鉄道でも台車や車軸のように、リダンダンシを持たせることができないsingle point of failureな場所と、それ以外を区別する発想は少しはあります。 ただ重量制限が航空機ほどきつくないので、何でもとにかく壊れないように頑丈に作るという発想なんですね。 必要性があまりなかったから、製造時とメンテナンスでうまく分担してコストと重量を最小化するという航空機の設計の考え方には到達しなかったわけです。 また、たいていの場合鉄道のコスト構造は人件費が大部分を占めていて、航空機ほど機材の減価償却費は大きくないということと関係しているのかもしれません。 それと、とりあえず
コスト (スコア:5, 参考になる)
航空機のコストの見積りは他の分野と違ってメンテナンスのコストを非常に重視します。
一般的に、航空機の故障は、「故障しても破壊に至るまでに捕捉できれば良い」という発想があります。
例えば、強度に関しては、単純な方法で(材料を増やして)強度をあげると直接燃費に影響するため、安全率を低く設定する、その変わりに保守の段階で検出できるように設計する。
というように、航
Re:コスト (スコア:1)
この表現はよくわからない。
「故障」というのは、フォールト・トレラントが確保されていることが前提の故障だろうか?
「破壊」と言うのは、割れたり欠けたりする程度でなく、完全に千切れたりしてラダーなどが機能を失うことを言っているのだろうか?
すると、何らかの機能不全が起きる前にちびちび壊れるようになっていて、その段階で修理、交換するとか、そういうことだろうか?
でもそんなうまい具合に壊れてくれるものだろうか?
新幹線の車軸などは蛍光探傷(全般検査時)、超音波探傷(交番検査時)、さらに定期的に交換と、かなりコストかけているように思える。1本折れても代替が効かないからかもしれないが。
ラダーは複数系統あれば代替が効くだろうけど、主翼支持など主要部分はそうもいかないだろうな。
Re:コスト (スコア:4, 興味深い)
ラダーを動かす油圧系統はリダンダンシが確保されていますが、ラダーそのものは1つしかありません。構造上、複数つけるのは難しい(双尾翼?)。
破壊というのは文字通りで、そのパーツは担当していた機能を果たせなくなる状態のことでしょうね。
原則として旅客機は、あなたのおっしゃるように「うまい具合に」壊れるように設計されています。早い段階で破損を検出し、修理・交換するわけです。重厚長大産業の現場に普及している3次元CADのCATIAは、元々航空業界で開発されたものです。
Re:コスト (スコア:3, 参考になる)
ただ重量制限が航空機ほどきつくないので、何でもとにかく壊れないように頑丈に作るという発想なんですね。
必要性があまりなかったから、製造時とメンテナンスでうまく分担してコストと重量を最小化するという航空機の設計の考え方には到達しなかったわけです。
また、たいていの場合鉄道のコスト構造は人件費が大部分を占めていて、航空機ほど機材の減価償却費は大きくないということと関係しているのかもしれません。
それと、とりあえず
Re:コスト (スコア:1)
ある程度の安全マージンを定量化して歯止めをかけないと危ない領域に突っ込みそうな気配さえ。
新幹線は、規制もあるだろうけど、ある意味「自制」しているかのような高値安定。
飛行機野郎のベンチャー気質と、安全確実を旨とする鉄道マンの違いだろうか?
Re:コスト (スコア:3, 参考になる)
ヒコーキは空気を運ぶよりは多少の金を取ってでも人を乗せた方がいいわけです。ここに航空業界の抱える、根本的なディスカウント合戦のインセンティブがあるのです。
とはいえ今時の料金でも黒字運行するために、航空会社はなかなか努力してますよ。目に見えるところでは、パイロットは3人から2人になったし、フライトアテンダントはずいぶん減らしたし、機内の飲食物もだいぶケチってます。目に見えないところでは、ヒコーキ自体が燃費が良くて故障の少ない、経済的な機体になりました。一つの便を複数の航空会社で集客することで(共同運航便)、搭乗率を向上させて不採算路線を整理することができました。先物市場に乗り込んで、燃料を確保することまでやってます。などなど。
旅客機の安全性の確保は、法律や各種規制で細かく定められています。旅客機ではつまらんコンデンサの一つを交換するときでも、製造メーカの指定部品しか使えません。
ま、それを遵守するかは航空会社の気質次第です。我が国の航空会社は高いレベルで遵守していますが、他ではそうでもないところもあります。