アカウント名:
パスワード:
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ガンマ線兵器が次世代兵器の開発競争のきっかけになるかも
アメリカの国防省によって開発されている新型の原子核を用いた爆弾が従来の兵器と核兵器との境界を曖昧にするかもしれない。この技術に基づいた兵器は次世代兵器開発競争を誘発し、恐怖を呼び起こすことになるだろう。
この爆発はある種の原子核からのエネルギーの放出によって誘発されるもので、核分裂や核融合によるものではない。ガンマ線として放出されるエネルギーは従来の化学変化による爆発から出るエネルギーの何千倍も大きい。
この技術は既に米国国防省の重要軍事技術リストに含まれており、そのリストには次のように書いてある。「そのような非常に密度の高いエネルギーは、戦争のあらゆる局面に対して革命的な潜在能力をもっている」
科学者たちは、ハフニウム(Hf)のような幾つかの元素が高いエネルギー状態(核異性体)を持ち、それらがガンマ線を放出しながら低いエネルギー状態にゆっくりと変化していくことを、ずいぶん前から知っていた。例えばハフニウム178が励起した核異性体であるハフニウム178m2は半減期31年である。
Carl Collinsとその共同研究者たちはダラスのテキサス大学で、この過程が爆発的であることを発見した。ハフニウムの核異性体に低エネルギーのX線を照射することによって人工的にガンマ線崩壊させることができることを示したのだ。その実験では、照射したエネルギーの60倍のエネルギーが放出された。理論的にはもっと多くのエネルギーが放出されると分かっている。
<エネルギーポンプ>
ハフニウムを爆発物として使う前に、エネルギーをその核の中に溜め込まれなければならない。ちょうど原子が光子を吸収すると原子中の電子が励起するように、ハフニウムも高エネルギー光子を吸収して励起することができる。そして後にその原子核はガンマ線を放出して最低エネルギー状態に戻る。
核異性体は元々はエネルギー貯蔵の手段として考えられていた。しかし、ガンマ線崩壊を加速できる可能性があることが、国防省の興味を引いた。もちろんトリウムやニオブのような他の候補となる物質も研究されている。
これまで生成法としては、光子をタンタルに照射してそれが崩壊する時にハフニウム178m2ができることを用いていた。この方法だと原子炉か粒子加速器が必要であり、ほんのわずかな量しか生成できない。
現在では、New Mexico州のKirtlandにある空軍研究所(Air Force Researh Laboratory)はSRSテクノロジー社から買ったハフニウム 178m2 でこの現象を研究している。SRSテクノロジー社はAlabama州Huntsvilleにある研究開発の会社で、ほかの実験で使われた核物質の残り物の中からハフニウムを精製し取り出している。しかし、量はたったの一万分の一グラム程度である。
<非常に強力>
しかし将来には、例えば普通のハフニウムをガンマ線照射することによってハフニウム核異性体を安価に作り出す方法ができるだろう。SRSの主任科学者のHill Robertsは5年以内にはグラムの単位で生成できるようになると信じている。
そのハフニウムの価格は高いだろう(豊富にあるウランでもキログラム当たり数千ドルする)。しかし、ウランと違ってどんな量でも使うことができる(ウランには核爆発を起こす臨界質量があるのでそれ以上でないと使えない)。
ハフニウムの爆発は非常に強力である。一グラムの完全に励起したハフニウムの核異性体は、TNT火薬50キログラム以上のエネルギーを持っている。現存するどの兵器より強力な爆弾を積んだ小型のミサイルを作ることができるであろう。そしてこれを使えば敵の武装兵力に対してより大きな破壊力が得られるであろう。
この核異性体の爆発の効果により、ガンマ線によってその近くにあるいかなる生物をも殺害することができるであろう。核分裂型の原爆に比べれば、死の灰(放射性降下物)はほとんどないが、爆発しなかった核異性体(ガンマ線を出していないハフニウム)の小粒子が四方にまき散らされ、一種の「汚い爆弾(dirty bomb)」としてその場に残り、そこで呼吸をして吸い込んだ人に対して長期間にわたって、健康問題を引き起こすであろう。
