この方法はコストも安いので,全国の高校で実験をして,その結果を総合する,ということも可能になります. このニュースを見て私が最初に思い出したのは,人類学ではなく分類学や進化学の分野ですが,生物のミトコンドリアを 簡単な方法で配列解析するThe Barcode of Life [rockefeller.edu]です. これは手法的には単純すぎて批判もあるのですが,高校生の参加 [rockefeller.edu]があるなど,教育的には 大変有用だと思います.(あちらでは進化論も人口の半分しか信じてもらっていませんし)
研究として価値があるのか?? (スコア:3, すばらしい洞察)
なんで「東北」と「美濃」が同じ括りになるのか説明してください。範囲が10倍以上違うと思うんですが。
パーセンテージを出すのには関係ないかもしれませんが、「美濃」のサンプルが1617人で「首都圏」のサンプルが373人ってのも、研究者の適当さが透けて見えてイヤですね。
Re: (スコア:3, すばらしい洞察)
既に他のデータから、大まかな分布みたいなのは見当がついていたから、「飛騨・美濃」という境界線となる地点を選んだんだと思う。
その上で、全体的な分布の為に東北や九州等が選ばれる。
首都圏は、比較的最になって人が増えた為に全体的な分布とは違った傾向になるから選ばれたのだろう。
そんな感じに、それぞれの調査地域にはそれぞれ意味があると思う。
サンプル数は、その地域の重要性を意味してるはず。
こういうサンプルの取り方をしたのは、手抜きなのではなく、先に綿密な計画を立てた為だと思われます。
Re:研究として価値があるのか?? (スコア:5, 参考になる)
飛騨地方では縄文遺跡がいくつか知られており,美濃地方は古墳などの弥生文化に関する遺跡が知られています.(ググってみつけた例 [pref.gifu.jp])
今回の研究はまず方法の正当性を検証するために,既知の分布と今回の方法が一致するかをみるために行ったもので,
首都圏のデータは,元記事にあるように「日本人の平均的集団と考えられる」ための対照実験です.
つまり,今回人類学的に新しい発見があったというわけではありませんし,サンプル数についてはこれまで知られている
偏りとの比較ができる数があれば十分です.おそらく各地方100人でもよかったと思われます.
その結果今回提案されているような単純な方法(それこそ中高生の生物部でできるレベル)で,飛騨/美濃の境界や
沖縄地方の偏りのような,既知の縄文系/弥生系の差がみられたということが新しいトピックになります.
この方法はコストも安いので,全国の高校で実験をして,その結果を総合する,ということも可能になります.
このニュースを見て私が最初に思い出したのは,人類学ではなく分類学や進化学の分野ですが,生物のミトコンドリアを
簡単な方法で配列解析するThe Barcode of Life [rockefeller.edu]です.
これは手法的には単純すぎて批判もあるのですが,高校生の参加 [rockefeller.edu]があるなど,教育的には
大変有用だと思います.(あちらでは進化論も人口の半分しか信じてもらっていませんし)
とりあえず今回既知の結果との齟齬はなかったので,他に問題点があるかチェックを行い,大丈夫そうであれば
生物学と人類学の教育プロジェクトとして進めてもよいのではないかと思いました.
kaho
Re: (スコア:0)
もうやってる
高校だったか中学だったか忘れたけど
どこかの学校の科学部が全国の学校に呼びかけてるって話だったかな
ちょっと前のヴォイニッチの科学書ってポッドキャストだったかと思うけど、ちょうどミトコンドリアDNAの話が出たときに言ってた
(他の科学系ポッドキャストだったかもしれない)
Re:研究として価値があるのか?? (スコア:1)
長崎西高の話 [yomiuri.co.jp]ですか?
これは11番染色体の耳あかの乾型/湿型多型を判定するもので,分析は長崎大に依頼してやっており,資料提供側には何の知識も
技術も蓄積しないのが残念ですよね.
ミトコンドリアは核DNAと比べて単独のクローンですし,細胞あたりのDNA量も多いので実験も楽です.
常染色体は2本あるので面倒ですし,なにより組み替えが起きるので,はっきりした起源は分かりません.
サーマルサイクラーを高校で買えというのはなかなか難しいかもしれませんが,理工学系の学部のある大学であれば全国どこに
でもあるので,高校の教諭のつてで実験をすることも可能かと考えました.
kaho