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モノクロフィルムに焼くということなので、RGB に三色分解してそれぞれをモノクロフィルムに焼くことになります。つまり3 倍のフィルムが必要。カラーネガフィルムと違いモノクロフィルムは劣化進行が遅く、伸縮も少なく退色してもそれぞれの色でガンマを調整できるのでカラーフィルムでの色調整で起こるクロストークを考慮する必要がほぼありません。
フィルムで保存することの最大のメリットは人間が目視で記録内容を確認できること、一部のデータが欠損しても残ったデータに影響しないこと、再生装置を(比較的) 簡単に製作できることです。特に再生装置のメリットは大きく、光学メディアやHDD の再生装置を人間が手作りすることは不可能ですが、フィルムの投影装置は金属加工装置があれば手作り可能です。
いっぽうでフィルムで保存することのデメリットは火災に弱いこと、100 年単位での保管を考慮するなら温湿度環境をコントロールできる保管場所が必要なことです。ディズニーも過去の貴重なフィルム作品を3 色分解して温湿度管理された巨大な保管庫に何千フィートのフィルムをロールの状態ではなく、部屋全体に張り巡らすようにして保管していると聞いたことがあります(空気でなく窒素を充填しているとも聞いた気がするがこれは定かでない)。
その意味でフィルムで保管することをコスト面からのメリットで語るのは違和感があります。フィルムそのものも高いですし。
昔、カラー映画の初期に使われたテクニカラー [wikipedia.org](この名称自体は企業名らしいですが)が撮影する時に光をプリズムで分けてそれぞれフィルターを通して三本のモノクロフィルムに同時に撮影するという技術だったそうで。その後、直接撮影できるカラーフィルムが登場し画質などもよくなると扱いが面倒なテクニカラーは使われなくなっていきましたが、その時期のカラーフィルムが劣化する頃になるとより古いカラー映画の方が鮮明に再生できる逆転現象が認識されるようになりました。#戦後暫くくらいのカラー映画よか「風とともに去りぬ」とかの方が綺麗なのはこれ。#もっとも名画座の懐かし映画大会とかだと単に上映フィルムがこき使われた奴だった場合もある。#大井武蔵野館で見た「美女と液体人間」の映像の赤さを俺は忘れない。
ということで、カラー映画を三原色それぞれのフィルムに焼くことも、そのフィルムの保存性が高いことも、そう新しい話ではなかったりします。今回の話はデジタルとの比較であることと、ターゲットの作品がジブリ映画の中でも3DCGバリバリデジタル感バリバリなアーヤと魔女という違和感があっての話題なんでしょうかね。
フィルムのデメリットが火災に弱いという点では1984年のフィルムセンター火災 [wikipedia.org]を連想しますね。まあこの時は古いセルロイドのフィルムそのものだったそうなので、難燃性の今のフィルムの状況には単純には当てはめられませんが。
> 火災に弱いことあまり例に挙げたくはないのですが、京アニの件がわかりやすいですねそれ以外にも昨今なら水没のように災害で蔵書のようなコンテンツが駄目になることも多いので、複製して2箇所以上に保管がベストだと思います
デジタルの場合はこの複製、移動のコストが安いので、駄目になった場合の復旧が早いですが、文化遺産は別に急いで復旧しないといけないものではないので現物で OK ですね
