,加速時に(短波長の)光を出すためにはそれ以前に十分加速して
おかないといけないので,電位差による加速が重要です.
もとのコメントはタレこみの「自然の力だけで粒子を高エネルギーに加速できるとは」って
のに対応したものだと思いますので,それに対するコメントとしてはちょっと方向が
ずれてるかなあ,と思ってみたり.
Re:粒子加速器っていうけど (スコア:3, 興味深い)
ところがそうでもないらしいです.
雑誌記事の受け売りなので理解が間違っているかもしれませんが, まず雷における空中放電は乾燥した環境でよくおこる空気絶縁破壊による火花放電とは異なる機構によって起こると考えられています. 空気絶縁破壊による放電は電界の強度が300万V/mぐらい(静電気による1万Vの電位差が3mmぐらいまで近づくとパチッとなるわけです)にならないと発生しないのですが, 観測気球や飛行機, ロケットによる測定では20万V/mを越す電界が発生することは極めてまれらしいです. すなわちここには1桁のずれが存在するわけです.
ここで考えられたのが逃走絶縁破壊という機構で, 電子が高速, すなわち光速の2%以上, エネルギにして104eV以上ぐらいになると空気分子との衝突による減速が小さくなり, 長距離の電位差で加速することが可能になるというものです. この空気中であっても電子が光速に近いレベルまで加速されるってのがミソで, 真空に保たれたチャンバの中でなければ加速できない通常の加速器と大きく異なるところです.
問題はこの閾値となるエネルギを持つ電子が雷に成長するまでの量だけ発生するか? ということです. 初期のモデルでは宇宙線や放射性同位体の崩壊に原因をもとめましたが, これでは量が不十分だったそうです. 次に提唱されたモデルは局所的に強力な電界が発生して電子が加速されるというものでしたが, これでは空気絶縁破壊よりもさらに1桁上の電界強度が必要なため, あまり見込みが無いと思われました. 最後に出てきたのが最初の宇宙線や放射性同位体からの高速電子を種に電子なだれを起こして十分な量の高速電子を発生させるというものです. これだと実際に観測された程度の電界でも発生するらしいです.
このあたりの発生機構はガンマ線やX線の強度を測定すると分かるとのことですが, 実際の結果を見ると, どうもありえないと考えられてきた局所的な強電界による加速という線も捨てきれなくなってきたってこともあるみたいです. あるいはレーザープラズマ加速 [www.kek.jp]みたいな局所加速が天然でも起こっていると考えると, 面白くなってきそうです.
Re:粒子加速器っていうけど (スコア:1)
でもまさかこんなタイミングで発表しなくてはならなかったとか悩んだんだろうな?
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Re:粒子加速器っていうけど (スコア:4, 興味深い)
また正極性落雷の場合,負極性のものに比べて大きなエネルギーの落雷が多いことも知られています.
リンク先にも書いてあるようなスプライトなどを発生させるエネルギーの大きな正極性雷の発生にともなってガンマ線が生成されるとこは以前からいわれていて,いろいろな観測やシミュレーションが行われています.今回発表されたのは発生した方向をもとめているのが新しいところのなのでしょうかね?
Re:粒子加速器っていうけど (スコア:0)
Re:粒子加速器っていうけど (スコア:1)