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5月17日 http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20090517-OYT8T00235.htm [yomiuri.co.jp] > 1日平均100人超がインフルエンザと診断されている千葉県
5月18日 http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20090518AT2M1800R18052009.html [nikkei.co.jp] >「季節性インフルエンザの流行する季節は終わっており、この時期の
国内感染第1例となった検査を依頼した灘区の開業医が、マスク着用や消毒など十分な感染防御策をとっていたのに、「二次感染防止のため」と市から言われ、16日から2日間、臨時休診したことに不満が噴出。「患者の診療を拒んでも、対応しても、だめなのか」などの声が出た。(2009年5月19日 読売新聞)
あいかわらず行政の対応はひどいようです。
他の地域は検査していないだけで、実際には全国的に広がっていると考えるほうが自然ではないでしょうか。
あまりにも症状が軽いために過去に何度も流行していたけど、気付いていなかっただけのような気がしてきました。#高熱が出てもすぐに落ち着く人もいるようですし、#今の季節に風邪引いてもインフルエンザの検査は#通常しないと思うので
#そろそろ死者が出てもおかしくないはずなんだけどなぁ
>#そろそろ死者が出てもおかしくないはずなんだけどなぁ弱毒性の場合は熱を取って栄養を付け脱水症状に気をつければ死なない病気だから、飢餓状態にでも無ければ日本じゃ死なないんじゃないかな。対症療法用の薬も栄養豊富な食べ物も幾らでも手に入るから。強毒化して呼吸器をやられる奴でも出ない限りは、>気付いていなかっただけで終わっていても不思議じゃなかったり。
ネタにマジレスかもしれませんが。
細菌(とそして若干メカニズムは違うもののウィルスについても)には増殖を早くするため、ゲノムが小さくなる方向への強い選択圧がかかっており、生きて増殖する上で必要のない遺伝子は世代交代間に集団からさっさと捨て去られるそうです。実際ある細菌群の大部分が必要のない遺伝子を捨て去るまでの期間は数日程度だそうです。(逆に必要のある場合は死骸から直接遺伝子の破片がやりとりされてあっというまに取り込まれて広がるそうで、それが薬剤耐性菌が病院でよくみつかる理由だそうですが。)
そして、細菌、ウィルスのみならず寄生生物全般の立場からすれば宿主を殺してしまったり弱らせ過ぎては、かえって感染が広がらない、即ち繁栄が阻害されてしまいます。なので寄生虫など寄生生物については、最初に本来以外の宿主(この場合な家畜からヒト)に「迷入」したときに、環境が変わったことによる不適応の結果として最も宿主を害するようです。(胃壁に食らいついてヒトを苦痛で七転八倒させることで有名な寄生虫アニサキスは本来の宿主であるクジラの厚い胃壁に寄生している限り宿主であるクジラにとっては大して害がない。)その後は時間と共に宿主と寄生者の双方(といっても細菌、ウィルスの場合世代交代の早い細菌・ウィルス側がヒトに合わせる方が断然早いでしょうが)が適応して宿主への害が弱くなっていく(最近・ウィルスであれば弱毒性に変わっていく)傾向があるそうです。梅毒、AIDSウィルス、そしてインフルエンザ・ウィルスにもこの傾向が観察されたという報告もあるようです。(そういえばAIDSウィルスの元の宿主であったチンパンジーがかならずしもAIDSで死なないことや、昨今AIDSに感染しても発症しない人が見つかり始めていることもニュースになっていました。)
なので、その毒性がいったん弱毒化、即ちヒトの胎内環境に適応したものがヒト-ヒト間感染している間に強毒化して流行する可能性は考えにくいと思われます。(強毒化の突然変異が起こっても必然性がなければ多数派になれない。)
とはいえ、ヒト向けに適応したウィルスがもう一回家畜(ブタとか)に感染してそこで再適応してからもう一回ヒトに再迷入するようなプロセスはありえないとまではいえないので専門家的には油断できないでしょうが、現代日本ではそこまで家畜が身近にいないので、あんまり一般人がパニック的に大騒ぎするのもどうかなー?と…。
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犯人は巨人ファンでA型で眼鏡をかけている -- あるハッカー
関東はどうなってるの? (スコア:1, 参考になる)
5月17日 http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20090517-OYT8T00235.htm [yomiuri.co.jp]
> 1日平均100人超がインフルエンザと診断されている千葉県
5月18日 http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20090518AT2M1800R18052009.html [nikkei.co.jp]
>「季節性インフルエンザの流行する季節は終わっており、この時期の
Re: (スコア:4, 興味深い)
あいかわらず行政の対応はひどいようです。