京アニは歴史的に考えるとフィルムは複製しか持ってないはずだぞ。マスターを作り始めたころには既にデジタル化している。(なので作品のデータはサーバールームが消失から免れた結果、概ね回収できたとの報道アリ)
> (なので作品のデータはサーバールームが消失から免れた結果、概ね回収できたとの報道アリ)
無傷ってわけでもなかったようで、復旧作業は必要だったようですね。サーバーは Linux だったのか、復旧作業を(ボランティアで?)担当されたLinux 方面で有名な方々が、ヴァイオレットエヴァーガーデンのエンドロールの謝辞に出てました
参考:https://togetter.com/li/1605594 [togetter.com]
どうせならRGBだけでなく輝度変換した奴も(普通のモノクロともいう)一緒に入れておいた方が。
緑チャネルの画像だけでも、「モノクロです」と言われて見せられたら、大抵の人は気づかない。
>フィルムで保存することのデメリットは火災に弱いこと勿論複製時にデジタルの方が手軽に複製し易い、記録媒体によってはフィルムより保管面積(体積)を節約できるので緊急避難が容易というメリットはあるけれど、デジタル保存でも火災に関しては結構弱い気がするクラウドでも自前保存でも、施設が火災になった時に保存媒体や装置が消失するという点では同じだし複数拠点に保存するという意味ではフィルムも複数拠点に保存すれば良いフィルムの場合は部分的に残った部分の抽出は容易だが、デジタルの場合殆どの媒体が残った部分からの抽出はかなり困難ですし
フィルムベースが可燃性素材って事だと思いますよ>火災に弱い
今は自己消火性の材質だろ。
自己消火性があっても、火災に遭ったら溶け落ちるだろ。半焼でたまたま焼け残ったとでもなければ、大抵のメディアはだめになるでしょう。昔のフィルムが発火しやすく火災の原因となったことのイメージだと思うが >火災に弱い粘土板以外で「それ自体が火災に強い記録メディア」というのはおもい浮かばない。
石英かなんかにレーザーでデジタルデータ書き込むって奴は強そう。
ガラス基板のCDは反射層何で作るか次第かなぁ……PROMの類も物理的にはヒューズだからまぁまぁ強いかな?
伸縮が少ないといっても少しはあるので数百年後伸びたRと伸びたGと伸びたBが尺をめぐって喧嘩しそう。
音声ならともかくコマ数は変わらんよ
一応ここで出てるモノクロフィルムは長期保存用のもので従来とは比べ物にならない寿命を確保したらしい理
>いっぽうでフィルムで保存することのデメリットは火災に弱いこと、100 年単位での保管を考慮するなら温湿度環境をコントロールできる保管場所が必要なことです。ディズニーも過去の貴重なフィルム作品を3 色分解して温湿度管理された巨大な保管庫に何千フィートのフィルムをロールの状態ではなく、部屋全体に張り巡らすようにして保管していると聞いたことがあります(空気でなく窒素を充填しているとも聞いた気がするがこれは定かでない)。
現在のフィルムはPET素材だから温度も湿度も適当で良いから保管コストも低いのでは?金がかかるといっているのは昔の硝酸セルロースや酢酸セルロースのフィルムの事でしょ。
> 現在のフィルムはPET素材だから温度も湿度も適当で良いから保管コストも低いのでは?
