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大学教員の端くれです.
学校教育法に規定する大学における教授研究の業務(主として研究に従事するものに限る。)については,労使協定を締結のうえ,専門業務型裁量労働制 [mhlw.go.jp]を導入できます.そして,「主として研究に従事するものに限る。」について,厚生労働省は次の解説をしています.
「主として研究に従事する」とは、業務の中心はあくまで研究の業務であることをいうものであり、具体的には、講義等の授業や、入試事務等の教育関連業務の時間が、多くとも、1週の所定労働時間又は法定労働時間のうち短いものについて、そのおおむね5割に満たない程度であることをいうものであること。
果たして,今回の教育専任教員に,専門業務型裁量労働制が適用されるのでしょうか.同じ業界の者として気になります.
因みに,富山大学で,教養教育院専任教員に専門業務型裁量労働制が適用されるかどうか,教職員組合 [tu-union.org]と使用者側 [tu-union.org]との間で議論があったそうです.
富山大学の件は、執行部が「教養教育院専任教員について、教養教育エフォートを60%以上とする」と提案したのに対し、教職員組合側は「専門業務型裁量労働制の要件を満たさないのではないか」と疑問を呈し、執行部は「教養教育に係るエフォートには「教養教育に係る研究」が含まれており、「教養教育以外のエフォートのうち研究に該当するもの」と「教養教育に係る研究」を足した総研究エフォートは5割を超えるだろうから、専門業務型裁量労働制の定義に直ちに抵触するものではない」と回答した、という話。
教職員組合が「教員の時間裁量を奪うな (出退勤は今までどおり好き勝手 (出勤せず自宅で業務も許容する) に決めたい) 」と「研究しないことを理由に、給料を下げるんじゃないか (教員 (= 現状の研究を主とする教員) ではなくなると、事務職員に近い待遇になるのではないか)」のどちら (あるいは両方) に主眼を置いているのかによって、戦略は変わりますね。
東京農工大学の場合は教育・運営:研究=9:1なので、新しい職群を作り規程・給与制度・評価制度を整備するのではないでしょうか。というか、そうしないと労働法制上の問題が発生すると思われます。
#3390564のACです.丁寧な解説有難うございます.
少し調べたら, 東京農工大学グローバル教育院教員募集要項(任期付准教授) [tuat.ac.jp]が見つかりました.これの8(2)には裁量労働制と書いてあります.
8.採用待遇等(1)就業場所: 東京農工大学府中キャンパス(東京都府中市)(1名)又は小金井キャンパス(東京都小金井市)(1名)(2)始業・終業時刻および休憩時間:裁量労働制(3)諸手当:本学年俸制給与に関する規程に基づき、支給する。(4)休日等:土日祝他、5/31(創立記念日)、12/29~1/3(年末年始)(5)給与(時給・
研究に関する職務が記載されていませんね。強いて言えば、「本学の国際教育交流プログラムの企画」や「その他、東京農工大学グローバル教育院に係る業務」に研究要素があるのかもしれませんが…。
以前から、産学連携コーディネーターなど研究しないのに教員で雇う大学がありますが、それと同じ軽いノリで行こうとしているのでしょうか。これを機会に、こちらにも飛び火することになるかもしれません。
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※ただしPHPを除く -- あるAdmin
裁量労働制が適用されるのか? (スコア:2, 興味深い)
大学教員の端くれです.
学校教育法に規定する大学における教授研究の業務(主として研究に従事するものに限る。)については,労使協定を締結のうえ,専門業務型裁量労働制 [mhlw.go.jp]を導入できます.そして,「主として研究に従事するものに限る。」について,厚生労働省は次の解説をしています.
果たして,今回の教育専任教員に,専門業務型裁量労働制が適用されるのでしょうか.同じ業界の者として気になります.
因みに,富山大学で,教養教育院専任教員に専門業務型裁量労働制が適用されるかどうか,教職員組合 [tu-union.org]と使用者側 [tu-union.org]との間で議論があったそうです.
Re:裁量労働制が適用されるのか? (スコア:1)
富山大学の件は、執行部が「教養教育院専任教員について、教養教育エフォートを60%以上とする」と提案したのに対し、教職員組合側は「専門業務型裁量労働制の要件を満たさないのではないか」と疑問を呈し、執行部は「教養教育に係るエフォートには「教養教育に係る研究」が含まれており、「教養教育以外のエフォートのうち研究に該当するもの」と「教養教育に係る研究」を足した総研究エフォートは5割を超えるだろうから、専門業務型裁量労働制の定義に直ちに抵触するものではない」と回答した、という話。
教職員組合が「教員の時間裁量を奪うな (出退勤は今までどおり好き勝手 (出勤せず自宅で業務も許容する) に決めたい) 」と「研究しないことを理由に、給料を下げるんじゃないか (教員 (= 現状の研究を主とする教員) ではなくなると、事務職員に近い待遇になるのではないか)」のどちら (あるいは両方) に主眼を置いているのかによって、戦略は変わりますね。
東京農工大学の場合は教育・運営:研究=9:1なので、新しい職群を作り規程・給与制度・評価制度を整備するのではないでしょうか。というか、そうしないと労働法制上の問題が発生すると思われます。
Re: (スコア:0)
#3390564のACです.丁寧な解説有難うございます.
少し調べたら, 東京農工大学グローバル教育院教員募集要項(任期付准教授) [tuat.ac.jp]が見つかりました.これの8(2)には裁量労働制と書いてあります.
Re: (スコア:0)
研究に関する職務が記載されていませんね。
強いて言えば、「本学の国際教育交流プログラムの企画」や「その他、東京農工大学グローバル教育院に係る業務」に研究要素があるのかもしれませんが…。
以前から、産学連携コーディネーターなど研究しないのに教員で雇う大学がありますが、それと同じ軽いノリで行こうとしているのでしょうか。これを機会に、こちらにも飛び火することになるかもしれません。