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松浦氏の>H-IIAは、種子島からの静止軌道/地球低軌道打ち上げに、徹底的に最適化されたロケットで、ほとんど融通が利かない。
って指摘は「H-IIAは三段目がないので不経済だ」ってことですね。今は低軌道に乗った後で2段目のエンジンを再点火させて衛星を希望の軌道まで運んでいます。
でも、2段目って重いんです。ドンガラだけで3トンもあるんです。ほとんど空の馬鹿でかい燃料タンクと不必要に大出力の2段目エンジンでもって衛星を軌道まで届けるのは損が多い。
たとえば、H-IIAで打ち上げる予定の金星探査機PLANET-C [wikipedia.org]の重さは500kgですが、2段目で金星軌道まで運ぶわけであり、それはつまり3トンのドンガラが一緒に金星軌道まで飛んでくってことなんですな。
だからH-IIAはとりあえず低軌道とか静止軌道に衛星を打ち上げることはできるけど、もっと重い衛星を静止軌道に送ろうとか、月や惑星間に探査機を飛ばそうとか、そういう用途にはあんまり向いてないんです。惑星間探査機の打ち上げ能力でいえばH-IIAロケットはM-Vロケットとあんま変わらない能力しかもってないわけですし。
商用衛星のほぼすべてが静止衛星である以上、まずはそこへの最適化を目指すのが商用ロケットとして当然。融通が利く≒無駄がある、てことでもあるわけだから。そして惑星間軌道の場合、日々変わる目指す惑星と地球との位置関係、あるいは軌道の設計で投入できる質量と目的地への到達時間はビックリするくらい変わるから、M-Vで打ち上げられる予定であったPLANET-CがそのままH-IIA単機で打ち上げということになっても、それは直接に
惑星間探査機の打ち上げ能力でいえばH-IIAロケットはM-Vロケットとあんま変わらない
ということを意味しないのよね。たとえ3tのドンガラと一緒に加速させようようが何しようがH2A202は2.5tを地球重力脱出させられるわけだが、M-Vは地球低軌道にさえそんなペイロード運べないよね? むしろH-IIAの能力で驚くべきはその太陽同期軌道への能力の低さで、しかもその原因はH-IIAそのものにはない、点が問題っちゃあ問題。あるいはそんなにドンガラごと金星へ飛ばすのがイヤなら、衛星の推薬タンク増やしてそっちでヒドラジン推進系でもふかしたら?
>って指摘は「H-IIAは三段目がないので不経済だ」ってことですね。三段目なら、イオンエンジンを使う選択って無いんですかね~?出力が低いのが難点ですが、出力が高い(?)ものを開発する方法も考えられますし。1ヶ月くらいで静止軌道に持っていける推力を確保できればいけそうな気がします。
イオンエンジンは何桁も出力が小さいから向かないでしょう。素直に3段目を乗せるのが無難ですよ。実質衛星側が二段構造みたいなものになったとしても。
>イオンエンジンは何桁も出力が小さいから向かないでしょう。イオンエンジンは推力はめっちゃ小さいですが、比推力(燃料あたりの推力)はすばらしくよいのでけっこうイイアイデアなのでは?一段目や二段目では重力損失や空気抵抗に打ち勝てないからイオンエンジンは使えませんがほぼ真空中で衛星になったあとでの移動だったらけっこう筋がいい方法なのではないかと思います。
あ、でも電力が要るか…三段目に太陽電池パネルを展開させるというのはダサいかな。衛星の太陽電池を使えるといいんだけどそしたらそれはH-IIAの三段目ってよりは衛星+三段目っていう別の飛行システムになってしまいそれはそれで問題かなあ
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物事のやり方は一つではない -- Perlな人
「H-IIA改」とかになんのかね (スコア:4, 参考になる)
松浦氏の
>H-IIAは、種子島からの静止軌道/地球低軌道打ち上げに、徹底的に最適化されたロケットで、ほとんど融通が利かない。
って指摘は「H-IIAは三段目がないので不経済だ」ってことですね。
今は低軌道に乗った後で2段目のエンジンを再点火させて衛星を希望の軌道まで運んでいます。
でも、2段目って重いんです。ドンガラだけで3トンもあるんです。ほとんど空の馬鹿でかい燃料タンクと
不必要に大出力の2段目エンジンでもって衛星を軌道まで届けるのは損が多い。
たとえば、H-IIAで打ち上げる予定の金星探査機PLANET-C [wikipedia.org]の重さは500kgですが、
2段目で金星軌道まで運ぶわけであり、それはつまり3トンのドンガラが一緒に金星軌道まで飛んでくってことなんですな。
だからH-IIAはとりあえず低軌道とか静止軌道に衛星を打ち上げることはできるけど、もっと重い衛星を静止軌道に送ろうとか、
月や惑星間に探査機を飛ばそうとか、そういう用途にはあんまり向いてないんです。
惑星間探査機の打ち上げ能力でいえばH-IIAロケットはM-Vロケットとあんま変わらない能力しかもってないわけですし。
Re:「H-IIA改」とかになんのかね (スコア:5, すばらしい洞察)
商用衛星のほぼすべてが静止衛星である以上、まずはそこへの最適化を目指すのが商用ロケットとして当然。
融通が利く≒無駄がある、てことでもあるわけだから。そして惑星間軌道の場合、日々変わる目指す惑星と地球との位置関係、
あるいは軌道の設計で投入できる質量と目的地への到達時間はビックリするくらい変わるから、
M-Vで打ち上げられる予定であったPLANET-CがそのままH-IIA単機で打ち上げということになっても、それは直接に
ということを意味しないのよね。たとえ3tのドンガラと一緒に加速させようようが何しようがH2A202は2.5tを地球重力脱出させられるわけだが、
M-Vは地球低軌道にさえそんなペイロード運べないよね? むしろH-IIAの能力で驚くべきはその太陽同期軌道への能力の低さで、
しかもその原因はH-IIAそのものにはない、点が問題っちゃあ問題。
あるいはそんなにドンガラごと金星へ飛ばすのがイヤなら、衛星の推薬タンク増やしてそっちでヒドラジン推進系でもふかしたら?
Re: (スコア:0)
Re: (スコア:0)
>って指摘は「H-IIAは三段目がないので不経済だ」ってことですね。
三段目なら、イオンエンジンを使う選択って無いんですかね~?
出力が低いのが難点ですが、出力が高い(?)ものを開発する方法も考えられますし。
1ヶ月くらいで静止軌道に持っていける推力を確保できればいけそうな気がします。
Re: (スコア:0)
イオンエンジンは何桁も出力が小さいから向かないでしょう。
素直に3段目を乗せるのが無難ですよ。
実質衛星側が二段構造みたいなものになったとしても。
Re: (スコア:0)
>イオンエンジンは何桁も出力が小さいから向かないでしょう。
イオンエンジンは推力はめっちゃ小さいですが、比推力(燃料あたりの推力)はすばらしくよいのでけっこうイイアイデアなのでは?
一段目や二段目では重力損失や空気抵抗に打ち勝てないからイオンエンジンは使えませんが
ほぼ真空中で衛星になったあとでの移動だったらけっこう筋がいい方法なのではないかと思います。
あ、でも電力が要るか…三段目に太陽電池パネルを展開させるというのはダサいかな。
衛星の太陽電池を使えるといいんだけどそしたらそれはH-IIAの三段目ってよりは衛星+三段目っていう別の飛行システムになってしまい
それはそれで問題かなあ
Re: (スコア:0)