他の地域は検査していないだけで、実際には全国的に広がっていると考えるほうが自然ではないでしょうか。
Re: (スコア:2)
あまりにも症状が軽いために過去に何度も流行していたけど、気付いていなかっただけのような気がしてきました。
#高熱が出てもすぐに落ち着く人もいるようですし、
#今の季節に風邪引いてもインフルエンザの検査は
#通常しないと思うので
#そろそろ死者が出てもおかしくないはずなんだけどなぁ
Re: (スコア:0)
>#そろそろ死者が出てもおかしくないはずなんだけどなぁ
弱毒性の場合は熱を取って栄養を付け脱水症状に気をつければ死なない病気だから、飢餓状態にでも無ければ日本じゃ死なないんじゃないかな。
対症療法用の薬も栄養豊富な食べ物も幾らでも手に入るから。
強毒化して呼吸器をやられる奴でも出ない限りは、
>気付いていなかっただけ
で終わっていても不思議じゃなかったり。
Re:関東はどうなってるの? (スコア:0)
強毒性には適応的な利点がない (スコア:2, 参考になる)
ネタにマジレスかもしれませんが。
細菌(とそして若干メカニズムは違うもののウィルスについても)には増殖を早くするため、ゲノムが小さくなる方向への強い選択圧がかかっており、生きて増殖する上で必要のない遺伝子は世代交代間に集団からさっさと捨て去られるそうです。実際ある細菌群の大部分が必要のない遺伝子を捨て去るまでの期間は数日程度だそうです。(逆に必要のある場合は死骸から直接遺伝子の破片がやりとりされてあっというまに取り込まれて広がるそうで、それが薬剤耐性菌が病院でよくみつかる理由だそうですが。)
そして、細菌、ウィルスのみならず寄生生物全般の立場からすれば宿主を殺してしまったり弱らせ過ぎては、かえって感染が広がらない、即ち繁栄が阻害されてしまいます。
なので寄生虫など寄生生物については、最初に本来以外の宿主(この場合な家畜からヒト)に「迷入」したときに、環境が変わったことによる不適応の結果として最も宿主を害するようです。(胃壁に食らいついてヒトを苦痛で七転八倒させることで有名な寄生虫アニサキスは本来の宿主であるクジラの厚い胃壁に寄生している限り宿主であるクジラにとっては大して害がない。)
その後は時間と共に宿主と寄生者の双方(といっても細菌、ウィルスの場合世代交代の早い細菌・ウィルス側がヒトに合わせる方が断然早いでしょうが)が適応して宿主への害が弱くなっていく(最近・ウィルスであれば弱毒性に変わっていく)傾向があるそうです。梅毒、AIDSウィルス、そしてインフルエンザ・ウィルスにもこの傾向が観察されたという報告もあるようです。
(そういえばAIDSウィルスの元の宿主であったチンパンジーがかならずしもAIDSで死なないことや、昨今AIDSに感染しても発症しない人が見つかり始めていることもニュースになっていました。)
なので、その毒性がいったん弱毒化、即ちヒトの胎内環境に適応したものがヒト-ヒト間感染している間に強毒化して流行する可能性は考えにくいと思われます。(強毒化の突然変異が起こっても必然性がなければ多数派になれない。)
とはいえ、ヒト向けに適応したウィルスがもう一回家畜(ブタとか)に感染してそこで再適応してからもう一回ヒトに再迷入するようなプロセスはありえないとまではいえないので専門家的には油断できないでしょうが、現代日本ではそこまで家畜が身近にいないので、あんまり一般人がパニック的に大騒ぎするのもどうかなー?と…。
タネ本:
「ミトコンドリアが進化を決めた」ニック・レーン 著、斉藤 隆央 訳、 みすず書房 刊、2007/12/22
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Re:強毒性には適応的な利点がない (スコア:1)
この辺りについては、宿主の社会的行動が関与していることも示唆されており、宿主から次の宿主への伝達が起こりやすい状況では、むしろ増殖が早く、しばしば強毒性の病原体の方が有利となり、選択されていく可能性が示唆されてます。
この現象は元々、HIVが「いつ」強毒化したのかというテーマに端を発してまして。ご存知のように、HIVは性行為によって伝達されますが、異なる相手との性交渉の機会が多い状況によって、強毒株が選択されたことが、世界的蔓延の一因だという説が、疫学の方から提唱されてました。この現象は数理的モデルでも確認され、さらにそれをモデル生物実験で証明したのが、上の日記エントリで示したScienceの論文です。
もちろん実際に、ヒトにおいて重大な感染症にもこの現象が関わっているという直接の証明は、まだ存在してるとは言いがたいです。もともとのHIVも「強毒性」とは言え潜伏期の長い疾患ですし。ただこの現象が、ニワトリでの高病原性トリインフルエンザの出現と関わっているのではないか、と考えている人もいます。
今回のケースで言うと、患者一人から感染する人の数が約3人、ということで、通常の季節性インフルエンザの2〜3倍くらい、というあたりだと思います。このレベルの伝染性の差が、果たして強毒化の頻度に影響するのかというと、それは判らないとしか言いようがありません。スペインかぜでは途中で強毒化したという説がありますが、アジアかぜや香港かぜなどの方が今回とは状況的には近そうです。しかし、これらの大変異の流行過程で、その毒性がどう変化していっていたのかについてはよく判らないところです。
Re: (スコア:0)