<政治的な影響>
政治的にも影響がある。1950年、米国は "Davy Crockett" と呼ばれた核バズーカのようなミニ原爆の開発から手を引いた。これはTNT火薬15トンに相当する爆発力を持つ。この様な兵器は核兵器と従来の兵器との境目を曖昧にする。政府はこのようなミニ核兵器が軍によって、従来のような戦争において、普通の兵器と同じ様に使われることを恐れたのだ。
核兵器の爆発力が常に他のものを圧倒することを保証することによって、戦闘力の急激な拡大がどうしても必要である、と言うような例外的な場合にのみ使うということを望んだのだ。
そして1994年、米国は Spratt-Furse法でこの方針を確認し、米軍が5キロトン以下のミニ原爆を開発することを禁止した。しかし新しい兵器の開発により、この核兵器と従来の兵器の境界線に届く新兵器も現れており、この制限も取り除かれるかもしれない。そしてそれらの新兵器は兵士たちに、彼等が簡単に使える兵器として兵力増強のために与えられている。核異性体兵器は、それを持つ軍隊は非常に有利になり、そしてそのことが軍拡競争を引き起こすことになるだろう。
より多くのコメントがこの議論にあるかもしれませんが、JavaScriptが有効ではない環境を使用している場合、クラシックなコメントシステム(D1)に設定を変更する必要があります。
普通のやつらの下を行け -- バッドノウハウ専門家
全訳 (スコア:3, 参考になる)
間違ってるかもしれないので原文も見て下さい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ガンマ線兵器が次世代兵器の開発競争のきっかけになるかも
アメリカの国防省によって開発されている新型の原子核を用いた爆弾が従来の兵器と核兵器との境界を曖昧にするかもしれない。この技術に基づいた兵器は次世代兵器開発競争を誘発し、恐怖を呼び起こすことになるだろう。
この爆発はある種の原子核からのエネルギーの放出によって誘発されるもので、核分裂や核融合によるものではない。ガンマ線として放出されるエネルギーは従来の化学変化による爆発から出るエネルギーの何千倍も大きい。
この技術は既に米国国防省の重要軍事技術リストに含まれており、そのリストには次のように書いてある。「そのような非常に密度の高いエネルギーは、戦争のあらゆる局面に対して革命的な潜在能力をもっている」
科学者たちは、ハフニウム(Hf)のような幾つかの元素が高いエネルギー状態(核異性体)を持ち、それらがガンマ線を放出しながら低いエネルギー状態にゆっくりと変化していくことを、ずいぶん前から知っていた。例えばハフニウム178が励起した核異性体であるハフニウム178m2は半減期31年である。
Carl Collinsとその共同研究者たちはダラスのテキサス大学で、この過程が爆発的であることを発見した。ハフニウムの核異性体に低エネルギーのX線を照射することによって人工的にガンマ線崩壊させることができることを示したのだ。その実験では、照射したエネルギーの60倍のエネルギーが放出された。理論的にはもっと多くのエネルギーが放出されると分かっている。
<エネルギーポンプ>
ハフニウムを爆発物として使う前に、エネルギーをその核の中に溜め込まれなければならない。ちょうど原子が光子を吸収すると原子中の電子が励起するように、ハフニウムも高エネルギー光子を吸収して励起することができる。そして後にその原子核はガンマ線を放出して最低エネルギー状態に戻る。
核異性体は元々はエネルギー貯蔵の手段として考えられていた。しかし、ガンマ線崩壊を加速できる可能性があることが、国防省の興味を引いた。もちろんトリウムやニオブのような他の候補となる物質も研究されている。
これまで生成法としては、光子をタンタルに照射してそれが崩壊する時にハフニウム178m2ができることを用いていた。この方法だと原子炉か粒子加速器が必要であり、ほんのわずかな量しか生成できない。
