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1980年あたりに、火星由来の岩石が区別出来る技術が出てきたということかな?火星の石って持ち帰ってないよね?どんな技術なんだろう。
>1980年あたりに、火星由来の岩石が区別出来る技術が出てきたということかな?
そうなります.もうちょっと正確に言うと,岩石の年代分析の手法やらなんやらを隕石に適用して,「どうも火星由来らしい」という結果が得られたという論文が出たのが1980年代前半になります.
どういう手法かというと,まず,鉱物の形成された年代は放射性元素の比率を調べることでおおよそ見積もることが出来ます.原子種ごとにその岩石中に取り込まれる比率が変わるので,岩石の種類が決まるとその岩石が出来た段階での放射性元素の存在比が(ほぼ)決まります(もちろん,初期状態での周辺での元素濃度などにも依存しますが).その後時間が経つと放射性核種が崩壊して違う元素に変わっていくので,元素比が当初の値から徐々にずれていきます.で,今現在目の前にある岩石の元素比やら同位体存在比を見ると,どのぐらいの年月が経ったのかとか,(加熱していって各種気化成分がどのぐらい残っているのかを見ることで)どういった熱履歴を辿ったのか,などを知ることが出来ます.#一元素の崩壊を追っていく手法や,いくつかの元素の比を組み合わせる手法などがある.
一部の隕石が火星由来と考えられたのは,こうして得られた隕石の「年齢」がかなり若かった(数億年ぐらい)ことに由来します.これほど最近まで火成活動が続くには,それなりの大きさの天体である必要がありますから(単なる小惑星は40億年以上前に固まってしまっている),これが他の惑星由来である事を示唆しています.
じゃあなぜその「他の天体」が火星だと決められたかと言えば,岩石中に閉じ込められていた大気の組成や希ガス(主にArとXe)の同位体存在比が火星の大気のものと一致したためです.火星の大気については,70年代後半に火星に着陸したバイキング探査機が情報を送ってきていましたので,これと照らし合わせて「閉じ込められてるのは多分火星の大気」という事がわかりました.
簡単に言うと、
この岩石は
> 岩石中に閉じ込められていた大気の組成や希ガス(主にArとXe)の同位体存在比が火星の大気のものと一致したためです.
火星から来たような「希ガス」。しっつれいしましたぁ。
地球からだと、分光学的に調べるとか。ほかには、分析装置を搭載した探査機が着陸して調べるとか。
持って帰ってはいないけど、行ってはいるのよ。ヴァイキング探査機が着陸したのが1976年だから、実験装置で火星岩石の組成しらべて、適合するのが見つかりだしたのが80年代ってのは符号する。放射線の被曝履歴(放射線年代測定みたいなもん?)でも分かるらしい。
フォボス由来の隕石ってのもあるようだけど、どうやって判別してるかわからんなぁ…。分光観測とかで、フォボス岩石の特徴が分かってるんだろうか?
>フォボス由来の隕石ってのもあるようだけど、どうやって判別してるかわからんなぁ…。
こちら(カイドゥン隕石)はフォボス由来と確定したわけではなく,「条件考えるとフォボスあたりの可能性が高いんじゃない?」という感じです.
・多孔質で色々なものが混ざっているので,小惑星的な岩石.・ただし,ごく一部にアルカリ系の岩石を含む.これはある程度大きさを持つ惑星の内部でしか形成されない.
という2条件があって,これを満たす現実的なシナリオとして
・小型で小惑星的な天体(自分自身は火山活動を起こせないほど小さい)由来.ただしごく近くに惑星があり,そこへの隕石の落下などの際に飛び出した物質が時々降り注ぐ.そんな天体から飛び出した隕石
というものが提唱されます.で,これを満たす手頃な天体(惑星の衛星で,組成・構造的にほぼ小惑星で,しかもそこから飛び出した隕石が地球に降る確率がある程度ある)としてフォボスがもっともらしいんじゃないか?と.
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UNIXはただ死んだだけでなく、本当にひどい臭いを放ち始めている -- あるソフトウェアエンジニア
1980年以降? (スコア:0)
1980年あたりに、火星由来の岩石が区別出来る技術が出てきたということかな?
