アカウント名:
パスワード:
CO2回収よりも漁獲量UP! のほうが魅力的。http://www.kobelco.co.jp/pr/1183662.html [kobelco.co.jp]
単純にこういう魚礁を、何十個・何百個と日本の海のあちらこちらに作ればいいと思うのだけれども、大々的に展開されていないのは費用対効果が見合わないのかな。それとも、鉄鋼スラグだとなんらかの環境汚染の懸念があるせいのかね。
>大々的に展開されていないのは費用対効果が見合わないのかな。
それ以前の問題で,鉄入れようって話になったのが比較的最近なんです.
そもそも,鉄不足な海域では他の栄養素がたっぷりあってもプランクトン(等)があまり繁殖出来ない,ってのが注目されるようになったのは1980年代後半頃です.
それとは別に,1950年?かそれ以降ぐらいから,磯焼けという現象が日本の各地で見られるようになっていました.確か北海道あたりから始まったんだと思いますが,ある海域の海藻が大規模に枯れ,それに伴い水産資源も激減する,という現象です.これに関しては原因もよくわかっておらず,とりあえず余所から海藻もってきて植える,とか言う(今にして思えば)それはちょっとどうなんだ?という対症療法などが行われていました(実は今でも行われているところが多々ある).#まあ,また1-2年で枯れるんですけどね.
で,1990年かそれ以降頃(前述の鉄不足の海域ではプランクトンが育たない,という研究後)に,北大(現四日市大)の松永先生だとか,東大の故 定方先生だとかが,「これはもしかしたら海水中の鉄分が不足しているからでは無いか?」と研究を始めます.日本は各地にダム&砂防ダムを造り,さらに河川の護岸工事を大規模に行っているので,海中への砂類(要するに細かな岩石類,ミネラル溶出の元)の流入が激減しており(砂浜の縮小とか,話題になりますよね),また河川周辺の森林や湿地帯(どちらも,生息する植物が酸を出し岩石を分解,ミネラルを抽出する)が開発されたことにより,海水への河川を通した金属イオン類の供給が減っている可能性があったわけです.
そんな事を念頭に置いた調査の結果,鉄を豊富に含む河川の水が流れ込むはずの沿岸部にもかかわらず,遠洋並かそれ以下の鉄しか含まない海域が日本周辺で多数発生していることが明らかとなります.そこで前述の先生方(だとか,類似の研究をしている人や企業だとか)が,「磯焼けの原因は鉄分の枯渇では無いか?それを改善するために,沿岸部への鉄を用いた人工漁礁の投入が良いのでは?」という発想をし,研究を開始.ようやく成果が出て,実際に鉄スラグ魚礁で効果が出た,という結果が5年だか10年だか前ぐらいになります.つまりまあ,まだ新しい技術なわけです.さらに,実験数もそんなにめちゃくちゃ多いわけでは無いので「本当に効くの?」と疑問も持たれる.
また,漁業関係者としてもそんなよくわからん変なものを投げ込まれるのには難色を示しますし(どんな業種にしろ,基本的には皆保守的なものです),鉄イオン濃度がとか見えもしないよくわからないことを言われても,と.
実際の所,磯焼けの原因に関しても,・海水温の局所的な増大・ウニなど海藻を食べる種の一時的な繁殖・海流の変化なども挙げられていて,恐らく実際にはこれらいくつかが複合したりしているのだろうとも考えられています(はっきりわかっていない).
そんなこんなで,鉄スラグ魚礁は現状ではまだ試験段階です.どの程度効果があるのか?余計な有害物は溶け出さないか?効果の持続性はどんなものか?等,今後数年ぐらいは徐々に規模を拡大しながら検討していく,という位置づけだと思います.
とても参考になりました。実際問題、鉄スラグから余計な有害物が溶け出さないかは、どのくらいの懸念があるんでしょうね。どこの鉱石を使ったかで、全然違う結果が出るだろうし、安く抑えるためには品質のコントロールが難しいのかもしれませんが。その不安さえ解消できるなら、ばんばんやってもらいたい。
ベーリング海は広大な鉄欠亡海域で、現在その海域への鉄分の貴重な供給源となっているのは黄砂が考えられているそうです。その砂塵にはおよそ4%程度の鉄分が含まれているそうで。鉄鉱石なりを微粒子化して海域に散布すれば、微粒子が表層水に浮遊する形で効果的に鉄分供給が行われそうに思います。
黄砂には放射性セシウムも含まれてますけどね。
より多くのコメントがこの議論にあるかもしれませんが、JavaScriptが有効ではない環境を使用している場合、クラシックなコメントシステム(D1)に設定を変更する必要があります。
あつくて寝られない時はhackしろ! 386BSD(98)はそうやってつくられましたよ? -- あるハッカー
CO2回収よりも漁獲量UP! (スコア:4, 参考になる)
CO2回収よりも漁獲量UP! のほうが魅力的。
http://www.kobelco.co.jp/pr/1183662.html [kobelco.co.jp]
Re:CO2回収よりも漁獲量UP! (スコア:1)
単純にこういう魚礁を、何十個・何百個と日本の海のあちらこちらに作ればいいと思うのだけれども、
大々的に展開されていないのは費用対効果が見合わないのかな。
それとも、鉄鋼スラグだとなんらかの環境汚染の懸念があるせいのかね。
Re:CO2回収よりも漁獲量UP! (スコア:5, 参考になる)
>大々的に展開されていないのは費用対効果が見合わないのかな。
それ以前の問題で,鉄入れようって話になったのが比較的最近なんです.
