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警察が証拠として保全すること思いつくくらいヒルが多くて目立つ場所だったのでしょうか?それとも今回たまたま決め手になって報道されたけど、ヒルから血液を採取するのはマニュアルにある捜査手法なんでしょうか?
いやなんか捜査を指揮した人の着眼点と頭の柔らかさにビックリしたもんで。
>「生まれてから1回もヒルに血を吸われたことがない」(そして傷口も見つからない)と>言ったら、お手上げになりそうなもんだけど、どうなんでしょうね。
現場で証拠のヒルを採取したわけなので、そこは問題にならないと思いますが、どうして彼のDNAを調査対象にしたのか、というのは問題になりえそうです。「数学で犯罪を解決する」 [amazon.co.jp]という本で読んだのですが、DNAというのは、容疑者グループからひとり選び出すための精度はあるものの、全国民やすべての前科持ちから容疑者を選び出すものではない、らしいですから。
#統計とか犯罪捜査に詳しい人からツッコミがあれば歓迎。よく知らないので。
>DNAというのは、容疑者グループからひとり選び出すための精度はあるものの、>全国民やすべての前科持ちから容疑者を選び出すものではない、らしいですから。
それっていつの話?2006年段階で4.7兆人に1人の精度で鑑定できるようになった、といわれていますが。http://mm.shimotsuke.co.jp/special/ashikaga-jiken/20090605/156982 [shimotsuke.co.jp]
> 2006年段階で4.7兆人に1人の精度で鑑定できるようになった、といわれていますが。
私も専門じゃないのでなんですが,15箇所で 4.7兆パターンとなると,7^15ぐらいですかね?
$ echo 7^15 | bc4747561509943
つまり1箇所あたり 7パターンあるとして,その頻度が同じなのかどうかというのが元記事からではわかりません.血液型のようによくあるパターンがあるとすれば,精度がガックリと落ちる場合もあるかもしれませんね.
ヒトの染色体は2本あるのでその計算は正しくありません.1塩基置換とであるSNPと違いSTRはホモである確率は低く,現実には30カ所を調べるのと同じことです.(日本の警察が使用している座位がどこかは知りませんが,CODIS [nist.gov]だとすると性決定のためにYにも含んでいるので29+1というのが正しいと思いますが.)
またこのような個人特定に用いられる座位は多型の配列がある程度均等になっている場所が選ばれるので「精度がガックリ落ちる」といっても数千人に一人というようなありふれた型になることはありません.上に挙げたサイトで多型情報を見ると分かりますが,繰り返し数のバリエーションは1座位あたり10以上のところが多いです.ちょっと資料がなくて自信はないのですが,「4.7兆人に1人」というのはこれらのSTRのヒト集団における繰り返し数の頻度分布から計算した最悪値(=「ガックリ落ち」た後の数字)であると思われます.
自己フォロー
>性決定のためにYにも含んでいるので29+1
は27+1の誤りです.
それだけでは情報が少なすぎるので,簡単にDNA検査の確率について説明します.今,性染色体でない染色体の1箇所だけを考え,そこにはAとaの2種類の多型があるとします.ある集団(ここでは日本人とします)ではAの人が60%でaの人が40%だったとすると,2本の染色体では aa : 16% (=0.4 ^ 2) Aa : 48% (= 2 * 0.4 * 0.6) AA : 36% (=0.6 ^ 2)という確率になり,例えば100人の日本人がいたらaaが16人,Aaが48人,AAが36人ほどとなります.ある種の変異ではこのような数学的な確率にはなりませんが,そのような場所は犯罪捜査には用いません.(専門的な言い方をすればハーディー・ワインバーグ平衡の検査を行って確かめます)
このとき,ある2人の個人を選んで彼らのDNA型が一致するかどうかの確率はp(aa) * p(aa) + p(Aa) * p(Aa) + p(AA) * p(AA) = 38.56%として求められます.
この逆数を取ればおよそ日本人では2.6人に1人の確率で2人のDNA型が一致するということになります.上のコメントで確率は最悪値であると言ってしまいましたが,これも間違いで,単純に数学的な期待値が犯罪捜査でも用いられているようです.
犯罪捜査や個人特定に用いられる場所はAaの2種類だけではなく,a1, a2, ... と多数のバリエーションが存在するため1つの場所でも一致する確率は低く,また互いに連鎖しない(ある一箇所が合っていたら他の場所も一致するという傾向がない,独立している)場所を選んでいるので,一致する確率はそれぞれのDNAが一致する確率を掛けたものになり,非常に低い値になります.
もちろん一卵性双生児は全く同じ配列を持っているので区別は不可能ですが,それ以外であれば親族でも区別ができますし,同じ配列の日本人は誰もいないと言えるまでに厳密化することが可能です.
ただしこのような多型の分布はその集団の人口構成によるので,他の人種で使える方法であるからといって日本人にすぐ適用できるとは限りません.予め日本人での遺伝型の頻度分布の調査と,HW平衡が成り立つかどうかの検証が必要ですし,その上でないと「○○人に1人」という確率は言えないはずだと思います.
4.7兆人も人間がいないのに、なんで分かるんだ?
「同様に確からしい」ことの前提が必要だって小学校だか中学校だかで習わなかったっけ。
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犯人は巨人ファンでA型で眼鏡をかけている -- あるハッカー
地味にすごい事のような (スコア:3, 興味深い)
警察が証拠として保全すること思いつくくらいヒルが多くて目立つ場所だったのでしょうか?
それとも今回たまたま決め手になって報道されたけど、ヒルから血液を採取するのはマニュアルにある捜査手法なんでしょうか?