火星の石って持ち帰ってないよね?
どんな技術なんだろう。
Re:1980年以降? (スコア:5, 参考になる)
>1980年あたりに、火星由来の岩石が区別出来る技術が出てきたということかな?
そうなります.
もうちょっと正確に言うと,岩石の年代分析の手法やらなんやらを隕石に適用して,「どうも火星由来らしい」という結果が得られたという論文が出たのが1980年代前半になります.
どういう手法かというと,まず,鉱物の形成された年代は放射性元素の比率を調べることでおおよそ見積もることが出来ます.
原子種ごとにその岩石中に取り込まれる比率が変わるので,岩石の種類が決まるとその岩石が出来た段階での放射性元素の存在比が(ほぼ)決まります(もちろん,初期状態での周辺での元素濃度などにも依存しますが).その後時間が経つと放射性核種が崩壊して違う元素に変わっていくので,元素比が当初の値から徐々にずれていきます.で,今現在目の前にある岩石の元素比やら同位体存在比を見ると,どのぐらいの年月が経ったのかとか,(加熱していって各種気化成分がどのぐらい残っているのかを見ることで)どういった熱履歴を辿ったのか,などを知ることが出来ます.
#一元素の崩壊を追っていく手法や,いくつかの元素の比を組み合わせる手法などがある.
一部の隕石が火星由来と考えられたのは,こうして得られた隕石の「年齢」がかなり若かった(数億年ぐらい)ことに由来します.これほど最近まで火成活動が続くには,それなりの大きさの天体である必要がありますから(単なる小惑星は40億年以上前に固まってしまっている),これが他の惑星由来である事を示唆しています.
じゃあなぜその「他の天体」が火星だと決められたかと言えば,岩石中に閉じ込められていた大気の組成や希ガス(主にArとXe)の同位体存在比が火星の大気のものと一致したためです.
火星の大気については,70年代後半に火星に着陸したバイキング探査機が情報を送ってきていましたので,これと照らし合わせて「閉じ込められてるのは多分火星の大気」という事がわかりました.
Re:1980年以降? (スコア:2)
簡単に言うと、
この岩石は
> 岩石中に閉じ込められていた大気の組成や希ガス(主にArとXe)の同位体存在比が火星の大気のものと一致したためです.
火星から来たような「希ガス」。しっつれいしましたぁ。
Re: (スコア:0)
地球からだと、分光学的に調べるとか。
ほかには、分析装置を搭載した探査機が着陸して調べるとか。
Re: (スコア:0)
持って帰ってはいないけど、行ってはいるのよ。
ヴァイキング探査機が着陸したのが1976年だから、実験装置で火星岩石の組成しらべて、適合するのが見つかりだしたのが80年代ってのは符号する。
放射線の被曝履歴(放射線年代測定みたいなもん?)でも分かるらしい。
フォボス由来の隕石ってのもあるようだけど、どうやって判別してるかわからんなぁ…。
分光観測とかで、フォボス岩石の特徴が分かってるんだろうか?
Re:1980年以降? (スコア:5, 興味深い)
>フォボス由来の隕石ってのもあるようだけど、どうやって判別してるかわからんなぁ…。
こちら(カイドゥン隕石)はフォボス由来と確定したわけではなく,「条件考えるとフォボスあたりの可能性が高いんじゃない?」という感じです.
・多孔質で色々なものが混ざっているので,小惑星的な岩石.
・ただし,ごく一部にアルカリ系の岩石を含む.これはある程度大きさを持つ惑星の内部でしか形成されない.
という2条件があって,これを満たす現実的なシナリオとして
・小型で小惑星的な天体(自分自身は火山活動を起こせないほど小さい)由来.ただしごく近くに惑星があり,そこへの隕石の落下などの際に飛び出した物質が時々降り注ぐ.そんな天体から飛び出した隕石
というものが提唱されます.
で,これを満たす手頃な天体(惑星の衛星で,組成・構造的にほぼ小惑星で,しかもそこから飛び出した隕石が地球に降る確率がある程度ある)としてフォボスがもっともらしいんじゃないか?と.