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賛否色々ある法案ですが・・・反対意見・研究者に利益が入らないので、研究者が外国に逃げる賛成意見・会社の資本のもと研究しているのに、その研究結果が会社のものにならないのはおかしい。 (翻って、企業による研究が抑制されてしまう?)
とかがメインですかね?
反対意見に対しては「会社は相当の対価を従業者に支払わなければならない」の「相当の対価」がいか程のものになるかが、ポイント?#買いきりか印税方式みたいな形かの選択方式になれば、およげたいやき君の悲劇が繰り返されるのかな・・・。
>・会社の資本のもと研究しているのに、その研究結果が会社のものにならないのはおかしい。> (翻って、企業による研究が抑制されてしまう?)
今だって普通は出願時には社員(個人)から会社への権利の譲渡書類にサインするんだけどね。要は法律で縛られてなくても契約で縛られてる。譲渡書類にサインせずに逃れる方法なんてあるとは思えず事実上は変わらないはずなんで、この改正に意味があるのかどうか、よく判らないっす。
まず、大前提として今回対象となる権利は『特許権』ではなく、『特許を受ける権利』(要は特許出願人になれる権利)です。で、この権利は発明時に原始的に発生しますが、その権利が与えられる対象は「発明をした者」(29条柱書)であり、自然人に限られます。つまり、企業内での発明でも、権利発生時には発明者(=従業員)に権利が与えられることになっています。
で、この『特許を受ける権利』は移転可能(33条)で、契約により譲渡することができます。なので、
今だって普通は出願時には社員(個人)から会社への権利の譲渡書類にサインするんだけどね。
ということができます。でも、この移転は強制できないですよね。譲渡契約は発明後(つまり権利発生後)に行われるので、その発明が重大ならば、譲渡せずに権利を持ったまま会社から逃げるという選択肢もありえます。
そのため、通常は雇用契約時など発明より前の段階で、「発明したら、特許を受ける権利を会社に譲渡するよ」という契約を結ぶことになります。これを 『予約承継』といいます。この段階では力関係は会社>従業員なので、まず契約を結ぶこととなります。力の不均衡があるので、特許法では『予約継承』に制限を設けています(35条2項)。法で契約そのものを制限しています。具体的には『職務発明』でない場合、『予約継承』は無効であるとなっています。逆に言うと『職務発明』である場合、『予約承継』契約は有効であるということです。(要は仕事内容と関係ない発明まで取り上げるのはダメというだけ)
『予約承継』が行われた場合、対価を請求する権利が発生し、その決め方もおおざっぱに35条の4項・5項に書いてあります。この額でよくもめますが、これはまた別の問題。
長くなったので、法改正の背景と影響は別に書きます。#法令データ提供システムの条文へのリンク張ったら投稿フィルタに引っかかるよ。
で、今回の法改正の内容と背景についてです。(こっからの内容は私の勝手な解釈です。間違ってる可能性があります。)
今回の改正では、『予約承継』のような契約がある場合、『特許を受ける権利』がいきなり会社側に発生するようになります。つまり、(現行法)発明→従業員に権利発生→(予約承継により)会社に権利移転、従業員に対価請求権発生(改正後)発明→会社に権利発生、従業員に対価請求権発生となります。結果として会社に『特許を受ける権利』が、従業員に対価請求権が帰属することに変化はありません。(『予約承継』契約を新法にあわせて改訂する必要があるかもしれません。)
では、なんでこんな改正をしたかというと、1つは対価請求権をはっきりさせた点がありますが、もう1つに共同発明の場合の権利安定化があるかと思われます。『特許を受ける権利』は共有可能で、発明者が複数いる場合はその貢献に応じて全員に権利、共有した状態で発生します。共有の場合、全員の同意を得なければ譲渡ができない規定となっています(33条3項)。で、共同発明による権利共有と予約承継は変な相互作用をおこします。Aが会社と予約承継契約を結んだ状態で、AとBが共同発明した場合、Aの権利持分は予約継承により会社に移転しますが、Bはこれを拒否することができてしまいます。改正後は権利移転を伴わないので、Bが移転拒否することができなくなります。
あと、二重譲渡の問題もあるかもしれません。ある人が会社CとD両方に所属していて、双方と予約承継契約を結んでいた場合、その人に発生した権利はCとD両方に100%譲渡され、二重譲渡となると思います(共有にならない)。改正後はCとDの共有の状態で権利が発生することになると思います。
#正直TCGにおける打消しのタイミング問題みたい。
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人生の大半の問題はスルー力で解決する -- スルー力研究専門家
賛否 (スコア:4, 興味深い)
賛否色々ある法案ですが・・・
反対意見
・研究者に利益が入らないので、研究者が外国に逃げる
賛成意見
・会社の資本のもと研究しているのに、その研究結果が会社のものにならないのはおかしい。
(翻って、企業による研究が抑制されてしまう?)