現在では、New Mexico州のKirtlandにある空軍研究所(Air Force Researh Laboratory)はSRSテクノロジー社から買ったハフニウム 178m2 でこの現象を研究している。SRSテクノロジー社はAlabama州Huntsvilleにある研究開発の会社で、ほかの実験で使われた核物質の残り物の中からハフニウムを精製し取り出している。しかし、量はたったの一万分の一グラム程度である。
<非常に強力>
しかし将来には、例えば普通のハフニウムをガンマ線照射することによってハフニウム核異性体を安価に作り出す方法ができるだろう。SRSの主任科学者のHill Robertsは5年以内にはグラムの単位で生成できるようになると信じている。
そのハフニウムの価格は高いだろう(豊富にあるウランでもキログラム当たり数千ドルする)。しかし、ウランと違ってどんな量でも使うことができる(ウランには核爆発を起こす臨界質量があるのでそれ以上でないと使えない)。
ハフニウムの爆発は非常に強力である。一グラムの完全に励起したハフニウムの核異性体は、TNT火薬50キログラム以上のエネルギーを持っている。現存するどの兵器より強力な爆弾を積んだ小型のミサイルを作ることができるであろう。そしてこれを使えば敵の武装兵力に対してより大きな破壊力が得られるであろう。
この核異性体の爆発の効果により、ガンマ線によってその近くにあるいかなる生物をも殺害することができるであろう。核分裂型の原爆に比べれば、死の灰(放射性降下物)はほとんどないが、爆発しなかった核異性体(ガンマ線を出していないハフニウム)の小粒子が四方にまき散らされ、一種の「汚い爆弾(dirty bomb)」としてその場に残り、そこで呼吸をして吸い込んだ人に対して長期間にわたって、健康問題を引き起こすであろう。
<政治的な影響>
政治的にも影響がある。1950年、米国は "Davy Crockett" と呼ばれた核バズーカのようなミニ原爆の開発から手を引いた。これはTNT火薬15トンに相当する爆発力を持つ。この様な兵器は核兵器と従来の兵器との境目を曖昧にする。政府はこのようなミニ核兵器が軍によって、従来のような戦争において、普通の兵器と同じ様に使われることを恐れたのだ。
核兵器の爆発力が常に他のものを圧倒することを保証することによって、戦闘力の急激な拡大がどうしても必要である、と言うような例外的な場合にのみ使うということを望んだのだ。
そして1994年、米国は Spratt-Furse法でこの方針を確認し、米軍が5キロトン以下のミニ原爆を開発することを禁止した。しかし新しい兵器の開発により、この核兵器と従来の兵器の境界線に届く新兵器も現れており、この制限も取り除かれるかもしれない。そしてそれらの新兵器は兵士たちに、彼等が簡単に使える兵器として兵力増強のために与えられている。核異性体兵器は、それを持つ軍隊は非常に有利になり、そしてそのことが軍拡競争を引き起こすことになるだろう。
誤読指摘 (スコア:1)
一点、間違っている部分があったので指摘させていただきます。
#おそらく、元の文を誤読されただけと思うのですが。
>これまで生成法としては、光子をタンタルに照射してそれが崩壊する時に
>ハフニウム178m2ができることを用いていた。
ここ、光子(photon)ではなく陽子(proton)ですね。
#原文は"bombarding tantalum with protons,"なので。
---- redbrick
Re:誤読指摘 (スコア:1)
ありがとうございます。似てたので間違えました。
Re:全訳 (スコア:0)
Re:全訳 (スコア:0)
「大量破壊兵器」なんてきれいな言葉を使わずに「大量殺戮兵器」とか「大量虐殺兵器」とか、むしろ「大虐殺兵器」とかにしたほうがいいんじゃないかと…。
Davy Crockett (スコア:0)
核飛行機なんて計画もあったし、夢見すぎというか何というか…
Re:Davy Crockett (スコア:0)