いえ、これがなかなかに難物でして、温湿度管理なしに保管しておくとフィルムロールの場所によって伸縮に差が出ます。フィルムロールを円盤に見立てた時に12 時方向には伸長、4 時方向には収縮とか。フィルムコアからの距離によって一巻き当たりのコマ数は変わってきますから伸長、収縮したコマが不定期に表れることになります。復元時にはRGB に分解したフィルムをそれぞれスキャンして合成するのでRGB で伸縮率が異なるとエッジの色にじみや色ずれ、画ボケなどの原因となり、これをデジタル処理で修復するのに途方もない手間がかかります。なので、どこでカネをかけるかによりますが、結局それなりにコストがかかることには変わりありません。
昔のセルロース系フィルムはそもそも危険物なので保管の前提が違いますね。
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日々是ハック也 -- あるハードコアバイナリアン
モノクロフィルムに焼くことの意味 (スコア:5, 参考になる)
モノクロフィルムに焼くということなので、RGB に三色分解してそれぞれをモノクロフィルムに焼くことになります。つまり3 倍のフィルムが必要。
カラーネガフィルムと違いモノクロフィルムは劣化進行が遅く、伸縮も少なく退色してもそれぞれの色でガンマを調整できるのでカラーフィルムでの色調整で起こるクロストークを考慮する必要がほぼありません。
フィルムで保存することの最大のメリットは人間が目視で記録内容を確認できること、一部のデータが欠損しても残ったデータに影響しないこと、再生装置を(比較的) 簡単に製作できることです。
特に再生装置のメリットは大きく、光学メディアやHDD の再生装置を人間が手作りすることは不可能ですが、フィルムの投影装置は金属加工装置があれば手作り可能です。
いっぽうでフィルムで保存することのデメリットは火災に弱いこと、100 年単位での保管を考慮するなら温湿度環境をコントロールできる保管場所が必要なことです。ディズニーも過去の貴重なフィルム作品を3 色分解して温湿度管理された巨大な保管庫に何千フィートのフィルムをロールの状態ではなく、部屋全体に張り巡らすようにして保管していると聞いたことがあります(空気でなく窒素を充填しているとも聞いた気がするがこれは定かでない)。
その意味でフィルムで保管することをコスト面からのメリットで語るのは違和感があります。フィルムそのものも高いですし。
Re:モノクロフィルムに焼くことの意味 (スコア:1)
昔、カラー映画の初期に使われたテクニカラー [wikipedia.org](この名称自体は企業名らしいですが)
が撮影する時に光をプリズムで分けてそれぞれフィルターを通して三本のモノクロフィルムに
同時に撮影するという技術だったそうで。
その後、直接撮影できるカラーフィルムが登場し画質などもよくなると
扱いが面倒なテクニカラーは使われなくなっていきましたが、その時期のカラーフィルムが
劣化する頃になるとより古いカラー映画の方が鮮明に再生できる逆転現象が
認識されるようになりました。
#戦後暫くくらいのカラー映画よか「風とともに去りぬ」とかの方が綺麗なのはこれ。
#もっとも名画座の懐かし映画大会とかだと単に上映フィルムがこき使われた奴だった場合もある。
#大井武蔵野館で見た「美女と液体人間」の映像の赤さを俺は忘れない。
ということで、カラー映画を三原色それぞれのフィルムに焼くことも、そのフィルムの
保存性が高いことも、そう新しい話ではなかったりします。
今回の話はデジタルとの比較であることと、ターゲットの作品がジブリ映画の中でも
3DCGバリバリデジタル感バリバリなアーヤと魔女という違和感があっての話題なんでしょうかね。
フィルムのデメリットが火災に弱いという点では1984年のフィルムセンター火災 [wikipedia.org]
を連想しますね。まあこの時は古いセルロイドのフィルムそのものだったそうなので、難燃性の
今のフィルムの状況には単純には当てはめられませんが。
Re: (スコア:0)
> 火災に弱いこと
あまり例に挙げたくはないのですが、京アニの件がわかりやすいですね
それ以外にも昨今なら水没のように災害で蔵書のようなコンテンツが駄目になることも多いので、複製して2箇所以上に保管がベストだと思います
デジタルの場合はこの複製、移動のコストが安いので、駄目になった場合の復旧が早いですが、文化遺産は別に急いで復旧しないといけないものではないので現物で OK ですね