とかがメインですかね?
反対意見に対しては「会社は相当の対価を従業者に支払わなければならない」の
「相当の対価」がいか程のものになるかが、ポイント?
#買いきりか印税方式みたいな形かの選択方式になれば、およげたいやき君の悲劇が繰り返されるのかな・・・。
Re: (スコア:0)
>・会社の資本のもと研究しているのに、その研究結果が会社のものにならないのはおかしい。
> (翻って、企業による研究が抑制されてしまう?)
今だって普通は出願時には社員(個人)から会社への権利の譲渡書類にサインするんだけどね。
要は法律で縛られてなくても契約で縛られてる。
譲渡書類にサインせずに逃れる方法なんてあるとは思えず事実上は変わらないはずなんで、
この改正に意味があるのかどうか、よく判らないっす。
Re:賛否 (スコア:2)
まず、大前提として今回対象となる権利は『特許権』ではなく、『特許を受ける権利』(要は特許出願人になれる権利)です。
で、この権利は発明時に原始的に発生しますが、その権利が与えられる対象は「発明をした者」(29条柱書)であり、自然人に限られます。
つまり、企業内での発明でも、権利発生時には発明者(=従業員)に権利が与えられることになっています。
で、この『特許を受ける権利』は移転可能(33条)で、契約により譲渡することができます。なので、
今だって普通は出願時には社員(個人)から会社への権利の譲渡書類にサインするんだけどね。
ということができます。
でも、この移転は強制できないですよね。譲渡契約は発明後(つまり権利発生後)に行われるので、その発明が重大ならば、譲渡せずに権利を持ったまま会社から逃げるという選択肢もありえます。
そのため、通常は雇用契約時など発明より前の段階で、「発明したら、特許を受ける権利を会社に譲渡するよ」という契約を結ぶことになります。これを 『予約承継』といいます。
この段階では力関係は会社>従業員なので、まず契約を結ぶこととなります。
力の不均衡があるので、特許法では『予約継承』に制限を設けています(35条2項)。法で契約そのものを制限しています。具体的には『職務発明』でない場合、『予約継承』は無効であるとなっています。
逆に言うと『職務発明』である場合、『予約承継』契約は有効であるということです。
(要は仕事内容と関係ない発明まで取り上げるのはダメというだけ)
『予約承継』が行われた場合、対価を請求する権利が発生し、その決め方もおおざっぱに35条の4項・5項に書いてあります。この額でよくもめますが、これはまた別の問題。
長くなったので、法改正の背景と影響は別に書きます。
#法令データ提供システムの条文へのリンク張ったら投稿フィルタに引っかかるよ。
Re:賛否 (スコア:2)
で、今回の法改正の内容と背景についてです。
(こっからの内容は私の勝手な解釈です。間違ってる可能性があります。)
今回の改正では、『予約承継』のような契約がある場合、『特許を受ける権利』がいきなり会社側に発生するようになります。
つまり、
(現行法)
発明→従業員に権利発生→(予約承継により)会社に権利移転、従業員に対価請求権発生
(改正後)
発明→会社に権利発生、従業員に対価請求権発生
となります。結果として会社に『特許を受ける権利』が、従業員に対価請求権が帰属することに変化はありません。(『予約承継』契約を新法にあわせて改訂する必要があるかもしれません。)
では、なんでこんな改正をしたかというと、1つは対価請求権をはっきりさせた点がありますが、もう1つに共同発明の場合の権利安定化があるかと思われます。
『特許を受ける権利』は共有可能で、発明者が複数いる場合はその貢献に応じて全員に権利、共有した状態で発生します。
共有の場合、全員の同意を得なければ譲渡ができない規定となっています(33条3項)。
で、共同発明による権利共有と予約承継は変な相互作用をおこします。
Aが会社と予約承継契約を結んだ状態で、AとBが共同発明した場合、Aの権利持分は予約継承により会社に移転しますが、Bはこれを拒否することができてしまいます。
改正後は権利移転を伴わないので、Bが移転拒否することができなくなります。
あと、二重譲渡の問題もあるかもしれません。
ある人が会社CとD両方に所属していて、双方と予約承継契約を結んでいた場合、その人に発生した権利はCとD両方に100%譲渡され、二重譲渡となると思います(共有にならない)。
改正後はCとDの共有の状態で権利が発生することになると思います。
#正直TCGにおける打消しのタイミング問題みたい。