今回のケースですが、一応、原報もざっと見てみました。これは元々"Coping With Cancer Study"という多機関コホートプロジェクトの成果で、がんに関して主に心理的な面からのケアの効果の意味付けなどを目的とした調査のようです。一応は、アメリカの多機関での長期前向きコホートなので、手法としての妥当性は高いとは思いますが……一般的にイメージされるコホート(一般人対象に数万人規模で行う)の場合と異なり、そもそもの母集団が「(終末期医療の対象になるような)末期がん患者」に限られてしまう関係で、どうしても例数がとれない、というところでしょう。
とは言え、多機関+20年くらいの長期で見ていて有意な差が出てるわけなので、これで「例数が不足してるから、reject」と言われても、研究者の方も困るでしょうね……現にJAMAのような医学系の一流誌に載ってる以上「最低限の信憑性は確保できてる」と判断していいと思いますが。
345人の調査結果 (スコア:0)
Aaron Rashid
Re: (スコア:0)
少なくとも医療統計や疫学の世界では345人というのはそれなりに大きな数字ですし、有意差を見いだすのに十分な標本数だと思います。「345」という数字だけで「意味が乏しい」と分かるんですか?
そういえば以前、何を聞かれても必ず「2000人」と答える「統計学の専門家」がトリビアの泉に出演されていて、アレは自分はギャグでやってるのだと信じていたのですが、もしかして真面目な理由とかがあるんでしょうか。
Re:345人の調査結果 (スコア:1, 参考になる)
トリビアの場合、「日本国民を母集団とした横断調査」がほとんどだったので、2000人という数字になるケースが多かっただけで、母集団が違う場合(男性とか、特定の年齢層とか)の場合は人数が変わってたはずです。なので、ギャグではないだろうと思います。
今回のケースですが、一応、原報もざっと見てみました。これは元々"Coping With Cancer Study"という多機関コホートプロジェクトの成果で、がんに関して主に心理的な面からのケアの効果の意味付けなどを目的とした調査のようです。一応は、アメリカの多機関での長期前向きコホートなので、手法としての妥当性は高いとは思いますが……一般的にイメージされるコホート(一般人対象に数万人規模で行う)の場合と異なり、そもそもの母集団が「(終末期医療の対象になるような)末期がん患者」に限られてしまう関係で、どうしても例数がとれない、というところでしょう。
とは言え、多機関+20年くらいの長期で見ていて有意な差が出てるわけなので、これで「例数が不足してるから、reject」と言われても、研究者の方も困るでしょうね……現にJAMAのような医学系の一流誌に載ってる以上「最低限の信憑性は確保できてる」と判断していいと思いますが。
ただまぁ、あくまで母集団は「アメリカ(全土)の末期がん患者」あたりになるので、これが日本を含めた他国にそのまま適用できるものではない、というあたりは言わずもがなだと思います。個人的には、そもそも延命治療となった時点で、医学的には治療の見込みがなく、あとは「奇跡」に頼らざるを得ない気になったりするんだろうか(その「奇跡」を信じる部分が信仰心の強さにも通じる)とかは考えないでもありませんでした。
Re:345人の調査結果 (スコア:1)
サブグループはともかくとして、宗教に対する態度に関しては、スコア付けの上中央値で二群に分けていますから、各群約170人と、十分な数ですよね。
サンプルサイズを大きくしないと出ない差は「そんな個人差に埋もれそうな小さな差にこだわって意味あるの?」と言う話になる(治療法ならNNTが大きいっていう話です)ので、医学統計の場合 n が大きければ良いかと言うとそうでもないんですね。