Re: (スコア:0)
京アニは歴史的に考えるとフィルムは複製しか持ってないはずだぞ。
マスターを作り始めたころには既にデジタル化している。
(なので作品のデータはサーバールームが消失から免れた結果、概ね回収できたとの報道アリ)
Re: (スコア:0)
> (なので作品のデータはサーバールームが消失から免れた結果、概ね回収できたとの報道アリ)
無傷ってわけでもなかったようで、復旧作業は必要だったようですね。
サーバーは Linux だったのか、復旧作業を(ボランティアで?)担当された
Linux 方面で有名な方々が、ヴァイオレットエヴァーガーデンのエンドロールの謝辞に出てました
参考:
https://togetter.com/li/1605594 [togetter.com]
Re: (スコア:0)
どうせならRGBだけでなく輝度変換した奴も(普通のモノクロともいう)一緒に入れておいた方が。
Re: (スコア:0)
緑チャネルの画像だけでも、「モノクロです」と言われて見せられたら、大抵の人は気づかない。
Re: (スコア:0)
>フィルムで保存することのデメリットは火災に弱いこと
勿論複製時にデジタルの方が手軽に複製し易い、記録媒体によってはフィルムより保管面積(体積)を節約できるので緊急避難が容易というメリットはあるけれど、デジタル保存でも火災に関しては結構弱い気がする
クラウドでも自前保存でも、施設が火災になった時に保存媒体や装置が消失するという点では同じだし
複数拠点に保存するという意味ではフィルムも複数拠点に保存すれば良い
フィルムの場合は部分的に残った部分の抽出は容易だが、デジタルの場合殆どの媒体が残った部分からの抽出はかなり困難ですし
Re: (スコア:0)
フィルムベースが可燃性素材って事だと思いますよ>火災に弱い
Re: (スコア:0)
今は自己消火性の材質だろ。
Re: (スコア:0)
自己消火性があっても、火災に遭ったら溶け落ちるだろ。
半焼でたまたま焼け残ったとでもなければ、大抵のメディアはだめになるでしょう。
昔のフィルムが発火しやすく火災の原因となったことのイメージだと思うが >火災に弱い
粘土板以外で「それ自体が火災に強い記録メディア」というのはおもい浮かばない。
Re: (スコア:0)
石英かなんかにレーザーでデジタルデータ書き込むって奴は強そう。
ガラス基板のCDは反射層何で作るか次第かなぁ……
PROMの類も物理的にはヒューズだからまぁまぁ強いかな?
Re: (スコア:0)
伸縮が少ないといっても少しはあるので数百年後伸びたRと伸びたGと伸びたBが尺をめぐって喧嘩しそう。
Re: (スコア:0)
音声ならともかくコマ数は変わらんよ
Re: (スコア:0)
一応ここで出てるモノクロフィルムは長期保存用のもので従来とは比べ物にならない寿命を確保したらしい理
Re: (スコア:0)
>いっぽうでフィルムで保存することのデメリットは火災に弱いこと、100 年単位での保管を考慮するなら温湿度環境をコントロールできる保管場所が必要なことです。ディズニーも過去の貴重なフィルム作品を3 色分解して温湿度管理された巨大な保管庫に何千フィートのフィルムをロールの状態ではなく、部屋全体に張り巡らすようにして保管していると聞いたことがあります(空気でなく窒素を充填しているとも聞いた気がするがこれは定かでない)。
現在のフィルムはPET素材だから温度も湿度も適当で良いから保管コストも低いのでは?
金がかかるといっているのは昔の硝酸セルロースや酢酸セルロースのフィルムの事でしょ。
Re: (スコア:0)
> 現在のフィルムはPET素材だから温度も湿度も適当で良いから保管コストも低いのでは?
いえ、これがなかなかに難物でして、温湿度管理なしに保管しておくとフィルムロールの場所によって伸縮に差が出ます。フィルムロールを円盤に見立てた時に12 時方向には伸長、4 時方向には収縮とか。
フィルムコアからの距離によって一巻き当たりのコマ数は変わってきますから伸長、収縮したコマが不定期に表れることになります。
復元時にはRGB に分解したフィルムをそれぞれスキャンして合成するのでRGB で伸縮率が異なるとエッジの色にじみや色ずれ、画ボケなどの原因となり、これをデジタル処理で修復するのに途方もない手間がかかります。
なので、どこでカネをかけるかによりますが、結局それなりにコストがかかることには変わりありません。
昔のセルロース系フィルムはそもそも危険物なので保管の前提が違いますね。