そもそも,鉄不足な海域では他の栄養素がたっぷりあってもプランクトン(等)があまり繁殖出来ない,ってのが注目されるようになったのは1980年代後半頃です.
それとは別に,1950年?かそれ以降ぐらいから,磯焼けという現象が日本の各地で見られるようになっていました.確か北海道あたりから始まったんだと思いますが,ある海域の海藻が大規模に枯れ,それに伴い水産資源も激減する,という現象です.これに関しては原因もよくわかっておらず,とりあえず余所から海藻もってきて植える,とか言う(今にして思えば)それはちょっとどうなんだ?という対症療法などが行われていました(実は今でも行われているところが多々ある).
#まあ,また1-2年で枯れるんですけどね.
で,1990年かそれ以降頃(前述の鉄不足の海域ではプランクトンが育たない,という研究後)に,北大(現四日市大)の松永先生だとか,東大の故 定方先生だとかが,「これはもしかしたら海水中の鉄分が不足しているからでは無いか?」と研究を始めます.
日本は各地にダム&砂防ダムを造り,さらに河川の護岸工事を大規模に行っているので,海中への砂類(要するに細かな岩石類,ミネラル溶出の元)の流入が激減しており(砂浜の縮小とか,話題になりますよね),また河川周辺の森林や湿地帯(どちらも,生息する植物が酸を出し岩石を分解,ミネラルを抽出する)が開発されたことにより,海水への河川を通した金属イオン類の供給が減っている可能性があったわけです.
そんな事を念頭に置いた調査の結果,鉄を豊富に含む河川の水が流れ込むはずの沿岸部にもかかわらず,遠洋並かそれ以下の鉄しか含まない海域が日本周辺で多数発生していることが明らかとなります.
そこで前述の先生方(だとか,類似の研究をしている人や企業だとか)が,「磯焼けの原因は鉄分の枯渇では無いか?それを改善するために,沿岸部への鉄を用いた人工漁礁の投入が良いのでは?」という発想をし,研究を開始.
ようやく成果が出て,実際に鉄スラグ魚礁で効果が出た,という結果が5年だか10年だか前ぐらいになります.
つまりまあ,まだ新しい技術なわけです.さらに,実験数もそんなにめちゃくちゃ多いわけでは無いので「本当に効くの?」と疑問も持たれる.
また,漁業関係者としてもそんなよくわからん変なものを投げ込まれるのには難色を示しますし(どんな業種にしろ,基本的には皆保守的なものです),鉄イオン濃度がとか見えもしないよくわからないことを言われても,と.
実際の所,磯焼けの原因に関しても,
・海水温の局所的な増大
・ウニなど海藻を食べる種の一時的な繁殖
・海流の変化
なども挙げられていて,恐らく実際にはこれらいくつかが複合したりしているのだろうとも考えられています(はっきりわかっていない).
そんなこんなで,鉄スラグ魚礁は現状ではまだ試験段階です.
どの程度効果があるのか?余計な有害物は溶け出さないか?効果の持続性はどんなものか?等,今後数年ぐらいは徐々に規模を拡大しながら検討していく,という位置づけだと思います.
Re: (スコア:0)
とても参考になりました。
実際問題、鉄スラグから余計な有害物が溶け出さないかは、どのくらいの懸念があるんでしょうね。
どこの鉱石を使ったかで、全然違う結果が出るだろうし、安く抑えるためには品質のコントロールが難しいのかもしれませんが。
その不安さえ解消できるなら、ばんばんやってもらいたい。
Re: (スコア:0)
ベーリング海は広大な鉄欠亡海域で、現在その海域への鉄分の貴重な供給源となっているのは黄砂が考えられているそうです。
その砂塵にはおよそ4%程度の鉄分が含まれているそうで。
鉄鉱石なりを微粒子化して海域に散布すれば、微粒子が表層水に浮遊する形で効果的に鉄分供給が行われそうに思います。
Re: (スコア:0)
黄砂には放射性セシウムも含まれてますけどね。
Re:CO2回収よりも漁獲量UP! (スコア:1)