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リンについても、生物には利用しづらい形(鉱石)のものを大量に掘り出して利用しているし、どうなんだろう…と、思いかけましたが、さすがにハーバー・ボッシュ法で供給される窒素の規模とは比較にならないほどの量でしょうか。まあ、局所的な富栄養化の問題はあるにせよ、広域的な問題として取り上げられたことはあまりない感じ。
そういえば、最近はいちいち「無リン」を謳う洗剤も見かけませんね。
おっしゃる通り,リンもまた非常に問題になっている元素です.これまた今年論文が出ているらしく(Environ. Res. Lett 6 (2011) 014009),そこでの見積もりによれば,純粋なリン換算(テラグラム単位)で以下のようになっているそうです.
(1) 工業化以前の自然界での風化作用によるリンの放出:10-15(2) 現在での風化作用によるリンの放出:15-20(3) 採掘したリン鉱石由来の環境中への放出:22.6
元々は,1と環境から沈殿していく分がほぼ釣り合っていたはずですので,現在の放出量(2+3)だとその2-3倍ぐらいに増えています.比率的には窒素と同じぐらい膨大ですね.で,論文ではモデル計算を行って,現在の放出量はすでに持続可能なレベルを遙かに超えており,このレベルの排出を続けると環境汚染が著しいと指摘しています.
でまあリンのやっかいなところは,別コメでも指摘されているように鉱石の残量もまた微妙なところですよね.それも含め,現状のリン肥料を多量に使ってたれ流しにするのではなく,もっと回収して再利用する社会システムを作るべきだ,と書かれています.
多分,農業用水の下流に水処理施設作って,そこで回収するとかそういうのが想定されてるんでしょうが,問題はそういうシステムは金持ってる国でしか作れないのに,肥料ばらまいて増産したがるのは人口の急増と食事の高エネルギーかがどんどん進む発展途上国だってところですよね.どうしたもんだか.
あ,上のコメントで書いたリンの放出量は,1年あたりです.今までの累計ではありません.
まあ、たとえばグアノは海鳥のフン(海洋生物)由来だったりしますね。
そういう意味では、かつて生物圏に存在したが現在では眠っている必須元素を、人類はせっせと戻していると言うこともできます。で、それによる変化が人類にとって好ましいかどうかが、現在我々が注目するポイントであるわけです。
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犯人は巨人ファンでA型で眼鏡をかけている -- あるハッカー
NP困難問題 (スコア:2)
リンについても、生物には利用しづらい形(鉱石)のものを大量に掘り出して利用しているし、どうなんだろう…と、思いかけましたが、さすがにハーバー・ボッシュ法で供給される窒素の規模とは比較にならないほどの量でしょうか。まあ、局所的な富栄養化の問題はあるにせよ、広域的な問題として取り上げられたことはあまりない感じ。
そういえば、最近はいちいち「無リン」を謳う洗剤も見かけませんね。
Re:NP困難問題 (スコア:3, すばらしい洞察)
おっしゃる通り,リンもまた非常に問題になっている元素です.
これまた今年論文が出ているらしく(Environ. Res. Lett 6 (2011) 014009),そこでの見積もりによれば,純粋なリン換算(テラグラム単位)で以下のようになっているそうです.
(1) 工業化以前の自然界での風化作用によるリンの放出:10-15
(2) 現在での風化作用によるリンの放出:15-20
(3) 採掘したリン鉱石由来の環境中への放出:22.6
元々は,1と環境から沈殿していく分がほぼ釣り合っていたはずですので,現在の放出量(2+3)だとその2-3倍ぐらいに増えています.比率的には窒素と同じぐらい膨大ですね.
で,論文ではモデル計算を行って,現在の放出量はすでに持続可能なレベルを遙かに超えており,このレベルの排出を続けると環境汚染が著しいと指摘しています.
でまあリンのやっかいなところは,別コメでも指摘されているように鉱石の残量もまた微妙なところですよね.それも含め,現状のリン肥料を多量に使ってたれ流しにするのではなく,もっと回収して再利用する社会システムを作るべきだ,と書かれています.
多分,農業用水の下流に水処理施設作って,そこで回収するとかそういうのが想定されてるんでしょうが,問題はそういうシステムは金持ってる国でしか作れないのに,肥料ばらまいて増産したがるのは人口の急増と食事の高エネルギーかがどんどん進む発展途上国だってところですよね.どうしたもんだか.
Re:NP困難問題 (スコア:1)
あ,上のコメントで書いたリンの放出量は,1年あたりです.今までの累計ではありません.
Re:NP困難問題 (スコア:1)
文明が衰退した後の第二文明で耕地の跡が、硝石鉱山・リン鉱山になったりして。
Re:NP困難問題 (スコア:2)
まあ、たとえばグアノは海鳥のフン(海洋生物)由来だったりしますね。
そういう意味では、かつて生物圏に存在したが現在では眠っている必須元素を、人類はせっせと戻していると言うこともできます。で、それによる変化が人類にとって好ましいかどうかが、現在我々が注目するポイントであるわけです。