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>火山ガス
これまでの研究から,浅海域のプランクトンは壊滅的打撃を受けつつも,深海域のプランクトンにはそこまで影響が無いことが判明しています.と言うことから,「なんか浅い部分だけが急速に変化して,そこだけ死滅した」というモデルを考える必要がありました.で,隕石の衝突に絡めて考えられていたのが,「硫黄分を多く含む陸地に隕石が衝突した衝撃で二酸化硫黄が多量に生じ,それが酸性雨として降り注いで浅海域が急速に酸性化.表層のプランクトンが死滅した」と言うものです.
ところがここに問題がありました.二酸化硫黄が酸化され硫酸となる速度は非常に遅いので,十分短期間のうちに酸性雨として降り注ぐことができない,という点です.これがなぜ問題かというと,海洋の酸性化がゆっくりとしか進まなくなるので,自然の回復速度(中和過程)に勝てなかったりして観測結果に一致しなくなるためです.このあたりは火山性ガスでもなかなか難しい部分があって,非常に大量に放出しないと十分な量の硫酸が発生しない,かといって(ゆっくり降ってくる二酸化硫黄を)大量に放出すると,長期的には浅海域だけではなく深海にまで酸性化が進む,という事が生じてしまいます.
今回の仕事で何が良かったかというと,「隕石の衝突のような条件下だと,これまで考えられたような二酸化硫黄では無く,三酸化硫黄が生じるらしい」という点です.三酸化硫黄は酸化されて硫酸になるのがかなり速いので,隕石の衝突により多量の三酸化硫黄が生じると迅速に硫酸に変化,それがエアロゾルに付着して世界中にまき散らされると,あっという間に降り注いで浅海域のみの強烈な酸性化を引き起こせるわけです.
#これが正しいのかどうかは分野が違うんでわかりませんが,論文としてはそういう主張です.
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計算機科学者とは、壊れていないものを修理する人々のことである
酸化硫黄なら (スコア:1)
# オレの本命はあくまでネメシス仮説だけどな!
Re:酸化硫黄なら (スコア:5, 参考になる)
>火山ガス
これまでの研究から,浅海域のプランクトンは壊滅的打撃を受けつつも,深海域のプランクトンにはそこまで影響が無いことが判明しています.
と言うことから,「なんか浅い部分だけが急速に変化して,そこだけ死滅した」というモデルを考える必要がありました.
で,隕石の衝突に絡めて考えられていたのが,「硫黄分を多く含む陸地に隕石が衝突した衝撃で二酸化硫黄が多量に生じ,それが酸性雨として降り注いで浅海域が急速に酸性化.表層のプランクトンが死滅した」と言うものです.
ところがここに問題がありました.二酸化硫黄が酸化され硫酸となる速度は非常に遅いので,十分短期間のうちに酸性雨として降り注ぐことができない,という点です.
これがなぜ問題かというと,海洋の酸性化がゆっくりとしか進まなくなるので,自然の回復速度(中和過程)に勝てなかったりして観測結果に一致しなくなるためです.
このあたりは火山性ガスでもなかなか難しい部分があって,非常に大量に放出しないと十分な量の硫酸が発生しない,かといって(ゆっくり降ってくる二酸化硫黄を)大量に放出すると,
長期的には浅海域だけではなく深海にまで酸性化が進む,という事が生じてしまいます.
今回の仕事で何が良かったかというと,「隕石の衝突のような条件下だと,これまで考えられたような二酸化硫黄では無く,三酸化硫黄が生じるらしい」という点です.
三酸化硫黄は酸化されて硫酸になるのがかなり速いので,隕石の衝突により多量の三酸化硫黄が生じると迅速に硫酸に変化,それがエアロゾルに付着して世界中にまき散らされると,あっという間に降り注いで浅海域のみの強烈な酸性化を引き起こせるわけです.
#これが正しいのかどうかは分野が違うんでわかりませんが,論文としてはそういう主張です.