アカウント名:
パスワード:
たとえば、ここに飲み屋があるとしましょう。開店したてで、まだあまり知られていません。
経営予測的には「平日の夜に30組の客が来る」事になっていて、供給能力的にまさにそれに合わせて店舗を作っているとします。今はまだ知られていないため、20組の客しか来ません。でも、50週かければ客は徐々に30組へと増えていくでしょう。で、この経営予測は正しい、と仮定します。
50週の間、この店舗の供給能力は過剰です。積分の結果、50週で合計300組分の供給能力が使われないとします。
「この50週を20週に縮めてご覧に入れましょう。結果、使われない供給能力は 100組分で済みます。 ただし、埋まった200組分の供給能力から上がるはずの利益のうち、1/3 をグルーポンが頂きます。 残った 2/3 の利益のうちさらに50%…ですので利益の1/3は、お客様に割引の形で還元してもらいます。 最後の 1/3 が御社が追加で得られる儲けになります。 で、その「還元」対象になるお客様はうちが独占的に供給させてもらいます」
これがグルーポンの「本来の」ビジネスモデル。安定的な供給能力に対し、需要が追いつくまでの一時的なギャップ部分…本来無駄になるはずの部分を、店舗・お客・グルーポンの3者で分ける方法を提供しましょう、というもの。
なので、そもそもが「すでに需要も安定的」な場合や、「おせち料理やクリスマスケーキのような一過性の需要/供給モデル」に対してはグルーポンのビジネスモデルは非常に脆弱。うかつに営業をかけてそんなところで売上を伸ばそうとすれば、そもそも存在しなかった供給能力をヘッジしていたことが露呈して、店舗・お客・グルーポンの3者が痛み分けしてしまうに決まっているのです。
というわけで、今回のグルーポン・おせち問題は起こるべくして起こっただけの話。
.
一方、グルーポン自体の会社規模をうかつにも大きくしたために、営業…というかこの会社における営業って実は 仕入れ なわけですが…が品物を見る目を持たないまま後先を考えずに、供給能力という名の 先物商品 を仕入れてしまい、価格下落をヘッジするために「嘘の割引率」をあみ出したと。この「嘘の割引率問題」は実は「おせち問題」とは全く別の性質(ただし、仕入れの目利き能力が腐っていたという点では同じですが)のものです。
いつもわかりやすい解説をありがとうございます。なるほどなるほど。
むしろ私としてはグルーポンのビジネスモデルよりもokkyさんのその理解力(というか眼力)のほうに興味がありますね…… どのようにして洞察するものなのでしょう?
より多くのコメントがこの議論にあるかもしれませんが、JavaScriptが有効ではない環境を使用している場合、クラシックなコメントシステム(D1)に設定を変更する必要があります。
身近な人の偉大さは半減する -- あるアレゲ人
グルーポンは本来「一時的な供給能力の過剰」ギャップを使った商売 (スコア:1)
たとえば、ここに飲み屋があるとしましょう。開店したてで、まだあまり知られていません。
経営予測的には「平日の夜に30組の客が来る」事になっていて、供給能力的にまさにそれに合わせて店舗を作っているとします。今はまだ知られていないため、20組の客しか来ません。でも、50週かければ客は徐々に30組へと増えていくでしょう。
で、この経営予測は正しい、と仮定します。
50週の間、この店舗の供給能力は過剰です。積分の結果、50週で合計300組分の供給能力が使われないとします。
「この50週を20週に縮めてご覧に入れましょう。結果、使われない供給能力は 100組分で済みます。
ただし、埋まった200組分の供給能力から上がるはずの利益のうち、1/3 をグルーポンが頂きます。
残った 2/3 の利益のうちさらに50%…ですので利益の1/3は、お客様に割引の形で還元してもらいます。
最後の 1/3 が御社が追加で得られる儲けになります。
で、その「還元」対象になるお客様はうちが独占的に供給させてもらいます」
これがグルーポンの「本来の」ビジネスモデル。安定的な供給能力に対し、需要が追いつくまでの一時的なギャップ部分…本来無駄になるはずの部分を、店舗・お客・グルーポンの3者で分ける方法を提供しましょう、というもの。
なので、そもそもが「すでに需要も安定的」な場合や、「おせち料理やクリスマスケーキのような一過性の需要/供給モデル」に対してはグルーポンのビジネスモデルは非常に脆弱。うかつに営業をかけてそんなところで売上を伸ばそうとすれば、そもそも存在しなかった供給能力をヘッジしていたことが露呈して、店舗・お客・グルーポンの3者が痛み分けしてしまうに決まっているのです。
というわけで、今回のグルーポン・おせち問題は起こるべくして起こっただけの話。
.
一方、グルーポン自体の会社規模をうかつにも大きくしたために、営業…というかこの会社における営業って実は 仕入れ なわけですが…が品物を見る目を持たないまま後先を考えずに、供給能力という名の 先物商品 を仕入れてしまい、価格下落をヘッジするために「嘘の割引率」をあみ出したと。この「嘘の割引率問題」は実は「おせち問題」とは全く別の性質(ただし、仕入れの目利き能力が腐っていたという点では同じですが)のものです。
fjの教祖様
Re:グルーポンは本来「一時的な供給能力の過剰」ギャップを使った商売 (スコア:2)
いつもわかりやすい解説をありがとうございます。なるほどなるほど。
むしろ私としてはグルーポンのビジネスモデルよりもokkyさんのその理解力(というか眼力)のほうに興味がありますね…… どのようにして洞察するものなのでしょう?
人生は七転び八起き、一日は早寝早起き