いやなんか捜査を指揮した人の着眼点と頭の柔らかさにビックリしたもんで。
Re: (スコア:0)
「生まれてから1回もヒルに血を吸われたことがない」(そして傷口も見つからない)と
言ったら、お手上げになりそうなもんだけど、どうなんでしょうね。
Re: (スコア:3, 参考になる)
>「生まれてから1回もヒルに血を吸われたことがない」(そして傷口も見つからない)と
>言ったら、お手上げになりそうなもんだけど、どうなんでしょうね。
現場で証拠のヒルを採取したわけなので、そこは問題にならないと思いますが、
どうして彼のDNAを調査対象にしたのか、というのは問題になりえそうです。
「数学で犯罪を解決する」 [amazon.co.jp]という本で読んだのですが、
DNAというのは、容疑者グループからひとり選び出すための精度はあるものの、
全国民やすべての前科持ちから容疑者を選び出すものではない、らしいですから。
#統計とか犯罪捜査に詳しい人からツッコミがあれば歓迎。よく知らないので。
Re: (スコア:0)
>DNAというのは、容疑者グループからひとり選び出すための精度はあるものの、
>全国民やすべての前科持ちから容疑者を選び出すものではない、らしいですから。
それっていつの話?
2006年段階で4.7兆人に1人の精度で鑑定できるようになった、といわれていますが。
http://mm.shimotsuke.co.jp/special/ashikaga-jiken/20090605/156982 [shimotsuke.co.jp]
Re:地味にすごい事のような (スコア:0)
> 2006年段階で4.7兆人に1人の精度で鑑定できるようになった、といわれていますが。
私も専門じゃないのでなんですが,15箇所で 4.7兆パターンとなると,7^15ぐらいですかね?
$ echo 7^15 | bc
4747561509943
つまり1箇所あたり 7パターンあるとして,その頻度が同じなのかどうかというのが元記事からではわかりません.血液型のようによくあるパターンがあるとすれば,精度がガックリと落ちる場合もあるかもしれませんね.
Re:地味にすごい事のような (スコア:2, 興味深い)
ヒトの染色体は2本あるのでその計算は正しくありません.
1塩基置換とであるSNPと違いSTRはホモである確率は低く,現実には30カ所を調べるのと同じことです.
(日本の警察が使用している座位がどこかは知りませんが,CODIS [nist.gov]だとすると性決定のためにYにも含んで
いるので29+1というのが正しいと思いますが.)
またこのような個人特定に用いられる座位は多型の配列がある程度均等になっている場所が選ばれるので
「精度がガックリ落ちる」といっても数千人に一人というようなありふれた型になることはありません.
上に挙げたサイトで多型情報を見ると分かりますが,繰り返し数のバリエーションは1座位あたり10以上
のところが多いです.
ちょっと資料がなくて自信はないのですが,「4.7兆人に1人」というのはこれらのSTRのヒト集団における
繰り返し数の頻度分布から計算した最悪値(=「ガックリ落ち」た後の数字)であると思われます.
kaho
Re:地味にすごい事のような (スコア:2, 参考になる)
自己フォロー
>性決定のためにYにも含んでいるので29+1
は27+1の誤りです.
それだけでは情報が少なすぎるので,簡単にDNA検査の確率について説明します.
今,性染色体でない染色体の1箇所だけを考え,そこにはAとaの2種類の多型があるとします.
ある集団(ここでは日本人とします)ではAの人が60%でaの人が40%だったとすると,2本の染色体では
aa : 16% (=0.4 ^ 2)
Aa : 48% (= 2 * 0.4 * 0.6)
AA : 36% (=0.6 ^ 2)
という確率になり,例えば100人の日本人がいたらaaが16人,Aaが48人,AAが36人ほどとなります.
ある種の変異ではこのような数学的な確率にはなりませんが,そのような場所は犯罪捜査には用いません.
(専門的な言い方をすればハーディー・ワインバーグ平衡の検査を行って確かめます)
このとき,ある2人の個人を選んで彼らのDNA型が一致するかどうかの確率は
p(aa) * p(aa) + p(Aa) * p(Aa) + p(AA) * p(AA) = 38.56%
として求められます.
この逆数を取ればおよそ日本人では2.6人に1人の確率で2人のDNA型が一致するということになります.
上のコメントで確率は最悪値であると言ってしまいましたが,これも間違いで,単純に数学的な期待値が
犯罪捜査でも用いられているようです.
犯罪捜査や個人特定に用いられる場所はAaの2種類だけではなく,a1, a2, ... と多数のバリエーションが
存在するため1つの場所でも一致する確率は低く,また互いに連鎖しない(ある一箇所が合っていたら
他の場所も一致するという傾向がない,独立している)場所を選んでいるので,一致する確率はそれぞれの
DNAが一致する確率を掛けたものになり,非常に低い値になります.
もちろん一卵性双生児は全く同じ配列を持っているので区別は不可能ですが,それ以外であれば親族でも
区別ができますし,同じ配列の日本人は誰もいないと言えるまでに厳密化することが可能です.
ただしこのような多型の分布はその集団の人口構成によるので,他の人種で使える方法であるからといって
日本人にすぐ適用できるとは限りません.
予め日本人での遺伝型の頻度分布の調査と,HW平衡が成り立つかどうかの検証が必要ですし,その上でないと
「○○人に1人」という確率は言えないはずだと思います.
kaho
Re:地味にすごい事のような (スコア:2)
> 2006年段階で4.7兆人に1人の精度で鑑定できるようになった、といわれていますが。
4.7兆人も人間がいないのに、なんで分かるんだ?
「同様に確からしい」ことの前提が必要だって小学校だか中学校だかで習わなかったっけ。